64.フェンリル王2 コア
-オオカミに間違われているコア視点-
畑を見る。
アンフェールフールミのシュリが集めたモノが順調に育っている。
主の希望で集められた食べられる土の中のモノ。
知識としてはあるが食べたことがないモノが多い。
そもそも土の中のモノを食べることはない。
それはここにいる者すべてに言えることだが。
なぜ、こんなモノを求めたのかわからん。
だが、主がつくる飯はうまい。
肉があれほどうまくなるとは、まさに奇跡。
これらもうまいのであろうか?
少し期待してしまう。
しかし、外にいるゴーレムは相当強い。
我々がすべて狩りに出てしまった時に住処に向かう魔物を見つけた。
慌てて追いかけたがゴーレムによって瞬殺された。
魔法を使用できるゴーレムは今までにも見てきたが、主のは魔法だけではない。
我の目でも一瞬、姿がぶれるほど動きが速い。
その両方を駆使してたった一撃で撃退。
さすが主の作ったゴーレムなのだろうな。
敵にはなりたくないものだ。
住処の近くにできた池で少し休憩。
池には水を綺麗にする魔法がかかっている。
主の魔法はどれも威力や規模がでかい。
池の水をただ綺麗にするだけでなく、清らかな魔力を含む水になっている。
それでだろう、清流や限られた場所でしか姿を見ないモノが多数泳いでいる。
顔を出して視線が合っても敵対心を見せない。
そうとう居心地がいいようだ。
緑の魔石を持つゴーレムが癒しの風を結界内に起こす。
家から周辺に向かって風が流れる。
その気持ちよさについうとうとしてしまいそうになる。
!!!
何だ、主の魔力が膨れ上がっている。
何かあったのか?
だが、一緒にいる者たちからは何も信号が送られてはいない。
今までの数十倍といっていいほどの主の魔力が森を駆け抜ける。
風に乗って大地に、木々に、水にそこに居るすべてのものに見えない魔力が降り注ぐ。
いつも存在を感じていた結界が消えるのを感じる。
他のものたちも感じたようで、慌てている姿が見える。
深く息を吐き状況を確かめる、そこで気が付く。
外のゴーレムたちが通常の作業を続けていることに。
まるで何も起こっていないようだ。
ゴーレムは主と直結しているはず、異変があればわかる。
問題はないということか?
だが、結界は。
ゴーレムたちに異変がないため落ち着いてきた、仲間と共に主の帰りを待つ。
姿を見せた主はいつもと同じ、近くで確かめたが問題はないようだ。
安心した。
次の日に結界が広がっていることに気が付いた。
以前、結界を広げたいと言われたが、全員でダメだと拒否。
結界を維持する主の体に負荷がかかりすぎると、心配したからだ。
だが、その心配は不要だったのだろうな。
結界に沿って走ってみたがその広さは…1日では回り切れないほど。
その広大な結界を維持しているはずなのだが、いつもと変わらぬ主。
いつものように外を見回り、湖の水をチェック、仲間の様子を確認してゴーレムをチェック。
本当にいつもと変わらない。
さすがだ。




