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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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1 新たな予感

「だーかーらー! あの今メンズ界で超話題のイケメンモデル『hayate』から、ぜひぜひコラボ撮影をお願いしたいって依頼がきたの! これは近年一番の大仕事よ、コウちゃん!」

「……えー、うん」


 放課後の学校、正面玄関口。

 そこで俺は下駄箱に背を預けて、スマホで美空姉さんと通話をしていた。待ち人が来るまでの間だけ……と最初に俺が言っておいたからか、電話の向こうの美空姉さんはやたらと早口だ。



 いや、単に興奮状態なだけかもしれないが。



「もー! なんでそんなに反応薄いの! 『hayate』よ、『hayate』! 数いるメンズモデルや俳優、男性アイドルを押し退けて今季の女性人気ブッチぎりの一位! 『付き合いたい男』やら『抱かれたい男』やら、あらゆるランキングでも上位をかっさらって、『世界一カッコいい』ってどの雑誌にも書かれている彼から、hikariさんとぜひって直接のオファーなのよ!? 普通の女の子なら泣いて喜ぶ案件なんだから!」

「姉さん……忘れてるかもしれないけどさ、俺は一応男なんだぜ」

「でもイケメンとのコラボ撮影よ? テンション上がるでしょ?」

「上がんねぇよっ!? むしろ下がるから!」


 つい大声でツッコミを返してしまい、前を通りかかった男子生徒がビクッと肩を揺らしていた。隣のクラスの吉村だ。

 すまん吉村、無視してくれ。



 ――メンズモデルの『hayate』といえば、姉さんの言う通り現在、世間の注目を一心に集めている男だ。


 

 名前が現れたのはhikariより少し後くらいか。

 整った甘いマスクと抜群のルックスを誇り、まさに王子様のような見た目で、瞬く間に女性からの圧倒的支持を得てしまった。その人気はとどまることを知らず、彼を雑誌やWEB上で見ない日は来ないくらいだ。


 そんなhayateだが、素性は正確な年齢も出身も、ほぼほぼ今のところ明かされてない。事務所側がSNSでふざけて出した「実はお忍びで日本に来た某国の王子様なんです」という冗談だけが、マジなんじゃないかとまことしやかに囁かれている。

 

 王子様説、さすがに俺は信じてないけどな。

 まず某国ってどこだよって話。

 俺だってデビュー当初、そのあまりの可愛さから「hikariはお忍びで日本に来た某国のプリンセス」なんて噂がネットで流れていたし。


 そして、『hayate』についたあだ名は『世界一カッコいい男の子』だ。



 そう……なんか全体的に、hikariと被っているのである。



 今や女性人気一位は『hayate』、男性人気一位は『hikari』。

 世界一カッコいい男の子は『hayate』、世界一可愛い女の子は『hikari』。

 しかも共に同性からも、憧れの存在として一定以上の支持がある。


 その彼らのコラボとくれば、確かに世間は大騒ぎになるだろう。これまでhayateもhikariも、誰ともコラボなどしてこなかったし、男女仲を勘ぐる要らぬ憶測まで飛び交いそうだが、それよりも単純に素晴らしい組み合わせなことは間違いない。


 話題性は十分すぎるほどだ。


 しかし、気は進まない。

 


「イケメンは御影だけで腹いっぱいだよ……男の俺が、イケメン死すべしと怨嗟を持ってhikariから出てきそうでさ……」

「あら? hikariじゃないコウちゃんだって、ちゃんとイイ男よ。顔は地味だけど」

「地味なんじゃん」

「もう、そこからいくらでも生まれ変われるんだからいいんでしょっ!」


 そういうものだろうか? 

 腑に落ちない。


「いい? hayateとのコラボが嫌だっていうなら、前に話していたhikariの相方候補を、コウちゃん自身が一刻も早く見つけてきて! 私も探しているけど、ビビッと来ないのよ、ビビッと!」

「まだ生きてたんだな、その案件……」


 俺は下駄箱により体重をかけて、以前にも打診された『hikariの相方候補』について考えてみる。有力候補に虹色ハナコが一瞬あがったこともあるそうだが、あのワガママ娘は「hikariとなんて、私が目立たないからイヤ!」と断ったそうだ。


 俺だってイヤだけどな! 舐めんなよ!


 それにhikariの相方なんて、俺に並ぶくらい可愛くないといけない。

 そう、俺のか、か、か、か……彼女、くらいに!


「まあ、お仕事のことはこのくらいにして……コウちゃん? おねえちゃんに、なにか報告があるんじゃないかなぁ?」


 ほら、噂をするとなんとやらだ。

 美空姉さんは這い寄る蛇のような声を出す。

 

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書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
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