第229話「第13章余談、それぞれのお祭り②」
『で、サチナ。どういう感じでやるんだダゾ?』
『商品を紹介しながらテキトーにやっていくです!!じゃ、末賞の発表~~です!!』
矢倉台ステージに設置された大型モニターを指さし、サチナが振り返る。
そして、手に持ったリモコンを操作して、いくつかの商品を映し出した。
『これが末賞の景品なのです、大体、3000エドロ~1万エドロの価値があるです』
『食品や消耗品、生活雑貨っぽいゾ。ん、このチケットみたいなのはなんダゾ?』
『温泉郷内で使える割引チケットです。一会計につき1枚まで使用可能で、3000エドロの割引が効くです!!』
保存食、下着や靴下の消耗品、ちょっと高級そうな文房具、その他もろもろ便利グッツ。
アヴァロンたわしにアヴァロンバスタオル、ミニアヴァロンぬいぐるみとタヌキ商品も充実。
そんな景品に混じって、3000円の割引チケットが紹介された。
ワルトの解説によると、生活雑貨は5000エドロ程度の品が多く、チケットよりも価値が高くなるように設定しているらしい。
「割引券の額面が低くなるのは当然、欲しくないものが当たるより断然いい。でもせっかく当たったんなら……、悩ましいな?」
「だよねぇ。僕に肩こり解消グッツとか当たっても微妙だし。だからこそ、この企画の責任者をレジェに投げた」
「確率論を語らせたらレジェの右に出る人はいない。いい感じに改変されていると思う!」
俺達が訪れた引換所は設営中で、景品の展示も終わっていなかった。
邪魔しない様に遠目でしか確認しなかったが、あそこに有った景品は最低でも100万エドロを下らないはず。
恐らく、2等か3等……、結構上の商品になるはずだ。
『あ、そうそう。この抽選はただの福引大会じゃねーです!』
『なに?そうなのかダゾ!?』
『人狼狐の反省を生かした『宝探しイベント』、それがこの抽選会の正体なのです!!』
『なんだってダゾー!?』
おっと、速攻で斜め上に進みやがった。
運命掌握レジェリクエ・プロデュース、大魔王抽選会の始まりだぜ!!
『抽選はチラシの番号を使うです。が、そもそも何処で手に入れるのかって話なのですが』
『そこらでタヌキが配ってたぞ』
『温泉郷内24か所に見張りのタヌキ奉行付きで設置してあるです。一人一枚、上から順に取れるです』
『どこにあるんダゾ?』
『発表はしねーです!!温泉郷を探して歩く宝探し、これはそういうイベントなのです!!』
一人で持てるチラシはA~Zの24枚まで。
仮に2枚目のT組のチラシを拾って両方当選していたとしても、どちらかしか引き換えられない。
景品の独占を防ぐ為ともう一つ、『当選チラシを探して集める』という目的を与える為か?
『それと、引換所の説明もしておくです!!』
『まだ何かあるのかダゾ?』
『むしろこっちが本番なのです!末賞の5等は5店舗、4等は4店舗、3等は3店舗の引換所が明日の午前9時にオープンするです!!』
『そんなにいっぱい作る必要があるのかダゾ?』
『店舗ごとに品揃えが違うです!チケット一枚で一つの景品と引き換えできるですが、もっといい商品が別の店舗にあるかもしれない』
『なるほど?でもそれって早い者勝ちじゃないのかダゾ?』
『そうなのです。ワザと分かりにくくしている場所には掘り出し物が眠っているかも……、でも、最初の店舗にあったのが一番欲しかったら?そんな駆け引きもお楽しみの一つなのです!』
えっぐいこと考えるなぁ、大魔王陛下。
チケットを早く交換して後から良い商品を見つけても悔しいし、欲しい商品が無くなっても悔しい。
結果的に本気で引換所とチケットを探すようになり、絶対に熱狂せざるを得ない訳だ。
「これが大魔王興行、えぐすぎる」
「上手いこと考えたもんだと褒めたいねぇ、惚れぼれするねぇ」
「よし、明日はみんなで宝探しデートをしよう!!」
それには俺も賛成だが、この腹ペコ魔王が当てる気満々すぎる。
まぁ、三人合わせて72枚だし確率的には当たるはず。
……、頼む、一枚で良いから当たってくれ!!
『ということで、抽選番号の発表なのです!!』
『どるるるるるうる……、ぐるぐるげっげーーなのダゾーー!?』
『結果は……、下一桁の『7』。ラッキーセブン、サチナの7なのです!!』
クマからゲロ鳥を経由した結果、サチナお気に入りの数字『7』に決定。
数字に作為的なものがあったとしても、俺達が持っている番号をレジェは知らない。
だから完全運勝負……、よっし!!2枚あったぜ!!
「俺は2枚だ、リリンとワルトは?」
「私は3枚!!」
「僕は1枚。ちっ、下ぶれたねぇ、舌打ちだねぇ」
下一桁の数字は0~9の十通り。
72枚中6枚当選だから順当な結果だな。
「とりあえず当たって良かったぜ。これでデートできるしな!」
「引換が終わったら、わんぱく触れ合いコーナーにも行きたい。テトラだけずるいと思う!!」
「いいね。せっかくだし、使う武器は当たった景品縛りとかどうかな?」
生活雑貨でわんぱく触れ合いコーナー(死地)か。
タヌキとヘビとゲロ鳥とクマ以外なら良い勝負できそう。
『次の4等は、10万エドロまでの商品がラインナップされているです!!』
『一気に金額が上がったゾ!?』
『それだけ本気のイベントだといういう事なのです!!ということで~~抽選番号は、下二桁の11と73!!』
『良いと並?覚えやすくていいゾ!!』
11……、……73。
11……、くっ、12か。
11……、73……、おっ、72。
あーちくしょう、最後……、53。ごみ。
「全・滅」
「私も」
「くっくっく、ラッキーガールたるリリンサ様ともあろうものが、どうしたのかなー?」
「なに!」
「まさか!!」
「見晒せ、これが僕の実力だ!!」
そんな、嘘だろ……。
11が1枚と73が2枚……、ば、馬鹿なっ!!
「これでユニ2枚、リリン3枚、僕4枚!ましてや僕が当てたのは4等だ!!」
「調子に乗らないで欲しい!!」
「ごめんねぇ、心の底から喜んじゃって。あーうれし」
平均的なぐぬぬ顔で悔しがるリリンと、勝ち誇るワルト。
正直この展開は俺も予想外だが……、まだ逆転の目は残されている。
「勝負は枚数じゃねぇ、そうだろワルト」
「そうだよ。でも、4等の時点で50分の1、当選確率は2%しかないねぇ」
「問題ない。次で当てる!!」
3人の所持チラシは72枚まで、1枚から2枚は当たる計算だ。
だいたいの冒険者チームが4等の景品を手に入れる、そんな感じのバランス調整っぽい。
恐らく2等以上は10000分の1を下回る。
実質的に次がラストチャンスだ。
『3等は100万エドロから1000万エドロの賞品なのです!』
『温泉郷の年間パスポートがあるゾ!?』
『実はそれアタリなのです。このイベントは定期的に開催予定、年パスを持っていれば次も参加できちゃうかもなのです!!』
おぉ、それは熱いな!!
このイベントの何が素晴らしいって、参加費無料な所だ。
地味に使い勝手良さそうだしな、末賞のアヴァロンたわし。
『3等の当選番号は~~、下四桁!!2106、5100、8260、0600、1068。この5つなのです!!』
うお、一気に2000分の1かよ。
流石に手持ち24枚じゃ厳しい……、は?
えっ、?
嘘だろ?
「見てユニク、当たった!! 5100番!!」
「奇遇だねぇ、僕もだよ。2106」
「……え、それはズルいと思う!!」
「くっくっく、はい僕の勝ちー。どうやら君は惨敗する運命だったようだねぇ?」
……運命か。
うん、そうだな。どう考えても運命の采配だよな。
俺の手の中にあるチラシの番号、8260、0600、1068。
24枚中、3枚当たるってどんな確率だよ。
絶対に大魔王陛下が仕掛けて来てるだろ。
3等の当籤番号
2106
5100
8260
0600
1068
……迫真の全部タヌキぃ!!




