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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第226話「お祭り幸七・後夜祭⑦」

「準備はいい?それじゃ、サチナの2ndライブを開幕する!!」



 リリンの掛け声を合図にして、矢倉台ステージをライトが照らし、カツテナイ・ドラムロールが鳴り響く。

 アヴァロン組のカツテナイ・腹太鼓、というか、普通に楽器を演奏しているが……、ミニドラムを触った今の俺には分かる。

 このタヌキ共、ドラムを超絶テクニックで演奏してやがるッ!!すげぇ!!



「すー!はー!!みんなーー!!サチナの、サチナ達のーー!!2ndライブを始めるぞっ、ですっっ!!」



 うおぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 L、O、V、E さっちなたーん!!


 って感じの大歓声は……、起こらなかった。

 観客の視線はサチナに注がれている、ここに居るんだから興味もあるんだろう。

 だが、乗り切れていない。

 まるで、突発的に出会ったゲリラライブを見るような、冷めた好奇心の目が殆どだ。



「おいおい、どうしたんだゾ!?みんな元気ねーゾ。やっぱりオイラも行って」

「まぁ待てよ、ベアトリクス。サチナが一人でやるって言ったんだ、見守ってやろうぜ」



 ライブのオープニングは会場の雰囲気を温める重要なイベントだ。

 1stライブでやったベアトリクスと那由他との漫才で、俺も大いにドキドキさせて貰った。

 色んな意味で。


 そして、今、サチナは一人で舞台に立ちたいと言った。

 サチナがやらなきゃならない、これは禊なのです。と強い瞳を宿して。



「お前らーー!なんて湿気た顔してるですか!!」

「「どよ……」」


「確かに、さっきの地揺れは大きかったです、建物もみんな壊れちゃったです!!」

「ぉう……」


「だけど!!お前らの熱意まで揺らぐはずがねーです!!」



 サチナは叫ぶ。

 想いを声に変換し、マイクを通して世界へと。

 そして、呆然と聞き流していた観客が、すっ……と、口を閉じた。



「この程度の揺れなんかにビビってんじゃねーぞ、です!!」


「全然大したことねーですっ、横を見ろ、前も、後ろも、誰も死んじゃいないだろ、みんなそこにいるだろ、ですっ!!」


「あんなベッドから蹴落とされた程度の揺れなんかでショボくれるほど、みんなのテンションは低くねーだろっ、ですっっ!!」



 うん、実際、寝起きの木星竜を蹴落とした衝撃だったしな、あの地震。

 中々起きて来ない兄を8歳児の妹が蹴りで起こす、そんな微笑ましい光景……、流石に無理があるだろッ!?



「サチナがちょっと焦ってる?レジェ、どういう事か知ってる?」

「別に大したことしてないわよぉ。空に飛び立った全長100kmの木星竜に向かってサチナが単騎で突撃。そのまま、地面に蹴りつけ、踏みにじり、バウンドさせてぇ、蹴鞠の様に蹂躙しただけぇ」


「……それは凄い。流石、私のサチナ!!」



 喜んでいいのか微妙過ぎる。

 サチナの気まずさを必死に隠そうとしている感じからして、ここまでの被害は想定外っぽい。



「しょぼい天変地異なんか、温泉郷の楽しさに比べたら全然大した事ねーです!!」


「騒いで、遊んで、そして忘れちまえ、です!!楽しい思い出で上書きして、みんな笑顔になっちまえ!!」


「サチナを信じて……、ライブ感に乗りやがれ、ですっっ!!」



 必死なサチナのシャウトと、キィーンと響くマイクの余韻。

 誰一人としてサチナから目を離していない。

 そして、全員が握っている拳が、一斉に空に向かって突き上げられた。



「「「ぉおーーー!!L、O、V、E、さっちなたーーん!!」」」

「!!」


「大好きだー!」

「楽しむよ、ライブも、温泉郷も!!」

「よっし、叫ぶぞーー!!応援サイリウムはどこだー!!」



 冷めていた観客に熱気が戻り、耳を塞ぎたくなるほどの大歓声が目を覚ます。

 まさしく「ごぉおーー!」とどよめく大観衆、もう既に、さっきまでの空気感なんて微塵も残っていない。



「流石だな。これがサチナの本気か」

「権能を使ってズルしてるとはいえ、元々のサチナ人気が無ければここまでならない。結局は実力さ」



 今でこそ分かる事だが、笛吹き男を使った認識改変を仕掛けたのもワルトだ。

 ステージに上がった不審者を止めようと走り出した俺、そして、認識を偽られているからとワルトは俺の背中にシェキナの矢を刺した。

 金鳳花から教わった時の権能の仕組みをシェキナで創造か、上手いこと出し抜かれたもんだぜ。



「会場も温まったし、そろそろ行くか」

「だね、リリン、セフィナ。カスタネットの準備は良いかい」

「もちろん!!」

「私も大丈夫、いっぱい慣らすよ!!」



 そして俺達は、各々の楽器を手に取ってステージに歩み出る。

 楽器を召喚できるメルテッサだけは両手に花……、ドレスアップしたヴェルサラスクとシャトーガンマをエスコート。

 ヴァイオリン、グランドピアノ、ハープ、フルート、ミニドラム、カスタネット。

 俺の背後に立つクマとタヌキのドラム集団、ここまで揃えば、本格オーケストラ楽団と呼んでも良いだろう。



「それでは聞きやがれ、そして、ノリやがれですっ!!サチナの2ndライブ曲『木星よりわくわくを!!』」



 有名な音楽に『木星』という曲がある。らしい。

 リリンですら「聞いたことある!」という一般常識みたいな曲を即興でアレンジ、それが、この『木星よりわくわくを!!』だ。


 前奏の主旋律の主導をするのはメルテッサとワルト。

 ヴァイオリンとハープという二大弦楽器を巧みに使い、好奇心がくすぐられる軽快な音楽を奏でる。

 そこに、ヴェルサラスクとシャトーガンマのピアノと、レジィのフルートが寄り添った。


 音が、伸びる。

 打楽器を含まない管弦楽器特有の染み渡る音色に聞き惚れる観客、だが、この音楽の真価はここからだぜ。



「木星が、またたき~~」


「きらり、と光る~~、今こそにつ、ど、え、友よー!!」


「いくぞ、お前ら……、サチナと一緒に、あ、そ、べ、ですっっっ!!」



 夜空を指さし、サチナが歌う。

 俺達のクマタヌキドラム、そして、リリンとセフィナのカスタネット、そして、サチナの歌唱を起点にして、曲調がガラリと変わった。

 重みを感じる本格クラッシックから、ライトでポップな現代曲へ。

 ベースが有名な曲だからこそ巻き起こる拍手の合いの手と融合した、数万人規模の大楽団が温泉郷の未来を明るく照らして。

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