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今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?  作者: Karamimi


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第69話:ついに本領発揮ですか?

 授業が終わり、お昼ご飯の時間になった。


「ルージュ、今日も天気がいいから、皆で中庭で食べよう」


 いつもの様にグレイソン様が話しかけてきてくれたのだ。そしてみんなで中庭へと向かう。食事ぐらいは穏やかな気持ちで食べたいわ。そう思っていたのだが…


「グレイソン様もクリストファー殿下も、ここにいたのですね。私もご一緒してもよろしいですか?」


 私達の元にやって来たのは、ヴァイオレットだ。なぜか私の座っている場所を無理やり奪い取ると、そこにドスリと腰を下ろしたのだ。


「ヴァイオレット様、そこは私の席ですわ。勝手に奪わないで下さい」


「あら、別にいじゃない。あなた、毎日グレイソン様とクリストファー殿下の間に挟まれて食事をしていたのでしょう?チヤホヤされて嬉しかった?今日から私が、2人の間で食事を摂るわ」


 そう言ってニヤリと笑ったのだ。何なのよ、この女。


「ちょっと、あなた一体何なのよ。勝手に輪に入り込んできて」


「そうよ、誰が一緒に食べると言ったの?図々しいわね」


 すかさずセレーナとミシェルが怒っているが…


「何やら煩わしい声が聞こえますが、気のせいでしょう。そもそも先生も、過去の事は水に流し、皆仲良くするようにとおっしゃっていらしたのに。先生の話すら聞けない、愚か者がいただなんて」


 はぁっと、あの女がため息をついている。


「ちょっと、私の大切な友人が愚か者ですって?いい加減にしてください。あなたがここで食事をするのなら、私は別の場所に行きますわ」


「待って、それなら私たちも行くわ。どうやらヴァイオレット様は、私たちがいるとお嫌な様なので」


 私の後を付いて来てくれた友人達。さらに


「それなら僕たちも行くよ。僕たちはずっとルージュ嬢と一緒に食べていたのだから」


「殿下の言う通りです。それでは僕たちもこれで」


 グレイソン様とクリストファー殿下が、席を立とうとしたのだが…


「そんな、それじゃあ私はここでたった1人で食べろというのですか?酷い、これは虐めですわ」


 大きな声で叫び、泣きだしたヴァイオレット。なんて面倒な女なの…ただ、周りは何事かと言わんばかりに、ヴァイオレットたちの方を見ている。


「ヴァイオレット嬢、落ち着いてくれ。分かったよ、今日だけはここで食べるよ。アルフレッド、君もここで食べてくれるよね?」


「え…俺も?…分かったよ、今日だけだよ」


「グレイソン殿、僕は絶対に嫌…」


「殿下もお願いします。今日だけですから…“もし今回の件でまたルージュがヴァイオレット嬢に難癖を付けられたら面倒です。ここはこの女の言う事を聞いておきましょう。それと明日からどうするか、作戦も考えないと”」


「分かったよ…本当にどうして僕はこんな女に…」


 はぁっとため息をつく殿下の姿が目に入った。どうやら男性陣3人と、ヴァイオレット様は一緒に食事を摂る様だ。


「ルージュ、戻るわよ。あの女の好きな様にさせる訳にはいかないわ」


「確かにそうね。戻りましょう」


 これ以上あの女の好きな様にさせるわけにはいかない。それに、なんだかあの女がグレイソン様に馴れ馴れしく話しかけている姿を見ると、無性にむしゃくしゃするのだ。大体グレイソン様は、優しすぎるのよ。


 あんな女、放っておけばいいのに!


 そう思いながら、席に着いた。


「あら、あなた達まで戻って来たの?別に戻って来なくてもいいのに」


 ヴァイオレットが、心底嫌そうな顔をしている。こっちだって、あなたとなんて食事をしたくないわよ。本当に憎らしい女ね。


 結局この日から毎日、昼食の時間になると私たちの元に乗り込んでくるようになったのだ。私達も場所を変えたり、別々に行って現場で集合したりしていたが、必ず湧いて出てくるのだ。


 男女別々に食べれば、やってこないかもしれないと思って別々で食べたりもしたが、そうすると嬉しそうにグレイソン様や殿下がいる男性グループに割り込んでいる。


 なんだかそれが無性に腹が立つので、結局皆で食べる事で落ち着いたのだった。


 まさかここまで執念深く追いかけてくるだなんて…1度目の生の時は、次々と皆を虜にしたから、こんなにもしつこい性格だとは思わなかったわ。


 でも、私に対する嫌がらせは、私が殺されるまでしつこくしていたから、やっぱり元々の性格か…


 それにしても、殿下にどんなに辛辣な言葉を投げかけられても、グレイソン様からそれとなくあしらわれても、決してめげないあの性格。とてもじゃないけれど、私にはまねできない。


 ある意味あれは才能だわ。


 今日も顔をひきつらせたグレイソン様と、眉間にしわを寄せ明らかに嫌そうな顔をしている殿下の間で、2人に絡みまくっているヴァイオレットを見ながら、ついそんな事を考えてしまったのだった。

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