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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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6 特典に揺れているようです。

 生徒会に入る特典。

 面倒事の香りがしていて、俺はそれを聞く前からすでに断りたくて仕方なかった。


 そもそも生徒会なんて、いくら雨宮さんが俺の魅力とやらを褒めてくれたところで、陰キャの俺には荷が重い。

 hikariのモデル活動もあるし、絶対に後々厄介だ。俺は根っこのところで面倒くさがり屋なのだ。


 やっと顔の赤みが引いてきた雨宮さんも、たぶん及び腰だと思うのだが……。


「特典はまず当然、内申点が上がるでしょう? それからこの部屋はいつでも自由に使っていいし、日直の仕事なんかも免除されるわ」


 会長が並べる特典は、そんなところだろうなあという予想の範疇だ。

 うーん、掃除が大変な日直の免除は有難いが、それより大変そうな生徒会に入るのだと、意味があんまり……。


「あと購買部のメニューが全品半額。ここに来れば私が定期的に、美味しいお菓子も差し入れするわ。持ち帰りも自由よ」

「マジすか!?」

「本当ですか!?」


 俺と雨宮さんの反応がシンクロした。

 俺は全品半額の方、雨宮さんは差し入れの方で。


 聞けばお嬢様な会長の親族には、飲食業界の重鎮がいるらしく、購買のパンはそちらが大元なのだとか。

 またスイーツ店もいくつか経営していて、なんと俺と雨宮さんが以前、『幻のどら焼』を食べに行ったお店がそうだった。


 試しに雲雀が出してくれたクッキーを一枚、雨宮さんと一緒に食べてみると、これは品のいい甘さでクオリティが高い。あのスイーツ店のバイキングで噛ったのと同じ味だ。


「このお菓子が持ち帰り自由……家族へのおやつになるよね……」


 家族想いの雨宮さんが、お菓子の特典で揺れている。

 雨宮さんシスターズはスイーツ好きそうだもんな。そんなところもいじらしくて可愛い。


「返答は急がないから、夏休みの間にでも考えて頂戴。文化祭までに人手が欲しいという事情もあるの。ねぇ、雲雀ちゃん? あなたもふたりが……特に晴間くんが生徒会入りしてくれたら、とっても嬉しいわよね?」

「べっ! 別に私は……っ!」


 黙して紅茶に口をつけようとした雲雀が、会長の適当な発言に珍しく動揺している。

 制服のブラウスに紅茶が一滴飛んでいたため、「おいおい、大丈夫か?」と、ハンカチを取り出そうとしたらキッと睨まれた。相変わらず雲雀の地雷はわからない。


「ふふっ、隙がなくて滅多にからかえない雲雀ちゃんを、たくさんからかえて面白いわ」


 イイ性格をしている会長が、ふわっと亜麻色のロングヘアーをかき上げる。ソファの上でサラサラと流れる髪。


 あれ……?


 その時、俺はなんだか違和感を覚えた。

 具体的になにがどうとは言えないが、会長のなにかが引っ掛かるというか……。


「晴間くん? どうかした……?」

「あ、ああ、いや」


 内心で首を捻っていたら、雨宮さんも俺の方を向いて首を傾げていた。小リスみたいな仕草、ありがとうございます。


 

「それじゃあーー色好い返事を期待しているわね」


 

 会長の聖母のごとき微笑みと、同時にのし掛かる謎の圧から解放され、俺と雨宮さんは生徒会室を後にした。

 


書籍版、好評のようで嬉しいです。

こちらのWEB版と合わせて雨宮さんをよろしくお願いします!

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書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
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