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将来の夢


 初めてあなたが将来の夢を話してくれたのは、ちょうど10歳のときだったんだよ。


 小学校の授業参観日で2分の1成人式をしたときのことだったんだ。


 でもなんでだか私にはすぐに教えてくれなくて、何日かしてからようやく教えてもらえたんだけども。

 別にいじけてませんけども。



 あなたの将来の夢の話を聞いて、不思議な気持ちになったんだ。


 あなたがこの先、自分のやりたい仕事のために大学で仲間たちと過ごす未来を想像してみたら、何とも言えない気持ちになったんだ。


 まるで自分の人生を、違うストーリーで2回経験しているみたいな、そんな気持ちになったんだよね。



 あなたと私は親子とはいえ別の人間で。

 いつかははなればなれになって生活をすることにはなるんだけども。


 でも、あなたがどこかで頑張ってる姿を想像すると、それも含めてそれは私の人生の一部なんだよなって思いになったんだ。



 きっとね。


 今は大変だと思う。


 義務教育期間って、ただ近隣の人間が年齢別にひとまとめで管理されてるだけだから、合わない人や考え方が根本的にかみ合わない人たちとも一緒に過ごさなくちゃいけなくて、すごく苦痛だと思う。


 ……ん?

 ということはお受験すれば多少は価値観の近い人たちと過ごせるのかな?


 どうなんだろうね。

 職場の人たちの話を聞く限りだと、お受験学校の中身も開けてみたら公立に負けず劣らず(下手すりゃ公立以上に)ドロドロしてるらしいけども。


 まあどちらにせよ、義務教育期間って苦痛だよね。



 でもね、高校まで行けば、少しずつ自分と考え方が近い人たちの比率が増えてくるし、大学に行けば、その学部には自分と同じ資格を目指す仲間しかいなくなるから。


 もう少し辛抱してみてよ。



 思考や感性の似た人間が集まってくるから、きっと今より楽しいと思うよ。


 同じ目標を目指す仲間と過ごす時間は、きっとあなたの財産になると思うんだ。


 



 きっとあなたはもう、自分の中で答えを持ってるんだろうね。


 今のオトモダチに対しての優先順位。



 オトモダチと仲間は違う。

 仲間ができるのは、きっとある程度大人になってからになると思う。


 あなたはきっと、仲間を大切にする人なんだと思うよ。




 将来、あなたが素敵な仲間たちに恵まれますように。


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