表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/108

11 雲雀さん来襲

「は、晴間くん、今日も一緒に帰ってくれる……?」


 放課後の教室。

 夕陽が窓から差し込む室内は、帰り支度をしながらも、友人同士で会話に花を咲かせる者たちばかりで騒がしい。


 かくいう俺も、御影と俺の席でくだらない話をしていたのだが、そこにおずおずと雨宮さんがやってきた。



「れ、連日だし、私とばっかりで……イヤ、かな?」

「そんなことは未来永劫ないから安心してくれ、雨宮さん」



 もちろん、可愛い雨宮さんと帰れるなら返事は即OKだ。



「じゃあ俺も、彼女を迎えに行って帰ろうかな。お互い下校デートってことで。……上手くやれよ? 光輝」

「上手くってなんだよ」

「なんだ、雨宮さんはお前の『俺最強可愛い病』を治してくれた女神だろうが。このチャンスを逃すなってこと」



 気を効かせたつもりなのか、御影が俺の肩をポンと叩いて先に出て行こうとする。

 ニヤニヤ顔がちょっと腹立つぞ。それでもイケメンなのがもっと腹立つ。


 しかし、御影が出て行く前に、廊下から謎のざわめきが聞こえてきた。


「ん? なんかあったのか?」「さあ……」と、俺と御影は顔を見合わせ、雨宮さんはきょとんと首を傾げている(はい、可愛い)。



 ざわめきはどんどん大きくなって、スパンッ! とうちの教室のドアが勢いよく開かれる。



「失礼致します――晴間先輩はいらっしゃいますか」



 なんとビックリ。

 現れたのは雲雀だった。


「なんで一年の雲雀がここに……?」


 しかもお人形のような整ったお顔は、普段から無表情で冷たい印象だが、今は鬼気迫った悪鬼羅刹みたいな形相になっている。

 黒髪の艶やかなロングストレートヘアも、心なしかメデューサのようにうねってないか?


 なにが言いたいかってとても怖い。

 俺、なんかしたかっ!?



「ど、どうして『猛毒の暗雲姫』がわざわざ……」

「というかまた晴間かよ!?」

「なんだアイツの美少女を引き寄せる吸引力! 羨ましいブラックホールだな!」

「おい、間近で見たら暗雲姫めちゃめちゃ可愛いくね?」



 四大美少女の、それもめったに会えない後輩の雲雀の登場で、一気にお祭り状態となる男子たち。一部の俺への嫉妬の視線は無視だ。奴等は雲雀の怖さをなにもわかっちゃいない。


 女子も女子で「わぁ、雲雀さんって顔ちっちゃーい」「肌キレイかっ! 化粧水なに使ってんのか教えてー!」「マジ男子はうるさすぎ」と各々反応を示している。



 ちなみに念のためチェックしたところ、雲雀御用達の化粧水は、ココロさんがアドバイザーを務める化粧品ブランドのものだ。

 品質は最高で、もち肌を保つには悪くない選択だ。

 ロリータ界の一番を競うコンテストで戦うには、お肌のケアも大切だからな!



「見つけました」



 教室中から注目を一身に集めながらも、当の雲雀は有象無象など歯牙にもかけない。

 俺とバッチリ目が合うと、一直線にこちらに向かってきた。


「お、おいおい光輝! お前いったい、暗雲姫になにしたんだよ!」

「なんもしてねぇよ! 心当たりがあるとすればナイトクリームは効果が微妙なブランドだったから、無理やり先日変えさせたくらいだ!」

「いや本当になにしてんだ、お前!?」


 御影の鋭いツッコミが飛ぶ。

 なんだどうした、あの変更後のナイトクリームが気に入らなかったのか!?


 俺の隣では、雨宮さんが「は、晴間くん……」と不安そうに上目遣いでこっちを見ている。クソッ、謎にピンチな状況でも可愛い!


 

 そうこうしているうちに、雲雀は俺の真ん前で来ていた。



「晴間先輩……」

「は、はい」


 後輩相手にピンと背を正す俺。

 雲雀はよく見れば頬がうっすら上気して、唇もプルプル震えている。その片手にはなぜかキツくスマホが握られていた。


 そしてゆっくり、雲雀が口を開く。



「私……私、やりました」


 

 やりました? なにを? 

 ……殺りました? ついに誰かを!?



「うおぅっ!?」



 そんな失礼極まりないことを考えていたら、いきなり雲雀にガバッと正面から抱き着かれた。小柄な体が隙間なく密着して、雲雀のイメージよりもずいぶんと爽やかな、だけどよく似合うシトラス系の香りがふわりと鼻孔を撫でる。



 目を白黒させる雨宮さん。

 俺も白黒だし、御影もクラスメイトの皆さんも白黒だ。モノクロ映画みたいだな。



 じゃなくて……誰か、なにが起きているか説明してくれないかっ!?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[一言] やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!更新待ってました〜!!また初めから読み直しながら楽しみます!最高!!!
[一言] とりあえず内容思い出すためにあらすじください……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ