271.穴の障害物
地下広場。
戦いは三十分を超えたが、なんとか終わりが見えてきた。
パズルマッシュルームはもう残り四分の一程度だ。
「ウゴゴー!」
ウッドが赤いパズルマッシュルームを、同じく赤いパズルマッシュルームへ投げつける。
「✕○△ー!」
チカっと光ったパズルマッシュルームがそのまま崩れ落ちていく。
「ぴよーっ!」(てやー!)
「ぴよよ〜!」(どっせーい!)
コカトリスも目をぺかーさせながら、縦横無尽に活躍している。
パズルマッシュルームを担いで、ポイッと投げ続けてるのだから。
……パズルマッシュルームはどうやら、完全にご飯のようだな。全く恐れていない。
それに目もずっと光っていた。
すごくコスパがいいんだな、あれ……。
そんなことを一瞬考えていると、俺に呼びかける声がした。
「あっちに通路があるみたいですぜ、エルト様!」
「風が流れてるでござる!」
アラサー冒険者とハットリが切り開かれた奥を指差す。苔の光も乏しくて見えづらいが……。
薄ぼんやりとさらなる奥への通路がありそうだ。
「ぴよー?」(ふぇー?)
そして冒険者の指の動きにつられて、コカトリスも奥を向く。
ぺぺかー。
そうすると、奥の穴もばっちり照らし出された。
さすがコカトリスアイである。きっちり見えるようになった。
確かにここまで来たのと同じ、石造りの通路が向こう側にもある。
まだ奥へと進む道があったわけだな。
しかし――それだけではないようだ。
「ウゴ、とうさん……! あの奥から!」
ウッドも気が付いたようだな。
そう、奥の穴が照らし出され……青いパズルマッシュルームがもにゅと姿を見せる。
恐らく向こう側の通路は、さらにザンザスの第三層へ近くなるのだろう。
ならばパズルマッシュルームも向こうからやってくるのは道理である。
「どうやらあそこから入ってくるみたいだな。一旦塞がないとダメそうだ。でないと、ずっと戦い続ける羽目になる」
俺の言葉にアラサー冒険者が即座に同意する。
「ええ、今回はここらが引き時でさ! 無理することはねーですぜ!」
「ウゴ、でもどうやって?」
疑問を持ったのはウッドか。
しかし俺には植物魔法がある。何かをすぐ生み出すのには困らない。
今回は――うん、これでいいか。
俺は自信を持って言い切る。
「俺に任せろ」
俺は腕に魔力を集中させ、魔法を発動させる。
【緑の武具】
久し振りの魔法だな。
しかしちゃんと発動できた。
前のイメージ通りに続々と木製の盾が生み出される。そう、木製の盾が一枚、二枚と現れたのだ。
「こりゃ、フラワーアーチャーのときの魔法ですかい!?」
「なるほど、読めたでござる!」
俺の生み出した盾を見て、ふたりは即座に思い出したようだな。
そうこなくっちゃな。
そしてウッドも首を傾げながら、
「ウゴ……障害物にする?」
「その通りだ、ウッド」
俺は頷きながら、前世のさらなる知識を引っ張り出していた。
パズルマッシュルームのパワーはトールマン(いわゆる俺みたいな人間)の大人並みだ。
逆に言うと、それしかパワーはない。
そして器用な腕も連携もないからな。
ゲームでも障害物を設置するとすぐに右往左往していたものだ。
この辺りがフラワーアーチャーとの違いだな。あっちは単純な障害物では止められないのだ。
「よっしゃ、どんどん持って穴を塞ぎやすぜ!」
「一時封鎖でござる!」
俺の作った木製の盾を冒険者達がわっせわっせと運んでいく。
力持ちだけあって早業である。
「ぴよよ!」(えんご!)
「ぴよーっ!」(それーっ!)
コカトリスもそれをアシストしてくれる。
というか、こっちの意図をすごい読んでくれるな……。ぴよ賢い。
その間にも俺は盾を生み出し続ける。
「ウゴ、俺もいく!」
ウッドが盾をいくつも抱えて、穴へと向かう。
もうすぐ穴は盾によって塞がれそうになっていた。
「行くんだぜ!」
「もうちょいでござる!」
「ウゴー!!」
ウッドが盾を穴へと押し込み――完全に塞がれた。
「△✕✕○ー!?」
穴の向こうからパズルマッシュルームの鳴き声が聞こえるが、積み上げられた盾はびくともしない。
これで少し様子を見て――問題なければ封印完了だな。
まぁ、大丈夫だとは思うのだが。
「よし、あとは……残ったパズルマッシュルームだけだ!」
「「おー!」」
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