06.洞窟の中…影の中の死
浄化、失敗。
いや、失敗ということではなく範囲の問題かな。
洞窟の入り口部分だけ浄化しても意味ないよね。
中に入るとすぐに影が…。
何とか手をかざして広範囲を意識して浄化。
俺の周り2mぐらいが浄化できた…。
あ~洞窟は広かったか。
そしてかすかに聞こえる呻り声。
どうやらここは、オオカミの住処のようだ。
俺ってまさか、自らエサが来たぞ~って…ことになったり?
…そうだったら間抜けすぎる。
浄化の効果なのか、洞窟内の影が少し薄くなった。
そのおかげで洞窟内が微かに見える。
俺をここに導いたオオカミと同じようなオオカミが、少し離れたところで威嚇をしている。
その後ろで、影が動く。
ここからでは姿を確認できず何かは不明だ。
そして、その後ろには黒い何かの山がある。
もう一度、手をかざして浄化魔法をかける。
先ほどより視界が良くなった。
かすかに見えていた黒い何かの山は…オオカミの死骸だったようだ。
山のように積み重なっている。
黒く見えたのは濃い影が覆っていたから。
ところどころにオオカミの足が見えなければ気づかなかっただろう。
それが死骸だと。
何とも気分が悪い。
…近づこうとすると呻り声が増える。
あ、駄目なのね。
俺と一緒に来たオオカミが一鳴き。
静かになった。
どうすべきか…この浄化って手を伸ばす範囲だけなのかな。
ん~目の前に見える範囲ぐらいなら、どうにかならないかな。
まぁ何事もチャレンジか。
視界にかすかに見える奥を意識しながら、全体を覆うようにイメージして
「浄化」
広範囲も浄化できるようだ。
ただ、それ以上にこの洞窟は広かった。
視界が広がったので、何度か浄化魔法を繰り返す。
洞窟内の黒い影が消えていくのが面白い。
ふ~さすがにちょっと、繰り返しってめんどくさいな。
不思議なことに魔法を使うたびに、体が軽くなるような気がする。
魔法ってそんな効果があるのだろうか?
…分からない。
分からないことを考えても、今は時間の無駄だな。
そういえば動き回っているが体の疲れも感じないな。
…これもあれだ、気にしても時間の無駄だ。
いろいろ考えそうになった頭を一振り。
さて、次、次。
俺は洞窟の奥にある死骸の山に近づく。
洞窟内を浄化しても変化がなく影が覆っている。
隣を歩いているオオカミを見るとじっと山を見つめている。
表情はわからないが、悲しんでいる雰囲気を感じる。
何とかしたくなる…自分の性格が恨めしい。
仕方ない。
ちょっと強く呪いが解かれるイメージを持って浄化。
うん、魔法は万能だ!




