表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/124

第112話:僕に出来る事は…~クリストファー視点~

「殿下、今ヴァレスティナ公爵家から通達が入り、グレイソン様とルージュ様が正式に婚約を結ばれたそうです」


「グレイソン殿とルージュが…そうか、ついに2人は婚約を結んだか…」


 2人がお互いに惹かれ合っているのは知っていた。でも、僕の発言のせいで、一時期2人はすれ違っていた。


 グレイソン殿はルージュを避け、そしてルージュはこの国を出て、叔母上がいるパレッサ王国へと旅立った。正直チャンスだと思った。このまま2人の仲が引き裂かれたら…


 折を見て僕がルージュを、パレッサ王国に迎えに行こう。そう思っていた。パレッサ王国に行くための準備もしていた。でも、結局ルージュは帰国し、グレイソン殿と和解した様だ。


 そして2人は…


 分かっていた。ルージュが1度目の生の時の記憶が残っている限り、僕に勝ち目がないという事を。僕がどんなに後悔しても、どんなにルージュを大切にしたいと願っても、どうにもならない事を。


 僕の存在自体が、彼女を傷つけ苦しめているという事を。


 僕は婚約者だったルージュを裏切り、不貞を働いた。その上、ヴァイオレットの言う事だけを信じ、何の罪もないルージュを冷遇した。挙句、ろくに調べもせずに一方的に婚約を白紙に戻し、そしてルージュとその家族を死に追いやったのだ。


 グレイソン殿には“君のせいで、ルージュとルージュの両親が死んだ”と言ったが、グレイソン殿だって、ヴァイオレットの被害者だ。彼は最後まで家族の事を心配し、ヴァイオレットの話を拒否していたと聞く。


 それを無理やり決行させたのは、ヴァイオレットだという事も。


 僕とヴァイオレットは、罪もないヴァレスティナ公爵家の一家を死に追いやったのだ。ルージュが僕を絶対に許せないという気持ちもわかる。


 それでも僕は、この手でルージュを幸せにしたかった。


 でも…


 2人が婚約してしまった以上、僕にはもうどうする事も出来ない。僕にできる事は、2人を祝福し、身を引く事だけだ。


 それがどんなに辛い事だったとしても。ただ、これが僕に与えられた罰なのかもしれない。神様は、僕にやり直しのチャンスをくれたのではない。僕に罰を与えるために、2度目の生を与えたのかもしれない。


 そうだとしたら僕は、この現実を素直に受け入れるべきなのだろう。それが今の僕に出来る、ルージュへの唯一の償いだから…


 それでも僕は、ルージュを愛していた。誰よりも…


「ルージュ…ルージュ…」


 次から次へと溢れる涙を止める事が出来ない。今だけ、どうか今だけルージュを思い、泣かせてほしい。


 しばらく泣いた後、そっと引き出しからあるものを取り出した。2度目の生の僕には、ルージュとの思い出の品はなにもない。でも、1つだけ。ルージュがくれた、真珠のネクタイピンだ。


 パレッサ王国に行ったお土産に、ルージュが皆にくれたのもだ。ルージュにとっては、クラスメイト全員に配ったものだ。あえて僕の為と言う訳ではない。


 でも僕にとっては、初めてルージュから貰った、宝物なのだ。この真珠の様に、いつまでもルージュには輝いていて欲しい。


 その為にも、僕がやらなければいけない事は…


 ルージュの幸せを願い、身を引く事だ。ただ…


 あの女、ヴァイオレット。あの女はきっとまた、ルージュに何かしらしでかすに違いない。僕は1度目の生の時、ヴァイオレットの暴走を止められなかったどころか、共謀してルージュから全てを奪ってしまった。


 既に追い込まれているヴァイオレットは、何をしでかすか分からない。せめてあの女の暴走だけは、絶対に止めて見せる。


 それがルージュの為に出来る、唯一の事だから…

次回、ルージュ視点に戻ります。

どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ