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【4月コミカライズ発売!】植物魔法チートでのんびり領主生活始めます~前世の知識を駆使して農業したら、逆転人生始まった件~   作者: りょうと かえ


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830/840

830.モネット

 モネットとナナは留学時代からの友人であった。

 今でも手紙でのやり取りは続き、時折消息を知らせてくれる。


「ふんふん、みゃ……」


 モネットは友人からの手紙を食い入るように読み進める。

 ところがある程度読んだところで、モネットは大きくのけ反った。


「みゃ! あれは本当だったのかみゃ……?」

「何か大変なことが書いてありましたか?」


 モネットが手紙を読んでのけ反ることは珍しい。

 側近が声をかける。


「英雄ステラが現れた、という噂は知っているみゃ?」

「少し前からそのような噂がありますね。近くの森の国でも……」

「ナナの手紙はザンザスからみゃ」

「なんと……! それでは、まさか……」

「そうみゃ、別件で行ったときに確認をしたみたいみゃ」

「それで、真偽のほどは……」


 側近も真剣な面持ちで前のめりになる。


「本物、ナナはそう判断しているそうみゃ」

「それは……本当にあの闘神、ドラゴンを投げ飛ばして倒した者、リヴァイアサンを素潜りで倒した者、不眠不休で四日間戦い続けた者、史上最強のエルフ、英雄ステラ様でしょうか?」

「大半は誇張みゃ」

「失礼しました、数々の伝説がありますゆえ……」


 英雄ステラの名は東方の諸国に響き渡ってる。

 様々な伝説はあるが、真実からは程遠いだろうというのが現代人の感覚だ。


「本物のステラ様であれば……やるべきコトがあるみゃ」 


 尻尾を振りながらモネットは机の上の筆に手を伸ばした。


「モネット様、ちょうどアルネスト王国から記念式典の招待が来ています」

「それは実に好都合みゃ」


 モネットが筆にインクを染み込ませ、手紙を書こうとしたところで――モネットの王家の指輪から黄金の光が放たれ始めた。


「みゃっ!」


 光が放たれると同時に、モネットがさっと指輪を反対の手で覆う。

 モネットが指輪に魔力を送り込むと、指輪の光は徐々に小さくなっていった。


「大丈夫でございますか……?」

「……問題ないみゃ」


 モネットは身体を振るわせながら答えた。

 王家の指輪には古代の悪しき魔力が封じ込められている。封印を維持するためには、所持者が魔力を送り込み続けなければならない。


「その指輪も、なんとかしませんと……!」

「無理みゃ。この国で最も魔力が強いのは、私みゃ」


 モネットは首を振った。

 エストーナ王国において、モネットは随一の魔力を持っている。


「モネット様……」


 しかしそれでも、封印が大変な負担であることを側近は理解していた。

 生暖かい秋風が吹き、雲が月を隠し始める。

 モネットは白い尻尾をふにっと揺らした。


「みゃ……。これは私の責務みゃ。英雄ステラの末裔としての、義務みゃ」

お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ステラに庇護されて、封印を託された者の末裔なのかなぁ。
本当に誇張ですかねぇ…(・∀・)ニヤニヤ
また自称子孫の子孫さんが…
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