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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
二章

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8 撮影完了⇒雨宮さん宅へ?

「ハレくんは変人だけど、私はアホの子じゃないよ!」

「俺は(ちょっと女装したら世界で二番目に可愛いだけの)一般人だ! 変人ではない!」

「ハレくんの変人、変人、へんじーん!」  

「雷架のアホの子、アホの子、アホの子ー!」


 ……などという、低次元な争いを雷架としていたら、雨宮さんが「ふ、ふたりとも! 喧嘩はダメだよ!」と可愛く止めに入ってくれ、どうにか場は終息した。


 雨宮さんに「こっちを見ないでください!」とか「あまり近寄らないでもらえると……!」とか言われたときはショック死するかと思ったが、態度が戻ってよかった。


 いや、近付こうとするとちょいちょい離れられるけどさ……。



「それじゃあ撮るけど、ハレくんはそのままそこにいて!」

「え、俺がいていいのか?」



 紫陽花ロードまでもう一度移動して、撮影は再開。

 雨宮さんはポジションにつき、雷架はピカリさんを構えたので、俺はここまでついてきてなんだが、またベンチのところに戻るまではいかなくとも、ふたりから見えないとこまで離れようとした。


 しかし、なぜか雷架に引き留められる。

 俺は雨宮さんの視線の先にいろと言うのだ。


「でもここに俺が立っていたら、写真に若干入っちゃうんじゃないか?」

「そんなもの、切り取ったり多少の加工したりでなんとかなるから!」

「それはそれでなんかショックだな……」


 この、世界中の名のあるカメラマンが「ぜひ撮らせて欲しい!」と懇願してくる、スーパーモデルの俺を写真から切り取るとは……。


 もちろんhikariにならなければ、俺は雨宮さんの写真を邪魔する異物だとは承知しているけどな。


「えっと……あのね、晴間くん。私たぶん、晴間くんが見えるところにいてくれたら、ちゃんとモデル、できるから」

「まあ、雨宮さんがそういうなら……」


 こうして俺も加わった奇妙な配置になった途端、カシャッ! とシャッターを切る音がして、雷架の「はい、撮影完了ー!」という明るい声が高らかに響いた。  



 いや、早いな!?

 休憩前の一時間かかったやつはなんだったんだ!?



「おい、本当に終わったのか!?」

「うん! やっぱりアマミン、ハレくんの前でだとめっちゃいい顔するんだもん! これでオーケー! 奇跡の一枚撮れちゃった」


 ルンルンと、雷架はピカリさんを高く掲げてご機嫌だ。

 よほどいい写真が撮れたらしい。


 ようやくお役御免になった雨宮さんは「よかったあ、ちゃんと出来て。ありがとう、晴間くん」と目を潤ませながら、俺に深々と頭を下げてきたが、俺はぼんやり突っ立っていただけだぞ!


「あっ! ちょうど晴れてきた! お日様ピカーン!」


 バカ丸出しな擬音と共に、雷架が空を仰ぐ。


 すると確かに雨雲はどこかに去り、眩い太陽が顔を出し始めていた。よいしょと、三人で一斉に傘をたたむ。



「これで今日の目的は達成されたわけだけど、私は大事なピカリさんも持っているし、ここで解散してお家に帰るよ! ふたりとも本当にありがとう! 今度、購買の新商品のどら焼き奢るね!」


 止まるところを知らないどら焼き旋風はなんなのか。


「ふたりはこのあとどうするの?」

「あーっと、俺と雨宮さんは……」


 アメアメの本社ビルに寄って雨宮さんの変身をとき、前回はココロさんが車で送ってくれたが、今回はそんな足もないのでおそらくアメアメで俺たちも解散だ。

 各々徒歩で帰ることになるだろう。


 雷架にアメアメのことを明かすわけにはいかないので「まあ、俺たちも適当に帰るよ」と答えた。


 だけどその答えに、雷架はなぜかニヤニヤと口角をゆるめる。



「そーれーなーらー! ハレくんはアマミンのお家まで、ちゃんとアマミンを送っていってあげなよ!」



 うえっ!? と、すっとんきょうな悲鳴をもらしたのは雨宮さんである。


「こ、小夏ちゃん! それは……!」

「女の子をひとりで帰すのはどうかと思いまーす! あ、私はいいよ? 私の家はここから目と足の先だし!」


 目と鼻の先な。 

 目と足はわりと遠いぞ。


「ついでにアマミンのお家でお茶でもしていけば?」

「小夏ちゃんっ!」


 雷架の口を雨宮さんが必死に塞ごうとして、傍に咲いている紫の紫陽花が揺れる。

 お宅訪問までは雷架の冗談として、さすがに女の子の家に上がるつもりはないが、送っていくのは確かにすべきかもな。



「わかった、雨宮さんの家までキッチリ送るよ」

「晴間くん!?」



 雨宮さんはずっとあわあわしていたが、俺は密かに、雨宮さんの家を見れることを楽しみにしていた。




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GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[一言] >ちょっと女装したら正解で やはりそっちが正解か……。
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