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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第220話「お祭り幸七・後夜祭①」

「想像はしてたが……、温泉郷は滅茶苦茶になっちまってるな」



 天窮空母から降り立った俺達を出迎えたのは、壊滅した街並みだ。

 2階建て以上の建築は、ほぼ、平屋のような状態。

 道の至る所に破壊された残骸が散らばり、タヌキ奉行も鬼の形相で走り回っている。

 天国から地獄とは、まさにこのことだろう。



「ゲームには勝った……が、な」



 木星竜を倒したことにより、130の皇の不死性が解除、俺とレラさんで森を巡って残党を狩り、事態に収拾を付けた。

 クリスタルにした分と、ホロビノの尻尾に封印された分を合計すると、味方を除いた皇の資格を持つ者の殆どを確保したことになる。


 行方不明になったエデンや愛嬌たっぷりなアマタノなどは取り逃がしたものの、サチナ軍のプレイヤーは130のまま。

 一方、金鳳花は手足である9つ狐を失った以上、この人狼狐の勝者はサチナで確定したと、レジィは結論付けた。



「どのくらいか想像もつかないが、かなりの被害規模だよな?」

「まぁまぁねぇ。もちろん、いい意味でよぉ」


「……これでか?」

「人はねぇ、限界を超えた恐怖を抱くと黙るものよぉ。これだけの喧騒があるんだものぉ、人的被害は驚くほど小さいと思うわぁ」



 行き交う人々は怒号をまき散らし、今にも喧嘩が起きそうなほど荒れている。

 だが、大魔王陛下的には好印象ならしい。

 確かに、騒げる元気があるってのは良い証拠かもしれないが……、そこらに居るのは腕に自信のある冒険者だぞ?

 ほら見ろ、やたら腕の太い剣士二人が取っ組みあっ、タヌキ奉行が乱入したぁああああああああッ!!

 そしてそのまま、オーバーキルゥウウウウッ!!



「おい、犠牲者が出たぞ」

「大丈夫でしょぉ?温泉郷はサチナの遊び場。パワーアップした時命の権能もある事だしぃ」



 現在、俺、レジィ、レラさん、セフィナ、ゴモラの4人と一匹で街並みを確認しながら、リリンとワルトを探している。

 サチナは温泉郷の女将として、復興の陣頭指揮を執るため離脱。

 カミナさんとメルテッサはメナファスと合流、傷病者の緊急看護に向かった。

 なお、ホロメタシス率いる魔導枢機霊王国軍(メカタヌキぐんだん)が森を警戒しているので、外的な心配は皆無だ。



「んー、どうパワーアップしたんだ?」

「レーヴァテインにも言える事だけど、時の権能や魔法って、復元前の状態を習得するのが最大関門なんだよね」


「レラさん?」

「ぶっちゃけ、物質の創造自体は魔法でどうとでも出来る。ただ、前と同じ状態を作るのが難しいのさ」



 レラさんの解説によると、誰かが書いた文字は俺でも書き写すことは出来るが、筆跡まで瓜二つには出来ない。

 そして、現在は数千から数万の命、物、環境がごちゃ混ぜに破壊された状況。

 急激な変化が多すぎるせいで、破壊前の状態がどんなものだったのか分からなくなってしまった。

 そうなると、一つ一つを丁寧に復元処理していくしかないが、それをすると優先順位が付くことになり、後ろに回された者たちは助からなくなってしまうらしい。


 だが、サチナの時命の権能は対象を望む姿へ進化させる力。

 最低限の蘇生のみを行い、そこから全員を対象に『元気だった自分』に進化を促すことで、時間逆行とは違うプロセスで再生を試みた。

 結果的に、人狼狐での死者はゼロ。

 タヌキにぶっ飛ばされた剣士も、ゾンビのような顔で起き上がっている。



「生物とは違い、建物には記憶がないからね。復元するには世界記憶を参照する必要があるんだけど、サチナちゃんは自分と観光客の記憶を使ってる。そっちの方が速いんだろうね」

「そうなのか?」


「世界記憶には温度や重力、移動エネルギーとかの復元には使わない情報も含まれてる。それが町一個分となれば膨大な訳さ」

「考えるだけでうんざりするな」


「建物の2階部分の復元が遅いのは、そこに何があるのか知っている人が少ないから。高階層になるほど、VIP専用になるだろうしね」



 なるほど、分かりやすい。

 サチナの記憶読みは関連事項に紐づけることで、過去の記憶を呼び出しやすくなる仕様。

 複数人の記憶を照合することで高い精度で復元できるだろうし、任意の状態で追窮を止めることもできる。

 恐らく、作業量的な問題から、生命救助+最低限のインフラ整備を優先しているんだろう。



「まぁ、これがサチナの限界よねぇ」

「だね。褒めてあげるくらいには頑張っているけど、なんとも歯がゆいね」



 ん?

 大魔王姉妹陛下的には、及第点って感じらしい。

 話を聞く限り、最高の結果のように思えるんだが……?



「何だよ歯がゆいって」

「2次被害が起きかねないのよ」


「2次被害?」

「なまじ、誰も死んでいないからこそ人が溢れかえり、人的災害が起きかねない状況。タヌキが問題を起こしそうなのを片っ端からぶっ飛ばしまくってるのも、時間を掛けていられないからぁ」


「そんなの、どうしようもないだろ。サチナだって、必死に宥めようとしてるじゃねぇか」

「だけれど、効果が薄い。いつものサチナなら場を納めるなんて児戯にも等しいでしょう。ただ、今は違うわ」


「戦った直後で疲れている上に、権能をフル行使。そんな状態で暴動の抑制までしてるんだもんな」

「それも有るでしょうねぇ。けれど、最大の問題点は……、運営顧問のテトラフィーアへの警戒心から、教わった手法を使うことに迷いが出ているわ」



 ……!!

 テトラフィーアに騙されたサチナは、どうしても、教わった手法を疑わざるを得ない。

 それ自体が、用意周到に準備された攻撃である可能性があるからだ。


 切羽詰まった状況で迷う、それが致命的な毒だとサチナも分かっているだろう。

 だが、8歳という年齢を考えれば、簡単に割り切れる事じゃない。



「先に白状するけどぉ、余に出来ることは少ないわよぉ」

「支配声域のサポートがあるのにか?」


「ブルファム戦争を優先していたから、温泉郷の運営に殆ど関わってないのよ。娯楽施設の一部に口出しする程度しかねぇ」



 混浴用のレンタル彼女貸出店とかやってたもんな。

 温泉郷の総支配人はリリン、そして、実情的にはテトラフィーアとワルトの管轄か。



「結局、ワルトナを取っ捕まえて復興させるのが一番手っ取り早いわ」

「ちなみに、居場所に見当は付いているのか?」


「リリンが勝った場合は……、あ、正解だったようねぇ」



 曲がり角を抜けた俺の目に、矢倉台ステージが映り込む。

 その周りの屋台も昨日のまま。

 作られたばかりのお祭りステージは記憶に新しく、完璧な状態で復元されたようだ。



「いらっしゃい、いらっしゃい!!今日は全品無料!!私のおごりだから、食べて食べて、食べまくるといい!!」

「いらっしゃいませ~~!ぶにょんぶにょんきしゃーうどんとサイドメニュー、無償で提供しています!よろしかったらどうぞ~~!!」


「……。」

「……。」

「……。」

「あ、おねーちゃん達がお店やってる!?手伝いに行こ、ゴモラ!!」

「ヴィギルーン!!」



 ……。

 …………。

 ………………何やってんだよ、お前ら。

 随分と楽しそうじゃねぇか?えぇ?


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