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今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?  作者: Karamimi


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第99話:アン殿下が…

 早速お父様に通信を入れるべく、通信機を手に取ると、既にお父様から何度も通信が入っていた様だ。


 お父様ったら。急いで折り返す。すると


 “ルージュ、もうパレッサ王国に着いて、1ヶ月近くも経っているではないか?いい加減に帰って来なさい!”


 通信に出た瞬間、大きな声を出すお父様。さすがに耳がキーンとなった。お父様ったら。声が大きすぎるのよ。


「そんなに大きな声を出さなくても、聞こえておりますわ。お父様、パレッサ王国はとても素敵なところなのです。食事は美味しいし、海は綺麗だし。私、もうすっかり1人で海に潜れる様になったのですよ。今日は海底近くの貝を取りましたわ。自分で取った貝の味はまた、格別です」


 “何が1人で海に潜れる様になっただ!ルージュ、グレイソンが首を長くして待っているのだよ。早く帰って来なさい”


「その件なのですが、私はパレッサ王国を物凄く楽しんでおりますので、どうか気にしないで下さいと、グレイソン様にお伝えください。もう私の事は気にしなくてもいいと。それでは失礼します」


 “おい、失礼するな!まだ話は終わって…”


 ぶちっと通信を切ると、そのまま電源を切った。本当にお父様はうるさいわね。それにしても、まだグレイソン様は、私に申し訳なく思っているのね。


 一度国に帰って、グレイソン様に話しをした方がいいのかしら?いいえ、あの人は意外と頑固だから、私の顔を見た瞬間、きっと屋敷を出ていくだろう。やっぱりグレイソン様の為にも、私は帰国しない方がいいのだわ。


 翌日


「お嬢様、いい加減帰国いたしましょう。さすがの旦那様も、たいそうご立腹です。これ以上、この国にいる事は出来ません」


 アリーが私に向かって、強く訴えて来た。きっとお父様に、強く言われたのだろう。


「分かったわ、アリー。でも、今日はデイズ殿下とアン殿下と一緒に、ピクニックに行く事になっているの。だから、明日ね」


 そう適当に話しを合わせ、部屋から出る。


「もう、お嬢様は。毎日そのようなことを言って。とにかく今日こそは…」


「ルージュお姉様。今日はとてもいい天気よ。絶好のピクニック日和ね」


 嬉しそうに私に飛びついて来たのは、アン殿下だ。まるで妹が出来たみたいで、本当に可愛らしい。


「本当ね。早速行きましょう」


 アン殿下の手を繋ぎ、歩き出す。あら?アン殿下、何だか手が熱い気がするのだが…


 門まで来ると、デイズ殿下と叔母様も待っていた。


「それじゃあ行ってきます」


「気を付けて行くのよ」


 叔母様に見送られ、3人で馬車に乗り込もうとした時だった。


 ドスッという音が聞こえたと思うと


「アン!どうしたの?アン」


 ふと後ろを振り向くと、真っ赤な顔をしたアン殿下が倒れていたのだ。


「アン殿下!どうしたの?誰か、すぐに医者を呼んで!早く」


 叔母様に抱かれたアン殿下は、急いで部屋へと運ばれて行った。そしてすぐに医者が飛んできて、症状を確認する。


「これは…今すぐアン殿下の部屋から出て行ってください」


 なぜか急に、医者に追い出されたのだ。一体どうしたというの?訳が分からない私に対し、叔母様が


「もしかしてアンは…」


「ええ、症状から見てその様です」


「そんな…アン!嫌よ。アン!」


 叔母様が泣き叫びながら、アン殿下の部屋の扉をドンドン叩きだしたのだ。そして無理やり部屋に入ろうとしている。


「王妃殿下、いけません!万が一病気が移ったら…」


「あの子は私の子なのよ。私の命などどうでもいい、お願い、あの子の傍にいさせて。このままだと、アンはたった一人で命を落とすことになるのよ。そんな事、させられないわ」


 命を落とす?一体どういうことなの?


「アン殿下が命を落とすだなんて、一体どういうこのなの?アン殿下の病状は一体なになの?お願い、私にもわかるように説明して」


 必死に医者に訴えた。すると…


「2週間前からでしょうか?原因不明の高熱と緑の湿疹に見舞われる病気に襲われる人が現れ初めまして…感染者自体は、この2週間で5人程度と少ないのですが、今のところ感染した2人が命を落とし、残りの3人が症状に苦しんでいるのです。完治した人間はいません。今陛下を中心に、調査をしているのですが、原因も病名も全く見当がつかなくて…感染経路も不明なのです。原因が分からない以上、万が一王妃殿下や王太子殿下に移っては大変なので、外に出ていただいたのです」


「そんな…それじゃあ、アン殿下は…」


 “ルージュお姉様”


 可愛い顔で私に抱き着いてくるアン殿下の顔が浮かんだ。嫌よ、そんなの、絶対に嫌。


「お願い、アン殿下を助けて。あなたは医者でしょう?嫌よ、アン殿下が命を落とすだなんて」


「お嬢様、落ち着いて下さい。高熱に緑の湿疹。もしかしたら、病名が分かるかもしれません。すぐに公爵家から連れて来た医者を連れて参ります」


 アリーがそう叫ぶと、急いで医者を呼びに行ってくれたのだった。

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