840.海水を
「知っているのか?」
「はい、私の故郷では海水から作ったにがりをエルフたちに売ってましたわ」
なんと、そのままズバリじゃないか。ラッキーだな。
というか、エルフに売っていたのか……。
ステラのいた国に近しい人もそうだったのかな?
「朗報だな。百島諸島ではそうしたこともやっているのか……」
「でも売ってるもぐ? 自分たちで使わないもぐ?」
「ええ、私たちは一切使いませんわ。でもエルフには必要みたいで」
ジェシカの頭の上のぴよ帽子が揺れる。
「にゃーん。生産だけ請け負っているってことにゃん」
「ふむ、そういう関係か……」
「トーフゥーは東方エルフ専用の食材で、私も見たことはありませんわ」
発音……は、まぁ良しとしよう。
見たことがないのなら、仕方ない。
「もぐ! ちょっとだけ話は聞いたことあるもぐ。ふわふわで、フォークで刺せないもぐとか」
「スプーンで食べるにゃん?」
「形が崩れるので、スープのようにすすると聞きましたわ」
それはおぼろ豆腐か湯葉なのでは……?
まぁ、豆腐の種類まではいいか。とりあえず豆腐をゲットしなければ。
「食べ方は問題ない。海水がその杖から出れば……」
ジェシカがでーんと杖を掲げる。
「大丈夫ですわ。ちゃんと海水も生み出せますわ!」
「おお! 素晴らしい!」
「でも大量の海水は生み出せませんわ。かなりの魔力が必要ですもの」
「やはりその制約はあるか……」
冷水や湯とは違い、海水はハードルが高いようだ。
ただの塩水じゃダメだからな。
俺の植物魔法もだが、不純物が多いものを生み出すのは逆に難しいのだ。
そこでイスカミナがふにっと手を上げる。
「もぐ! 海水が欲しいなら、再現できるかももぐ!」
「それは魔法具でか?」
「そうですもぐ!」
なるほど、化学的に調合するわけか。
大量生産できるなら、もちろん方法は問わない。
「水をカチャカチャいじって、海水にできますもぐ。問題はどういう海水にするかですもぐ。モデルな海水さえ決まれば……」
「量産できる可能性があるわけだな」
「ですが、まずは海水が必要なのかですわ。すべて同じではありませんもの」
「むっ、そんなに種類があるのか?」
確か、塩でも色々と違うらしいし。
海水の違いでにがりも変わりそうだ。
「私の杖からなら、30種類の海水が出せますわ!」
どーんとジェシカが胸を張る。
「お、おう……そんなにか?」
「水にこだわりがありますにゃん……」
水をカチャカチャ……?
深く気にしちゃいけないんだぞ!
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