88.魔法にも限界が…小麦!
畑の隅にある肥料作りの場所に行く。
発酵しているモノを確かめる。
日本より落ち葉の発酵する速度が速いようだ。
収穫していらない茎などの硬い部分もほぼ原形がない。
……
肥料作りの場所に料理で残る野菜くずの捨て場を作ってから1ヶ月。
日本より発酵スピードが速いことに気が付いた。
日本では野菜くずを土の中に入れて1ヵ月後には使える土になる。
こちらでは見た感じ2週間で使用可能に見える。
驚異のスピード発酵。
魔法で発酵を速めた肥料と比べると色や匂いが違う。
気になったので成長スピードを確かめるために実験栽培をしてみることに。
10種類の野菜を2株ずつ準備する。
魔法で作った肥料に10種類。
自然発酵で作った肥料に10種類。
完了。
……
目の前にあるのは10種類2株ずつ。
どう見ても自然発酵させた肥料を混ぜた方が育ちがいい。
野菜を育てて感じたがこの世界の野菜の成長が早い。
特に自然発酵肥料の成長が著しい。
うまく野菜を収穫していけば食べ物で困ることがないかもしれない。
異世界での食料に関する心配が減るのはうれしい。
肥料の違いは成長速度の他にも葉の色や幹の太さ。
そして収穫する量に出ている。
野菜によっては収穫する数が2倍近い野菜も。
発酵は自然に任せた方がいいようだ。
魔法は万能だと思っていたのだが…。
野菜と菌…つまり生きているものだ。
魔力の影響があるのかもしれないな。
何でも魔法でするのはダメなようだ、気を付けよう。
調味料も自然に発酵させた方がいいかも知れないな。
と言ってもまだ魚醤とワインだけだが。
どうしても必要な量は仕方ないがそれ以外は発酵するのを待つか。
待ち遠しいな。
いや、我慢だ我慢。
魔法のことで考えさせられたのでちょっと実験。
種を植えて魔法で急成長。
お肉を魔法で焼いたモノと炭岩で焼いたモノ。
結論。
野菜を育てるのに魔法は使わないほうがいい。
食事を作ることに関して魔法は極力控える。
野菜を最初から魔法で育てるとかなり味が落ちた、料理に関しても旨味が少し減った気がする。
魔法は万能と思っていたが落とし穴があったな。
時間はあるのだ、ゆっくり育てればいいし料理も普通に作ればいい。
ただ、自然に発酵させるのであれば、いろいろ時期を考えて仕込みをする必要があるかもしれない。
今のところ魚醤とワイン。
これからの事も考えて発酵スピードを調べることも重要だろう。
…徐々にしていこう。
……
持って帰ってきた小麦は簡易脱穀機。
小麦の大きさより少し小さい幅の櫛のようなモノを作ってそこに小麦を通して脱穀。
想像していたより簡単に脱穀が完了。
次に籾摺り、籾殻から小麦を取り出すのだが…。
2枚の板に小麦を挟みすり合わせてみる。
うろ覚えの方法だが結構いける、すり合わせる板に溝を彫ってみる。
籾摺りが少し早くなった。
量が多いのでちょっと遠い目。
…一つ目たちが手伝いに来てくれた。
助かった。
…俺より作業が速い。
籾摺りしたモノを集めて高いところから下に落とし、風で籾殻を飛ばす。
風の微調整がちょっと大変だったが数度の失敗ののち成功。
一つ目たちの手伝いが完璧だ。
乾燥は部屋にゆっくり風を流して数日放置。
布の袋に詰められた小麦が完成。
次の春っぽい季節に植える種も確保できた。
満足。
次は天然酵母を作って目指せパン!
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