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今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?  作者: Karamimi


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第64話:2人ともいつも通りですが…

 翌日、朝早く目が覚めた。結局昨日は色々と考えすぎて、あまり眠れなかったのだ。今日はどんな顔をして2人に会ったらいいのだろう。急によそよそしくなったらきっと、2人ともショックよね。


 だからと言って、いつも通りの対応をするの?それだと、あなた達の事は微塵も興味がありませんと言っている様で、気が引ける。


 どうしたらいいのだろう。


 なんだか気が重くなってしまい、ベッドから起き上がる気がしない。でも、そろそろ起きないと。


 …やっぱり動く気がしない。


「お嬢様、おはようございます。そろそろ起きないと、学院に遅れてしまいますよ」


 アリーが起こしに来たのだ。しぶしぶベッドから起き上がり、着替えを済ませた。そして部屋の外に出ると


「おはよう、ルージュ。今日もいい天気だよ」


 いつもの様に話しかけてきてくれたのは、グレイソン様だ。


「お…おはようございます。本当にいい天気ですわね。もしかして私を待っていて下さったのですか?」


「まあね…一緒に食堂に行こうと思って。さあ、行こうか」


 いつもの様に私の手を握り、グレイソン様が歩き出したのだ。確かにグレイソン様は、今までと同じように接して欲しいとは言っていたけれど、本当にいつもと変わらないのね。


 そんな彼を見て、なんだかホッとした。いつも通り皆で朝食を頂き、制服に着替えて学院を目指す。昨日と変わらない生活に、安心感を覚える。


「ルージュ、そんなに深く考えてもらわなくてもいいから。昨日も言ったけれど、僕は今まで築き上げてきた関係を、壊したくはないのだよ。それに僕は、ルージュの気持ちが固まるまで、ずっと待っているから」


 そう言ってほほ笑んでいるグレイソン様。


「さあ、学院に着いたよ。いこうか」


 2人で馬車を降り、教室を目指す。教室には既にクリストファー殿下の姿が。


「おはよう、ルージュ嬢」


 いつも通り挨拶をしてくれるクリストファー殿下。穏やかな表情を浮かべている。


「おはようございます、クリストファー殿下。あの…その…」


 “昨日は急にあんな事を言ってごめんね。でも僕は、君に僕の気持ちを知ってもらいたかっただけだから。どうかこれからも、今まで通り仲良くして欲しい”


 そう耳元で呟くと、少し恥ずかしそうに笑ったのだ。その言葉通り、クリストファー殿下はその日、いつもの様に私の好きなお料理を勧めてくれ、いつもの様に穏やかな表情で話しかけてきてくれた。


 どうやら2人とも、急に私とどうこうなりたいとは考えていない様だ。むしろ、今までの関係を壊したくはない、ただ自分の気持ちを知ってもらいたいと思っているだけだという事が分かった。


 それでも、2人の異性から好意を持たれていると知った私は、なんだか心が落ち着かない。


 1人ソワソワしていると


「ルージュ、今日は令嬢5人で街に行かない?貴族に人気のスイーツのお店を予約したの」


「そう話しかけてきてくれたのは、ミシェルだ」


「スイーツのお店?それはいいわね。行きましょう」


 他の3人も賛同してくれ、今日は急遽5人で街のスイーツ屋さんに行く事になったのだ。


 放課後、5人で馬車に乗り込み、街を目指す。


「こうやって5人で街に出るのはいつぶりかしら?よく考えてみると、貴族学院に入学してから、初めてじゃない?」


「そうね、子供の頃は何度か5人で、街に出ていたけれど。せっかくルージュも成人したのだし、これからは5人で街に出て、買い物をしたりしましょう。貴族通りも、随分と色々なお店が増えたみたいだし」


「やっぱりそうなのね。つい面倒で、ドレスの新調などはデザイナーを家に呼んで済ませてしまうのよね。でも、皆で貴族通りを見て回るのも楽しいわよね」


 令嬢5人が集まれば、話しが止まらない。さらに貴族通りに差し掛かると


「見て、あんなお店なんてあったかしら?」


「私も初めて見たわ。あら?あのお店も。本当に色々なお店が増えたのね」


 さらに皆の興奮が止まらない。ちなみに王都では、平民たちが暮らすエリアと、貴族たちが暮らすエリアに分かれている。貴族通りは貴族の為に作られたお店が並んでいる通りなのだ。


 貴族たちはこのお店から物を発注したり、時には自分の足でお店に出向いて買い物をしたりするのだ。


「私たちが行くお店はあそこよ。凄い人気でしょう」


 ミシェルが指さす方向には、沢山の使用人たちが列をなしていた。きっと主に頼まれて、買い物に来たのだろう。


「すごい人気ね」


「そうなの、物凄く美味しいと評判なのよ。さあ、私たちも行きましょう」


 5人で馬車を降り、お店に向かったのだった。

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