第111話:両親に私たちの事を話します
「グレイソン、ルージュ。お帰り。今日は仲良く2人で帰ってきたのね。グレイソン、騎士団の稽古は良かったの?」
「義母上、大事な話があるのです。義父上はいらっしゃいますか?」
グレイソン様が、お母様に迫っている。
「まだ王宮から帰って来ていないわ。今日はどんな話かしら?いい話だといいわね。お父様が帰ってきたら、すぐに呼ぶから。ルージュ、あなた昨日、夜遅かったのでしょう。少し休んだ方がいいわ」
「ええ、そうしますわ。グレイソン様、お部屋に行きましょう」
グレイソン様と一緒に屋敷に入り、それぞれ部屋に戻る。着替えを済ませると、ソファに座った。
「お嬢様、旦那様がお帰りになりました」
「あら、もう帰ってきたのね」
少し休もうと思っていたが、そうもいかない様だ。それじゃあ、私も行こうかしら。
部屋から出ると、グレイソン様が待っていたので、2人で居間に向かう。
「義父上、お帰りなさい。今日は大事な話があります」
既に居間で待っていた両親。
「グレイソン、落ち着いて。さあ、座ってくれ。それで、今日はどんな話があるのかな?」
お父様もお母様も、薄々気が付いているのだろう。私達の関係を。その証拠に、2人は明らかに嬉しそうだ。
「義父上、義母上、僕とルージュを婚約させてください。僕たちは心から愛し合っています。どうかお願いします」
グレイソン様がストレートに両親に話しをした。ちょっとグレイソン様、もうちょっとオブラートに包んで欲しいわ。なんだか恥ずかしい。
「そうか。2人で話し合って決めた事なら、私たちは反対しないよ。おめでとう、グレイソン、ルージュ」
「本当によかったわ。一時はどうなるかと思ったけれど」
お母様が泣きながら私たちを抱きしめてくれた。お父様もお母様も多くは語らないが、相当心配を掛けたのだろう。
「それじゃあ、2ヶ月後のグレイソンの15歳の誕生日に、婚約発表をする事にしよう。その時に正式に婚約をするという事でいいかな?」
「ええ、私は構いませんわ」
「僕も構いませんが、こんな大切な事を、僕の誕生日に行っていいのですか?」
「あら、大切な事だから、グレイソン様のお誕生日という特別な日に行うべきだと私は思いますわ。そうでしょう?お父様、お母様」
私の問いかけに、2人が笑顔で頷いている。
「分かりました。ただ、婚約事態はこの場で結びたいです。正直僕は、未だにルージュと婚約できることが、夢なんじゃないかと思っていて。どうかお願いします」
そう言うと、グレイソン様が婚約届を差し出してきたのだ。
「グレイソン様ったら。私は構いませんが…」
チラリと両親の方を見る。すると
「婚約届まで準備して。分かったよ。それじゃあ、早速サインをしよう。提出した時点で、君たちは正式に婚約したことになるから、貴族たちにも報告する事になるが、いいかい?」
「ええ、構いません!」
「私も構いませんわ」
「それじゃあ、早速サインをしようか」
皆で婚約届にサインをしていく。2度目の生が始まった時、いつか私も誰かと婚約をして、幸せになりたい。そう思っていたが、まさかグレイソン様と婚約を結ぶことになるだなんてね。
「それじゃあ、この書類を提出したら、君たちの婚約は成立する。グレイソンもルージュも、本当にいいのだね」
「「もちろんです」」
2人の声が被ったのだ。そんな私たちを見たお父様が、笑顔で執事に紙を渡している。
「私は今から、正式に2人が婚約したことを、陛下並び他の貴族たちへの通達依頼をしてくるよ。2人ともおめでとう。それじゃあ、行ってくる」
「ルージュとグレイソンが結婚して、公爵家を支えてくれるのね。ありがとう、グレイソン、ルージュ。私は今、とても幸せよ」
私達の手を握り、涙を流すお母様。1度目の生の時は、無残にも殺されてしまった両親。今度の生では、どうか幸せに生きて欲しい。お母様の涙を見たら、そう願わずにはいられなかった。
次回、クリストファー視点です。
よろしくお願いします。




