16 hayateの正体
本日、書籍2巻発売日です!
雲雀編を書き下ろし8割増でお送りしているので、美麗イラストと共によろしくお願い致します!
以下、本編はhayateの正体がわかります。
かつて俺はあの雲雀に、壁ドンならぬ足ドンをされたことならある。ピンクのフリフリロリィタで細い足を振り上げた雲雀は、鋭い睨みも効いていてヤンキーさながらだった。
だがまさか、こんな美男子に正統派の壁ドンをされる日が来ようとは……。
俺が男でよかったな。
普通の女の子なら失神していたかもしれない。
しかしコイツも、hikari相手なら壁ドンはする側もご褒美だろうが、男が男にとわかったら……って、ん?
「んんん?」
そこで俺は、間近にあるhayateの端正な顔立ちをまじまじと見つめた。
タレ目に泣き黒子という特徴は、最近も見た気がする。中性的なところがあるなとは第一印象でも感じたが、これはそもそも……。
というか、この悪戯好きそうで人を食ったような言動は……。
「……会長?」
「あらあら−−やっと気付いた?」
そっと俺の耳元に唇を寄せたhayate……基、我が校の生徒会長である嵐ヶ丘小百合は、「晴間くんって鈍ちんさんなのね、雨宮ちゃんも苦労したでしょう」と囁く。
「はあああああ!?」
一、二、三。
3拍おいて、俺は楽屋に響き渡る叫びを上げた。完全に男の声だ。
会長は涼しい顔をしているが、こんなの驚くなという方が無理である。
「か、かかか会長が、hayate……!?」
泣く子も惚れる人気『メンズ』モデルの正体が女性で、しかも学校の先輩……!
俺と属性は同じでも、対を成す『男装女子』だなんて!
hayateの短い金髪を、至近距離で恐る恐る指差す。
「そ、そそそ、その髪は……!?」
「こっちが地毛なの。雑誌にも載っている両親が北欧系ってプロフィールは本当で、学校にいる時の私がウィッグなのよ。今の晴間くんとは逆ね」
あの亜麻色のサラサラロングヘアーが、なんとウィッグ。だけど言われてみると、髪をかき上げた会長に違和感を覚えたことは事実だ。
会長のなにかが引っ掛かっていたが、ウィッグ愛用者として俺は無意識に反応していたのか。
「じゃあ、青い目も本物ですか……?」
「もちろん、学校での黒目はコンタクトよ。あと胸はサラシで潰しているわ。他に聞きたいことはあるかしら」
「めっちゃありますよ!」
ここでようやく会長は、俺を壁ドンから開放してくれた。hayateモードは止めたようだが、見た目は絶世の美男子のままなので脳がバグる。
女装男子の俺が言うなって?
知っている。
「な、なんで男装してモデルを……俺の正体もいつわかって……」
「んー? そうねぇ。詳しい話は、場所を変えて……」
そこまで会長が言い掛けたところで、コンコンと扉がノックされる。
「hayateさん、ちょっとよろしいですか? 先ほど撮影中に着て頂いた衣装なんですが……」
聞こえてきたスタッフさんの声に、俺はビクッとした。hikariがhayateの楽屋にいるこの状況って、要らぬ憶測とか呼ばないだろうか?
ほら、一応男女だし。
世間の認識と性別は逆だけど!
普通に同業者として交流中だと捉えられるか?
なんにせよ、素の俺モードからhikariモードに早くなって……!
などと慌てる俺に構わず、会長は声をワントーン下げて「どうぞ、入っておくれ」と爽やかに許可を出した。
なんか俺にも一言相談してくれてもよくないか!?
活動報告にも2巻の情報載せてます!
イラストの雲雀が鬼可愛いのでよかったらぜひ!





