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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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2 ラブラブ?ですか。

長らくお待たせして申し訳ございません……!

「ココロちゃんに聞いたのよぉ? コウちゃんったら、カ・ノ・ジョ! できたかもしれないってー!」

「あー……」

「なになに、おねえちゃんに黙って水臭いじゃない! はあ、昔はなんでも私に一番に報告してくれたのになー。ねっ、教えてよ! どんな子がコウちゃんの彼女なの? コウちゃんの病気を治してくれた子、おねえちゃんも見たいなー?」



 くそ……ココロさんめ!

 面倒だから美空姉さんには言わないでって口止めした約束、アッサリ破りやがったな……!



 あのロリータコンテストの後、すげぇしつこく俺と彼女のことを聞いてくるから、約束つきで白状したのに……!


 昔から美空姉さんは、上機嫌で俺をからかう時、自分のことを『おねえちゃん』と呼ぶ。

 こうなった美空姉さんは厄介だ。ひたすら酔っ払いみたいなウザ絡みしてくる。


「姉さん、その話はまた今度で……。ほら、待ち人が来るからって」

「えー? ちょっとくらいいいじゃない!」

「よくない、よくないから! ……あっ!」


 と、そこで本当に俺の待ち人がこちらにやってくるのが見えた。


 俺は「それじゃあっ!」と短く別れを告げて、通話を強制シャットダウンする。


 向こうで美空姉さんが「ねえ、その子ならもしかしたら……」となにか言いかけていたが、優先すべきは目の前の『彼女』だ。



 『廊下は走るな』を真面目な性格故にキッチリ守って、早歩きで俺の前まできた雨宮さんは、ミディアムボブの髪を揺らして申し訳なさそうに微笑む。



「ごめんね、ちょっと先生に呼び止められて……ま、待たせちゃったよね……?」

「いいや、俺も電話して待っていたから……!」

「えっと……」

「うん……」


 会話に一瞬のぎこちない間。


 あれ? こういうやり取りって……と俺が考えていた矢先、雨宮さんが恥ずかしそうに、形のいい唇を綻ばせて囁いた。



「な、なんかこういうやり取り……彼氏と彼女っぽい、よね!」


 

 言った後に羞恥に耐え兼ねたのか、えへへとはにかむ雨宮さんが可愛すぎる。

 今なら致死量の血が吐けるぞ。尊さで人は死ぬ。


 俺の彼女マジ可愛い。

 そう、こんな最高な女の子が、俺の彼女なんですよっ!



 今からもう約一ヶ月前――俺と雨宮さんは雨の中で大告白大会を互いに開催し、晴れて正式なお付き合いを始めた。



 そこからはもう、世界が虹色だ。

 空は曇天でも明るく、草木は枯れていても瑞々しく、うるさい騒音も天使たちの戯れに聞こえるニューワールド。


 ありがとう、世界は美しい。

 もっと美しく可愛いのは雨宮さんだけどな。


 御影はそんな俺のことを、「今世紀最大に浮かれている」と称したがなにも間違えではない。


 俺、浮かれています。



「あー……っと、えっと、とりあえず帰ろうか。今日は雨宮さん家に寄っていけばいいんだよな」

「う、うん、弟も妹も、晴間くんが来てくれるのを楽しみに待っているから……」

「じゃあ行こうか」


 ふたりとも手探りな初々しい空気で、俺たちは靴を履き替えて学校を出た。


 閑静な住宅街を並んで歩く。

 道中、スクールバックを持つ手とは逆の、雨宮さんの空いた指先を、見つめてみたり視線を外してみたり……。



 俺がなにをしたいかなんて、たぶん端から見たらバレバレだろう。


 だけどいいのか? まだ早いんじゃないか?

 恋愛スキル初心者どころか赤ちゃんの俺には、サッパリわからない。



「晴間くん……」



 すると意気地無しな俺に代わって、雨宮さんがそっと俺の同じく空いた手に触れてきたため、心臓が口から飛び出しかける。


「あ、ああああ雨宮さんっ!?」

「ご、ごめんね、私が晴間くんと手を繋ぎたいなって思ったから……ダ、ダメ?」

「大いにアリです!」


 不安そうに小首を貸して尋ねられたら、俺は首を縦に振りまくるしかない。

 勇気を出してこちらからも指を絡めてみたら、雨宮さんは肩をビクッと揺らして、交わる温度がじんわり熱くなった。



 はあー……幸せすぎて怖い。



 ふたりで手を繋いだまま、雨宮さん宅にお邪魔すれば、それを見咎めたブラコン弟くんに音速パンチ食らわされかけたり、うるさい双子にボードゲーム勝負吹っ掛けられたりしたが、俺は確実に人生の絶頂期を味わっていた。


第10回ネット小説大賞を受賞し、書籍版が発売になりました!

こちらのWEB版とはわりと大事なシーンが変わっていたり、雨宮さんのあれそれが追加になっていたりしますので、もしご興味ありましたらよろしくお願い致します><

(詳細は活動報告にて! ⇩に表紙イラストもあるので、超美少女?なhikariを見てやってください)

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【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず1話から読み直してきます
[一言] なぁに、章が始まったはずなのに前回更新が1年4ヶ月前なんてお肌時空からしたら誤差みたいなもんよな。更新があったことの方がビビってるし。 章あたまここからのが良かった説とか、ほな次回は2025…
[一言] 最近見つけて更新止まってるからブクマするか迷ったけどしといて良かった...!!
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