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顔捜しの間  作者: み-ま
3/9

『2章』 顔捜し

◇◇◇◇


 すると突然周囲に並ぶ巨大な鏡に、色々な人の姿が映し出された。その人達は皆、目を閉じて眠っているようだった。


「ではお捜しください、あなた自身を。」


驚いた事に、その掛け声と共に周囲の鏡がゆっくりと回りだして、1枚ずつ、ちょうど私の正面に来ると一時的にストップする。私は促されるままに、私の前に止まった鏡に映し出された人の姿を、1枚1枚じっくりと見ていったが、どれを見ても何も感じる事が無い。どれ位続けてきただろうか。焦燥を感じ始めた私に、


「落ち着いてください、焦る必要はありません。必ずあなたの実体に巡り会えますので、安心してお続けください。」


そう闇の声が励ましてくれた。


くるくるくるくる回る何枚もの鏡。


それらを1枚ずつ順に順に確認し続けていたその時、突然ある1枚を目にした途端、私の中でサイレンのようなものが鳴り響く妙な感覚に囚われた。でも私の記憶は何も甦らない。鏡は次に進んだ。


すると・・・、


突然私の目の前に、車が迫って来る残像が浮かんできた。私は恐怖に目を瞑りそうになったが、元々目を開いていたのか閉じていたのか、そもそも目で見ていたのかどうかさえ謎だった。闇の声の言う通りなら、今の私にはそもそも実体が無いのだから。


私が動揺している間に、その閃光のような残像はいつの間にか消えていて、私の目の前には次の鏡が止まっていた。


その鏡に映る人を見た瞬間、全ての記憶が甦った。


その鏡に映っていたのは私ではない。同じクラスの委員長・佐伯愛美さんだった。

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