表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/108

24 みんなでプールですか?

 すべては会長が言い出した、「晴間くんは可愛いカノジョと、素敵な一夏の思い出を作りたくはないかしら」という悪魔の囁きが発端だ。

 例えば海やプールに行って、水着な雨宮さんは見たくないのか、と。


 俺の答えはひとつ。

 心から見たい。


 だけど奥ゆかしい雨宮さんを、そういう場に誘うのは難易度が高かった。あれだ、俺の下心も透けて見えてしまう。


 そこで、俺が会長……hayateとのコラボをOKすれば、会長がそのお膳立てをしてくれることになったのだ。


 生徒会の活動の一貫という大義名分でプール施設のことを持ち出し、雨宮さんが誘いに応じやすい状況を作ってくれるという。

 思考時間は約二秒。

 俺はあっさり負けて、気付けば頷いていた。



 ――夏は人をバカにする。バカ上等である。



 そんな裏の経緯があったわけだが、会長の提案に真っ先に反応したのは、何故かおバカの雷架だった。

「えー! いいな、いいな! 楽しそう! 雷架ちゃんも行きたい行きたい!」


 椅子から立って挙手するコイツは一番関係ない。

 生徒会メンバーではないだろう、お前。


 しかし、会長は鷹揚に頷いた。


「晴間くんたちの同級生の、雷架小夏さんね。いろんな運動部で助っ人としてご活躍されていることは、私も耳にしているわ。いたら面白そうだし、参加を許可しましょう」


 そんな簡単に!

 どんぐりのような雷架の目が輝く。


「やった! 会長さんふとっちょ!」

「太っ腹と言いたいのかしら? まあ許すわ」


 ガバッと雷架は、雨宮さんにもバッグハグを決める。


「アマミンとプール! 嬉しいな!」

「わ、私も……小夏ちゃんと夏休みに遊べるの、嬉しいよ」


 控え目に雷架と頬をくっつけ合う雨宮さんの可愛さ、地球を救う。雷架が意図せず、雨宮さんの参加表明も引き出してくれて有難い。 


 グッジョブ、アホの子!

 だが俺はあえて水を差しておく。



「次のテストで赤点取って補習になったら、たぶん行けないぞ。頑張ったら、プールは『ご褒美』だな」

「ごほーび! 雷架ちゃん、燃えてきた!」


 やはり俺の推測通り、雷架は危機感を煽るより、達成報酬がある方がモチベーションも上がるタイプのようだ。

 これで勉強にも本気になってもらいたい。


 反して雲雀だけはツリ目をさらにつり上げて、お人形さんの如き美貌に憮然とした表情を載せた。


「勝手に進めないで頂きたいのですが……私はまだ、参加するとは言っていませんよ。夏休みはバイトもあります」


 雲雀らしいといえば、雲雀らしい渋り方だ。


 好んでプールではしゃぐ性格ではないし、彼女はアメアメの姉妹ブランドであるロリィタ服専門店でバイトをしている。

 乙女ワールドを全開にした格好の雲雀は、今やそこではカリスマ店員扱いだそうだ。


 あそこの店長とは俺も面識があるが、むしろ雲雀を「シフトなんて気にしなくていいから行ってきなさい!」って送り出しそうだけどな。フルーツ柄のロリィタ服を愛する気さくな方である。


「あらあら、そんな態度でいいの? 晴間くんだっているのに」

「べっ……別に私は! 晴間先輩なんていてもいなくても!」


 ニヤニヤ迫る会長に、雲雀はシャー!と威嚇する猫のように言い返す。


 なんで俺を引き合いに出した?

 いてもいなくてもって、地味に酷いぞ。流れ弾は止めてくれ。


「えー! ヒバリンも行こうよ!」

「私も……雲雀さんと、一緒に行きたいな」

「で、ですから私は……」

 ここで雷架と雨宮さんの、汚れのない純粋な懇願攻撃。強烈なコンボに、雲雀が揺れているのがわかる。

 もうあと一押しと見た。

 そういえば……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ