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今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?  作者: Karamimi


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第48話:お父様が下した判決

「何なんだ、あの男は。いくら娘を溺愛しているからって、常識なんてまるで無くなってしまっているではないか。以前はあそこまで愚かではなかったのに」


 珍しくお父様が怒りをあらわにしている。


「確かにファウスン侯爵には困ったものですね。学院としても、このまま何のお咎めなしとはいきません。3人には今日から3ヶ月の停学処分とさせていただきます。後の件は、3家族で話し合ってどうするかを決めて下さい」


「ヴァレスティナ公爵、夫人、ルージュ嬢、グレイソン殿、このたびは本当に申し訳ございませんでした。慰謝料はもちろん、どんな処分でも受ける所存でございます。どうか何なりとお申し付けください」


 令息たちの家族が、頭を下げた。


 皆がお父様に注目する。


「今回の件の被害者は、我が家のメイドとの事でしたね。彼女はラックス男爵家の令嬢です。その為、私たちではなく、ラックス男爵家に慰謝料をお支払いください。それから、令息たちは酷く反省している様ですし、学院からも停学3ヶ月との処分が下っております。彼らはまだ13歳、一度の過ちで人生を棒にするなんてもったいない。私からは特に何も希望しません」


「義父上、一体ないのをおっしゃっているのですか?こいつらは公爵家を間接的に侮辱したのですよ!いくら何でも甘すぎます!」


「グレイソン、落ち着きなさい。今回の事件、クラスメイト達は知っているのだろう?この噂は一気に広まるだろう。貴族学院にも肩身が狭い思いをして、今後生活をしなければいけないかもしれない。その時点で、十分制裁になる。それで十分だろう?」


 お父様がグレイソン様の肩を叩き、そう訴えた。しばらく俯き、考えこんだ後


「ルージュはそれでいいのかい?君の大切なアリーに無実の罪を着せたこいつらを、こんなに簡単に許してしまって」


「私は…お父様の判断に任せますわ。確かにアリーに無実の罪を着せた事は許される事ではありません。でも、彼らの顔を見たら、十分反省している事も分かりましたから。あなた達、これに懲りて誰かの言う事を鵜呑みにせず、冷静な判断が出来る人間になってくださいね」


「ルージュ嬢…ありがとう。本当に申し訳ございませんでした。ヴァレスティナ公爵の寛大な対応にも感謝いたします」


「僕もです。僕はヴァイオレット嬢の言葉を鵜呑みしてしまい、全く周りが見えておりませんでした。さっきのファウスン侯爵の姿を見て、思い込みとはいかに恐ろしく、愚かな行為だと認識しました。本当に申し訳ございませんでした」


 2人が涙を流して謝る姿に、お父様もにっこり笑い満足げだ。相変わらずこの人は、甘いのよね。でも、それがお父様だ、仕方がない。


「義父上もルージュも、本当に甘いのだから。でも2人がそう言うなら、僕も受け入れます。ただ、君たちがまた悪事に手を染めない様に、僕が監視させてもらうよ。これからも僕たちのクラスメイトとして、よろしく頼むよ」


「ありがとうございます、グレイソン殿」


「ご寛大なご対応、本当にありがとうございます。これからは二度とこのような事が無いよう、我が家でも徹底的に教育を行いますので」


「本当にありがとうございました。どうかこれからも、よろしくお願いいたします」


 令息たちのご家族も、ホッとした顔をしていた。彼らはきっともう大丈夫だろうが、問題はあの女だ。


 きっと全く反省していないだろう。それどころか、増々私への憎悪を増しているに違いない。ただ、あの女にとって今回の事件は、かなり痛手だろう。


 ただ、既に悪評が広まってしまった事で、より過激な攻撃を仕掛けてくるかもしれない。とにかく、あの女がこのまま何もしてこないという事は考えられない。あの女の執着は半端ないのだ。


 結局私はまた、ヴァイオレットに執着される運命なのね…


「皆様、話し合いは終わられた様ですね。令息たちはもちろん、ルージュ嬢とグレイソン殿も今日はご両親と一緒に、屋敷に帰ってください。きっと今、教室中混乱している事でしょうし。一度皆さんを落ち着かせるためにも、私から話しをしておきますから」


 どうやら今日は、このまま屋敷に帰る様だ。セレーナ達、きっとものすごく心配しているだろう。明日しっかり、経緯を説明しないと。


「グレイソン、ルージュ。一緒に帰ろう。それから今回の件を、一番の被害者でもあるアリーに伝えないとな」


 確かに今回の一番の被害者は、アリーだ。自分の知らないところで、まさか無実の罪を着せられているなんて、夢にも思っていないだろう。


 多分この時間は、メイドたちが集まる休憩室にいるはずだ。本当は一緒に帰りたいところだが、生憎今日は4人いるため、私たちは一足先に馬車に乗り込み、家に帰る事にしたのだった。

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