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#1-11 期待の新星//第1話

「え!ホントに!?」


 キラキラと瞳を星空のように輝かせて言った直輝の言葉を聞いて、くるみんがガタっと席を立つ。

 くるみんの食い付きがすこくいい。

 王魔先輩って誰だろう?何処かで聞いた事がある気が……。


「ギターとか、ドラムとかの音も聴こえる……。ライブかな?」


「……生徒会は、今の時間に王魔が所属する何にもライブの許可を降ろしていないがな。」


 わくわくした気持ちが隠し切れないような直輝に、火鳥副会長は冷ややかに言う。

 普通科にいた時から聞いていたが、芸能科では昼休みに学園内の野外ステージ等でライブをしたりするらしい。

 そのため、この学園は一般的な学校と比べて昼休みが長い。


 昼休みにライブをすると言っても見ることが出来るのは生徒だけだし、収入はないので暇つぶしとか宣伝にしかならないらしいけど。

 昼休みにライブをするのには、生徒会に申請しないといけないのか。


「王魔先輩の事だし、また非公式でしょ!なおくん、ちょっと見に行きましょうよ!」


「いいね!」


 弾んだ声で言ってくるみんが立ち上がる。

 ……え、私、置いて行かれる感じ!?

 火鳥副会長と2人だけって、気まずすぎじゃない?


「少ししたら戻ってくるからみなみんはゆっくり食べてて大丈夫!」


 くるみんは私に軽く手を振って、直輝と一緒に行ってしまった。

 ま、待って~。

 私コミュ障なんだよ!?重度の。

 初対面の先輩、しかも生徒会副会長さんって気まずすぎるよ。

 無理だよ。私、どうすればいいの?


「…………先程も言ったが、俺はお前にはアイドルになってほしいと思っている。」


 ……何故?

 私がアイドルになったところで、火鳥副会長には何も利益はないと思うんだけど。

 火鳥副会長は顔を上げると、ズレた眼鏡を直す。


「そしてもし山田が嫌ではなかったら、俺達のユニット、“RePeat's”に入ってほしい。」


 ――――“RePeat's”に入ってほしいって言いました?

 何で?絶対私蛇足。お荷物、役立たず。

 入れる意味ないですよ?なんなら邪魔ですよ?


 火鳥副会長はパニックになっている私の心情等勿論知らず、じっと直輝とくるみんが走って行った方向を見て続ける。


「“RePeat's”のユニット名は、俺が決めたんだ。“楽しい時間は何度でも繰り返したい。”とか“どんなに大変な事があっても立ち直りたい。”とかそんな想いでな。」


 火鳥副会長は誇らしげに教えてくれる。

 うん。私もすごくいい名前だと思う。

 それに、3人のイメージにピッタリだ。

 まだ会ったばかりだけど。


「……だが、少し俺達は繰り返し過ぎている気がするんだ。同じ事の繰り返しで、前に進めていない、成長出来ていない。」


 嬉しそうだった火鳥副会長の表情が曇る。

 繰り返し過ぎている……。

 やっぱり、同じ事の繰り返しじゃあ駄目なのか。

 少しずつ上手くなっていかないと、少しずつ新しいパフォーマンスを取り入れていかないとって事かな?


「俺は“RePeat's”が次の段階へ進むためには、何か分かり易いきっかけが――鍵が必要だと考えている。そして、その鍵はお前――山田 未無未だと。」


 え、えええええぇぇぇぇ!?

 私が鍵!?そんなわけないじゃないですか。

 私はそんな大層な人間じゃありませんよ?


 と大声で反論したいが、火鳥副会長は至って真剣に、私を最後の希望かのように見てくる。

 ……言い辛い……。

 どうせ言えないけれども。


「なんとなくで、明確な根拠は無かったんだけどな。今お前達3人が一緒にいたのも、何かの縁だろう?仲も良さそうだし、ユニット単位でしか出来ない事もある。山田にとっても悪くない話だと思うのだが?」


 確かに、私にとっては悪くない話かもしれない。

 でも、“RePeat's”には悪すぎる話なんだよね……。

 私が入っても、火鳥副会長の期待通りにはならない。

 足を引っ張って、現状維持をしてきた“RePeat's”を、衰退させてしまうだけだ。


 どうして私は、こんなに期待されているのだろう?

 応えられないのに。

 どうして折角私と関わってくれた人達の期待を、裏切らなければならないのだろう?


「……2人が帰って来るな。俺も友人同士の時間を邪魔をするつもりはない。この話はここまで。……ユニットの件は考えておいてくれ。」


 火鳥副会長が見つめる先に、まだ少し遠いが直輝とくるみんの姿が見える。

 火鳥副会長はいつの間にか食べ終わっていて、ふっと息をついて立ち上がる。


「俺は生徒会の仕事があるからもう失礼しよう。またな。」


 火鳥副会長はくるりと食器返却カウンターの方を向くと、

 きびきびと歩いていく。


 ……食べるの速くない?

 勿論私ももう食べ終わっているけど、火鳥副会長、食べ始めたの私より大分遅かったのに……。


「ただいまー!ライブサイコーだったよ!非公式軽音部のライブ。ちょうど終わりそうなとこだったからちょっとしか見れなかったケド……。」


「王魔先輩、格好よかったー!1年生ちゃん、頑張ってたね。……あら、返理先輩もう戻ったの?」


 ライブの余韻が冷めないのか楽しそうな表情の2人。

 私が頷くと「そっかー。」と少し残念そうに眉を下げた。


「返理、生徒会の仕事大変そうだねー。過労死しないかな?」


「わたし達が支えられる所で、支えていかないとね。」


 心配そうな表情の直輝を励ますようにくるみんが言う。

 ……直輝の発言が怖い。

リアル事情で次回投稿かなり遅れます。

すみません⤵️⤵️

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