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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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11 なぜかいる雷架さん

 さて、俺が試した……というか、ココロさんに勝手に試された『チャイボーグメイク』とは、チャイナ✕サイボーグの略である。

 まるでサイボーグみたく、人間からかけ離れた美しさを出してチャイナ美女にする、個性的なメイクだ。


 俺(hikari)のケアを怠らない玉のお肌をさらに陶器のように仕上げ、それこそビームでも出そうなくらい目元をかなり強調した。


 テーマが“カッコ可愛い女の子”であったため、そのメイクに合わせて服はパンツスタイル。


 淡いピンクのダブルジャケットに白シャツ、グレーのテーパードパンツという上級コーデを難なく着こなし、飴色の髪をポニーテールにした俺は、まさにテーマを体現していたと思われる。


 いつもよりクールな表情とポーズを意識して、冷たい眼差しもカメラに向けた。



「新しい扉が開きそう」

 とは、そんな俺を撮ってくれたカメラマンさんのお言葉だ。



 その時の雑誌掲載された写真とインタビューを、虹色はバッチリ見事に読んでいたと……。


「あの雑誌は普段のアメアメ発行のものではなく、他社のゲスト記事ですし……逐一私を追っていないと、そもそも目に触れないと思うのですが……」

「ドキィッ!」


 いや今コイツ、口で心臓が鳴る効果音言ったぞ。

 思ったより愉快な奴だぞ。


 しかし、私を追ってないと……というのは本当で、アレはお試しなところもあって、そこまで大々的なプロモも打っていない。


 あ、hikariマニアな雨宮さんは当然のように知っていたけどな。

「晴間くん……私、新しい扉が開きそうになっちゃったかも……」とモジモジしていて、大変可愛いかったが、その扉はどうか閉じたままにしておいて欲しい。


「べっ、別にハナは、あんたの情報を毎日SNSでチェックしていないし、hikariの非公式ファンクラブに入ってもいないし、あんたのアクリルスタンドも部屋に飾っていないんだから! 勘違いしないでよ!」

「……そう」


 筋金入りですね、把握。


 屈折しているとはいえ、ファンはファン。

 優しくしてあげたいところだが……。


「虹色さんが私に憧れていることは把握しました」 

「憧れてない!」

「ですがそれとこれとは話が別、迷惑かけたことはきちんと謝罪しましょうね」


 美少女の圧を意図的に強めて微笑めば、途端に虹色はたじたじになる。

 

 怒った時の美空姉さんは笑顔でとんでもなく怖いので、そちらも意識した。

 虹色は「わ、わかったわよ!」と、ようやく抵抗を止める。


「謝ればいいんでしょ、謝れば!」

「私にだけじゃなく、あとで迷惑かけた人たち全員にね。それで今後は行動を改めること」

「わかったってば!」


 虹色は存外、「迷惑おかけして申し訳ありませんでした!」と、きちんと頭を下げて謝罪をした。


 なんだ、やればできるじゃないか。


 早々に人気が出て持て囃され、ワガママ女王様になってしまったのだろうが……根は更正の余地ありかもしれん。


 などとほんのちょっと評価をプラスしたのも束の間、虹色はレースのリボンをひらめかせて逃走を図る。


 そして……。


「でもやっぱり、あんたのことなんて大っ嫌い! ファンクラブも退会してやるんだから! ばーか! ばーかばーか!」


 好きな子に構ってほしい幼稚園児のような捨て台詞を吐いて、瞬く間に消えていった。



 なんだったんだ。  

 というかやっぱり入ってんのかよ、俺のファンクラブ。絶対退会しないやつじゃん。



 通りすがったスタッフさんはポカンとしていたが、俺はドッと疲れた。虹色には今後も会えば絡まれる予感しかしないが、俺はもう関わりたくない。


 絶対友達いないだろ、あの娘。



「さっさと行くか」


 地声に戻って小さく呟き、気を取り直して撮影へと向かう。無駄な時間を食っちまったな……などと、思っていたら……。


「ん? あれは……」


 今度は目的地の部屋のドア前に、なぜか同級生の姿があった。

 キラリと光る稲妻マークの髪飾り。



 なんで雷架がここにいるんだよっ!?



おかげさまで書籍版、二巻の続刊が決定しました><

ありがとうございます!

発売中の一巻と合わせてそちらもよろしくお願いいたします!

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【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[一言] 多分作者は新しい扉を取り返しのつかないレベルに開いた後である。
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