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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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22 プロジェクトが始まってしまうようです

 会長と出掛けた翌日には、美空姉さんから興奮しきった電話が入った。


 渋っていたhayateとのコラボ案件を俺が受けたことは、会長側からアメアメ本社に連絡が行ったようで、俺から伝えるまでもなかったということだ。

 美空姉さんは早口に捲し立てた。


「プロジェクトチームは早急に立ち上げるわ! 世間へのお披露目は手始めにWEB上で、来月末には大々的に行いたいところね!」

「ス、スケジュールの問題は……?」

「そんなのどうとでもするわよ! 今の私、アドレナリンがヤバいから! あ、なんか知らないけど生徒会にも入るんですって? コウちゃんのカノジョには今度会わせてね! 約束!」

「ドサクサに紛れて約束を取り付けないでくれ!」

「学生を謳歌しながら仕事も頼んだわよ! よろしくね、我が社の絶対的エースモデルのhikari様!」


 こっちの話は一切聞かず、無常にも通話は切れた。


 そんな感じであれよあれよと話は進み、三日後には諸々の案件が進んでいた。

 なんとなく流れで生徒会入りも許諾をもらい、俺の波乱万丈そうな夏は本格始動したのだった。




「な、なんだか大変なことになっていたんだね……」

「とにもかくにも怒涛って感じかな。いや、会長の悪魔の囁きに負けた俺が全部悪いんだけど」

「む、無理はしちゃダメだよっ」

 机を挟んで向かいに座る雨宮さんは気遣わしげで、天使であり俺の癒やしだ。手を合わせて拝みたくなる。


 週明けの月曜日。

 ここは、旧校舎の空き教室。


 窓際の席で外を見下ろせば、校門に向かって下校する生徒たちがチラホラ視界を掠める。今日も今日とて太陽は眩く、みんな暑そうにしていた。


 そんな中、俺と雨宮さん……あとこの部屋にはいないがオマケのもう一人は、夏休み前に行われるテストに向けて勉強中だ。

 机の上には数学や歴史の教科書が開かれている。


 俺は英語の成績はいいが、他が微妙だ。下手に赤点でも取ろうものなら、夏休みに補講が設けられる。


 そうなると青春や仕事をする以前に、美空姉さんと会長にシバかれること確定だろう。そこで補講回避のために、可愛い上に勉強もできる雨宮さんに、頭を下げて教えを受けているわけである。


「でもまさか、あのhayateが会長さんで……hikariさんとプロジェクトだなんて……! 私ってかなり、重要な機密事項を聞いているんじゃないかな?」

「そんな大袈裟なもんじゃ……いや、機密事項といえば、まあ機密事項か?」


 ゴクリと深刻な顔で雨宮さんは息を呑んだ。


 アメアメにとってもまだ社外秘のビッグニュースには違いない。


 だが会長の正体を含め、このことを雨宮さんにだけは話していいと、むしろ話せばどう?と促したのはその会長だ。

 なんでも「晴間くんはカノジョに隠し事は出来ないタイプだろうし、その方が面白いことになりそうだから」らしい。美空姉さんも「コウちゃんも誰かに相談したくなったら、絶対に信頼出来る相手ひとりくらいならいいわよ!」と言っていた。


 悩んだが勉強の合間に、雨宮さんには報告しておいたわけである。


「ただね、いっこだけ……会長さんとの取引内容は気になっちゃうかも」

「うっ、それは……」

 マジで己の欲望に流されただけなので、その欲望先の当人である雨宮さんの無垢な眼差しが辛い。

 

 ピピピッ!


 唇を彷徨わせていたら、机に伏せていたスマホのアラームが鳴った。ジャスト十五分間、タイマー機能で測っていたのだ。

 俺はこれ幸いと立ち上がる。


「さ、先に、アイツの様子を見に行こうか! 後でちゃんと話すから!」

「う、うん」


 俺たちはアイツ……雷架のもとへと向かった。


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【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
真実を含めたら両方のガチ恋ファンが脳破壊されそうなチームが結成されてしまった。
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