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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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13 あっさりバレました

めっちゃお待たせしてすみません……!

マイペースに進めていきますので、のんびりお楽しみくだされば!

「んー?」

「ええっと……」

「んんん?」

「私、急いでいるので……」

「んんんんん?」

「人違いでは……」


 それこそキスくらい出来そうな至近距離で、hikariを舐め回す雷架にどうしたものかと苦悩する。


 いやはや、キスなんて特大イベントはぜひ雨宮さんとお願いしたい。恥じらって頬を染め、こちらをおずおずと伺う雨宮さんは、想像しただけでリーサルウェポン……じゃない!


 止めろ、現実逃避。


 今は現実に向き合って、どうやってダイナマイトアホの子を躱すかだが……時すでに遅し。


「あー! わかった! ハレくん、ハレくんでしょっ! というかハレくんじゃん! ハレ……むぐむぐ」

「ちょっ、静かにしろ! 理由は後で説明してやるから!」


 人生に肝心なのは諦めと切り替えだ。

 人の本名(あだ名だが)を連呼する雷架の口を無理やり塞ぎ、地声で「いいから俺の正体は広めるな」と耳打ちする。


 アホで天然ではあるが、意外と人の機微に聡くて察しは悪くない雷架は、コクコク頷いた。


「えー……でも、ハレくんがhikariさんとかヤバッ。セーベツをチョーエツしているじゃん」

「まあな。hikariの輝きの前では人類皆ひれ伏すからな」

「あ、ハレくんってその格好だとそんな性格なんだね。ウケる! やっぱりおじいちゃんにお願いして来てよかったなー!」


 雷架がここにいる理由は、どうやら見学目的らしい。 

 彼女のお爺さんは元プロのカメラマンなのだが、お爺さんの現役時代の友人がこのスタジオの経営者で、その繋がりで入れてもらえたようだ。


 雷架はお爺さんと同じカメラマン志望だから、プロの仕事ぶりを勉強しに来たのだろう。


 学校の勉強もこのくらい熱量高くやれたらいいのにな……。


「とにかく見学っていうなら、大人しくしていろよ。俺はこれから撮影だから」

「この部屋で? それなら雷架ちゃんも撮影風景見ていてもいい!?」

「……もう好きにしてくれ」


 虹色に続いて雷架の相手は多大なるカロリーを消費するので、俺は投げやりに言った。

 正体がバレた時点で投げやりも投げやりである。


 雷架は「やった! hikariが撮られているところ見られる!」と飛び跳ねている。


 しかしコイツも、hikari=俺の受け入れ早いな。


 世間だと大スクープなのに、それより俺に許可をもらえてはしゃいでいるなんて、本当に天然でどこかズレている。


 俺は床の袖をヒラリと持ち上げ、ピッと人差し指を立てた。


「いいか? 見学中は『おかし』を守れよ」

「『押さない』『駆けない』『喋らない』だっけ?」

「珍しく合っているが今回は違う。『俺の正体を言わない』『勝手なことはしない』『喋らない』だ」

「最後だけ同じだね、オーケーオーケー! わかったよん!」


 本当にわかったのか?


 ……果てしなく不安だが、俺はようやく扉を開けられた。俺の後ろから、雷架も「失礼します」と小声で呟いて続く。


 パシャっと響くカメラのシャッターを切る音。


 中では俺以外のモデルがまだ撮影中で、度重なる妨害で撮影時間に遅れていないか不安だったが、むしろ入れ替えには些か早かったらしい。


 そして俺は、ココロさんの言う『大物モデル』の正体が誰なのかわかった。

そして書籍版も二巻発売決定しました!

活動報告に詳細載せましたので、そちら気になる方は一巻と合わせてよろしくお願い致します。

(内容的には雲雀回で、書き下ろし八割くらいです)

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【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新きた!ずっと待ってましたよ!
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