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知ること



 知ることって人生を豊かにすることだと思う。



 だけど、真実って優しいものだけではないから。


 不意に知りたくもないことを知ってしまって、傷つくこともあると思う。


 知ってしまうことで苦しくなることもあると思う。


 知ってしまえば、知らなかったころにはもう戻れない。


 知ってしまった事実は、なくすことなんてできないから。



 人って忘れようって思うものほど忘れない生き物らしいね。

 忘れないようにしようって気をつけてるものほど忘れちゃうのにね。

 うまくいかないね。



 知りたくもない真実を知って、

 世界を見る目が変わってしまって、

 もう世界の何もかもが嫌になったことがあったとしても、


 やっぱり時が経ってみてしまえば、

 そんなの別に大したことじゃなかったなって思えるようになる。


 自動的になるわけではなくて、成長とともに乗り越えられるようになれるって感じかな。


 そういうのを、時薬(ときぐすり)って言うんだってさ。



 ちゃんと、いつか、そんな日が来るよ。


 知りたくない事実って、心の準備ができてるときに飛び出してくるわけじゃないからさ、やっぱりそれなりにショックだったりするよね。



 だけどさ、真実を知るたびに屈してたら、いくら時間が経ったって乗り越えられないから。



 それがどうした。だからどうした。

 潰せるもんなら潰してみろよって、世界に立ち向かってるうちに、意外に世界は敵じゃないかもって思えるようになったんだ。



 世界は敵じゃない。


 ただ、親切じゃないだけだって。



 だから知りたいって思うんだ。


 親切じゃない世界と、うまくやる方法を。




 知ってみると、まあまあこの世界も悪くはないかなって思えるようになる。


 知るって大事なことなんだなって気づくようになる。


 世界の優しさって、なかなか分かりにくいし、生ぬるいし、かゆいところに微妙に届いてないし、まだるっこしい。


 だから、知ろうとしないと気づけない。



 知ろうと思う気持ちって、絶対に持ってた方がいい。


 学習意欲とか、勉強しろとか、そんな仰々しいもんじゃなくてね。



 世界は親切じゃない。

 優しさは持ってるけど不親切だ。


 簡単に助けてはくれない。


 なんだかずいぶん小難しい言葉を使ってこっちの気持ちを萎えさせてくる。



 試練を乗り越えた先に得られるものの大きさは人それぞれだけど。



 知ろうとしない人は、知ることはできない。



 与えられる情報だけを、鳥の雛みたいに口を開けて待ってたって、うまいものは手に入らない。



 親鳥が咀嚼して吐き出したものを食わされるより、自分で狩りして仕留めて食った方が何倍もうまいと思うよ。



 自分の足で歩いて、うまいものを探しに行こうさ。


 本当にうまいものっていうのは、誰かに教えたりしないもんさ。


 だって、人気になって自分が食べれなくなったら嫌じゃない?


 みんながうまいうまいなんて言って褒めてるものなんかさ、ただの同調心理だよ。


 それか、店側がコストをかけてそういう評価を買ってるとかね。


 私は、本当に良いものは信頼できる人にしか教えない。


 価値の分からない人になんか、土足で踏み込んでほしくないからね。



 さあ、知るために何をしようか。


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