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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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25 皆でプールに決まりました

「あそこのプール施設、確か売店で『真夏の奇跡♡弾けるメロンクリームソーダ』っていうのを販売するぞ。リニューアルオープン記念の特別メニューで」

「クリームソーダ……!」


 雨宮さんがどら焼きマニアなら、雲雀はクリームソーダハンターだ。  

 ピクッと雲雀の片耳が動く。


「雲雀が行かないなら、俺たちで飲むかな……」


 雷架の悲惨な回答用紙が載る机に手をつき、俺はわざとらしく煽ってみせる。素直じゃない奴には、このくらいがちょうどいい。 

 フルフルと震えていた雲雀が、やがてツンッとそっぽうを向いた。


「そ、そこまで言うなら! せっかくの機会ですし? 生徒会の仕事なのに不参加もよくないですし? 仕方ないから参加してあげます! ほだされたわけでも、クリームソーダの誘惑に負けたわけでもありませんから!」


 早口の雲雀はやっぱり素直じゃない。

 なにはともあれ、これで全員参加だ。


 三年の副会長さんにも許諾を得ており、「荷物持ちとかさせてもらうよ……ははっ」とのこと。破天荒な会長に振り回されているのか、苦労人の匂いがする。


「じゃあ決定ね!」


 当の会長は晴れやかな笑顔だ。

 すべて彼女の思惑通り事が運んだもんな。俺も雨宮さんの水着が見られそうで助かる、命が。


「私個人としても、みんなで思い出作りがしたかったの。中学までは、普通の学生らしい夏って過ごしたことがなかったから」

「会長……」

「ふふっ! いいわね、学生らしい思い出作り」


 会長の言葉は、これまでの彼女の環境を知る俺だからこそ、深い実感が籠っているように聞こえる。素直によかったなって。


 感慨深く会長を見つめていたら、くいっと制服の裾を引かれた。

 犯人は雨宮さんだ。


「ん? どうかしたか?」

「は、晴間くんは、あの……会長さんのこと、えっと……」


 雨宮さんはなにやら、むにゃむにゃとした表情になっている。

 なんでだろう、会長がなんだ? 


 その心の内を確かめたかったが、すぐに「な、なんでもない! ごめんね」と裾を離される。


「雨宮さ……」

「よおおおおおし! 雷架ちゃん、フルパワー!」


 追求しようとした俺を、盛大に邪魔してくれやがったのは雷架だ。回答用紙に向かってバリバリとペンを走らせ始める。


 間違えた答えを直しているのか。その心意気はよし。

 だが空気読まねぇな、コイツは!


「よければ私も、勉強を見て差し上げましょうか? これでも教えるのはけっこう得意なのよ。雲雀ちゃんもね」


 有難い申し出をしてくれた会長は、流れるように雲雀も巻き込んだ。


「私は教育側の経験なんてありませんから! そもそも後輩に教えられるとか、さすがに雷架先輩にもプライドというものが……」

「フライド? フライドチキン?」

「なさそうですね、プライド」


 俺もないと思うぞ。

 雨宮さんはもうむにゃむにゃを引っ込めて、雷架の隣で応援に回っていた。


「が、頑張ろうね、小夏ちゃん! 私も妹たちの宿題とかよく手伝っているし、いくらでも付き合うから……!」

「うん、がんばる! プール絶対行く!」

「その意気だよ!」


 フレーフレー!と声援を送る雨宮さんに、俺もとことんまでやってやるかと気合いを入れ直す。

 これも青春、なのかな。


 残りの放課後は四大美少女たちと共に、雷架の試験対策にあれこれ奔走して過ぎていったのだった。


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【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
晴間くんも男の子だったんだネ〜 ただ、雨宮さんの水着姿に心臓が耐えられるのか?瀕死の表現が楽しみです しかし、4人の美少女とプールなんて…羨ましい ノベライズ3巻発売の1月20日が待ち遠しい!
チョロくて素直じゃない雲雀ちゃん可愛い
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