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ユニーク英雄伝説 最強を目指す俺よりも、魔王な彼女が強すぎるッ!?  作者: 青色の鮫
第13章「御祭の天爆爛漫」

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第168話「御神楽幸七・久遠竜鬼-こおりおに-キツネside③」

「ごめんね、レジィ、おねーさん負けちゃった」

「いいのよ、そのお陰で膝枕を堪能できているものぉ」


「レジィ……!」

「ロゥ姉様……!」


「薔薇色の空気をやめろであります!?こっちは修羅場でありますのでーー!!」



 ナインアリアの悲痛な叫びを無視しつつ、白銀比が優雅にワイングラスを傾ける。

 再び機嫌を損ねれば一巻の終わり、だが、それを分かっているであろうレジェリクエ達は、まるで緊張していない。



「非礼を重ねた詫びを奏上するわ、白銀比様」

「悪びれも無くいうなんし、御託は下げろと言ったでありんす」


「仕方がないじゃない。白銀比様の正体を調べるには、この方法しかないんだもの」



 椅子に座したレジェリクエがワイン瓶を手に取り、白銀比のグラスへ注いだ。

 アホの子師匠に用意したそこそこのワインでグラスを満たしつつ、深々と頭を下げる。



「この状況でわっちに酒を注ぐか。度胸だけはダウナフィアと同等でありんすな」

「キツネにお酒が効くのはサーティーズで実験済みだものぉ」


「齢100にも満たぬ小娘と、この極色万変を比べようとは、くく」

「タヌキと比べた方が良かったかしらぁ?」


「それをしたら、このグラスは献杯になったでありんしょうな」



 言外に殺すぞと脅されるも、レジェリクエは笑みを絶やさない。

 横でナインアリアが震えあがっていようとも、そんな無様を晒す訳にはいかないのだ。

 彼女達の戦いは終わっていない……、いや、これから始まるのだから。



「この状況を以て、あなたを白銀比様だと認めるわ。もう、隠し事はしないわよ」

「言うてみるなんし、なぜ、そう思ったのか」



 白銀比は他愛ない会話を『言葉遊び』とし、その時間を遊楽と捉えている。

 会話するチャンスがあると知っているからこそ、レジェリクエ達はこの戦略を取ることが出来た。



「サーティーズでさえ、時間の流れを操作する結界を使って来たわ。なら、上位互換の白銀比様や金鳳花は当然のように時間を止めてくるでしょう?」

「然り。戦いで苦労しないコツは、そもそも始めない事でありんしょう」


「同感ねぇ。ということで、カミナぁ、余達が辿った哀れな未来の記録映像を出してくれるかしら?」



 レジェリクエが行ったのは、自分の命を賭けた悪魔の証明。

 巻き戻されて抹消されたであろう未来を覗き見る、愚かな賢者のような行い。

 そして、未来を掴もうとしたレジェリクエの姿が、管制室のモニターに映し出される。



 **********



「報告します。魔力供給率、80%を超えました」

「あらそぉ、それじゃ、紅葉を迎え……、アリア!!」



 会話を中断し、一斉に、その場から飛びのく。

 巨大な魔力の出現に気が付けたのは、6名。

 魔導感知を持つナインアリア、壱切合を染め伏す戒具を持つレジェリクエ。

 カミナ、メナファス、エアリフェード、あと昼寝していたゴモラが一匹。



「面白い遊びでありんすな?レジェリクエ」

「ようこそお越しくださいました、白銀比様ぁ」


「ポーカーフェイスにしては粗末な出来なんし」



 つまらなそうに申し付ける白銀比と、内心で自分を褒め讃えているレジェリクエ。

 自分を含め、生き残った6名に他者を誉めている余裕なんてありはしない。



「どういう原理で皆の首が落ちたのかしら?」

「体と頭の時間軸をずらした。すると境界面の首が耐え切れなくなり崩れる、そういう物なんしな」


「敵意があると捉えていいのかしら?」

「氷鬼のルールは理解しておる。両軍を全滅させれば、おのずと、わっちの一人勝ちでありんしょう?」



 目の前の人物は、紛れもないキツネ。

 それも、高確率で白銀比本人であると、レジェリクエには分かっている。


 これは本気か、戯れか。

 問題なのは、自分の白竜狐軍の味方である保証が何処にもない点。

 紫蘭に敗北して洗脳されている、そもそも、金鳳花とグルであるなど、ネガティブな懸念を上げればキリが無い。


 だが、レジェリクエ達が氷鬼に勝つためには、目の前の皇を手中に収めるしかない。



「《大規模個人魔導・確定確率殺害(パラレルデス)》」



 相手は時間の流れを司る化け物、真っ当な戦いで勝てるはずがない。

 だからこそレジェリクエは、運に身をゆだねる。

 最も起こる可能性が低い未来を引き寄せる魔法を唱え、後は――。


 一気に距離を詰めるレジェリクエに合わせるように、左右からカミナとナインアリアが白銀比に詰め寄った。

 その隙間を縫うように這うのは、メナファスが放った酩酊弾丸。

 心無き魔人達の統括者達の寸分の狂いすらない連携へ、白銀の尾が差し込まれ。



「わっちの格は『極』。そこのタヌキよりも8つも階級が上なんし」



 優しく受け止められた刀身は、ゴミ一つ付いていない美しい姿。

 毛の一本すら、刈れていない。

 レジェリクエが抱いた感想は、格の違いを思い知らす言葉。

 そして、カミナもナインアリアもメナファスも、似たような意見を抱きながら奥歯を噛みしめている。



「これではあまりにも力の差があろう。どれ、遊びに付き合ってやるなんし」

「あらぁ、手加減してくれるのぉ?」


「30秒以内にわっちに触れれば主らの勝ち、どうかえ?」

「シンプルで良いわねぇ。じゃ、お言葉に甘えて」



 時間操作ができる相手を捕まえる。

 真っ当な方法では不可能なそれを達成する術を、レジェリクエは持っている。

 壱切合を染め伏す戒具を長針剣と短針剣に変化させ、チリチリと地面を引っ掻きながら走り出す。



「女の遊びと言ったら舞踊でありんしょう?」



 剣を突き出したレジェリクエに触れるギリギリの場所を、白銀比の指が通る。

 そのまま風圧で頬を撫で、妖艶な残り香をまぐわせた。

 連携が取れずに傍観するしかないエアリフェードの目に、幼女と美女の舞いが映り込む。



「カミナ先生!」

「手加減は無しよ、ナインアリア」



 踊っているのはレジェリクエ達だけではなかった。

 カミナとナインアリア、高いフィジカルを持つ二人が手を取り合い、振り回すように回転。

 もはやダンスとは呼べない激しい舞踏、強烈な踏み込みを行ったカミナから勢いを受け取ったナインアリアが、踊るレジェリクエ達へ向かって距離を詰める。



「《サモンウエポン=敵踊る弾奏ヘビィ・エネミー・クレイジー》」



 静かだった世界に、甲高い撃鉄の演奏が奏でられた。

 一見すると無差別乱射、だが、それらは全て計算された必殺の一射。

 触れれば勝ちというルールを生かした、接触最優先の威力の低い弾丸がナインアリアと共に踊り狂う。



「《五趣六道撃でありますぅうう!!》」



 ちゃらり。と白銀比の掌が鳴った。

 そこに握られているのは、虹色のガラス片――、おはじき。



「どれ、わっちの番なんしな」

「避けなさい、アリアッ!!」



 数百もの弾丸と共に、ナインアリアが消滅した。

『おはじき』は、ガラス玉を指で弾いてぶつけ、その対象を取るゲーム。

 白銀比によってガラス玉と認識されたメナファスの弾丸とナインアリアはルールに従い、不干渉領域へと隔離されたのだ。



「だ、」

「ちょっ、今は態勢が」


「る、ま、さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ!」

「あーもう、子供時代にもっと遊んでおくべきだったわ」



 振り返った白銀比に睨まれ、カミナが氷結。

 一方、それを予想していたレジェリクエは自ら停止し、白銀比が目を閉じる瞬間に狙いを定める。



「だ、る、ま、」

「30秒しかないのにぃ、10カウントは悪手じゃなぁい?」



 支配声域で揺さぶりを掛けながら、壱切合を染め伏す戒具の効果を起動。

時刻回帰パーペチュアルカイロス』を使用し、地面を引っ掻いて設定していた時間軸へ、自身を転送する。

 身を隠して忍び寄らせる二振りの針剣、その切っ先が届くまであと6秒、「さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ」では、1カウント間に合わない。



「さ、ん、が、」

「おに、とっーー」


「たぬき」

「は?」



 それは、だるまさんが転んだの亜種。

 だるまさんが××と宣言されたら、その物真似ポーズで停止しなければならないという、那由他が作ったオリジナルルールだ。



「タヌキに見えんなんしな?アウト」

「痛恨のミスねぇ。セフィナを外に出すべきじゃなかったわ」



 これを回避できるのは、古今東西、アホの子姉妹だけ。

 そんな確信を抱きながら、レジェリクエが氷結する。

 その瞳に、最愛の姉の姿を映しながら。



「次は何して遊ぶなーんし?」

「にゃは!」

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