125.双子?
カシュリア神に、創造神の住む建物を調べた時の様子を聞く。
調べ方に問題は無いのに、原因を見つけられず。
どうしてだろう?
「あっ、そうだ。創造神があの場所に住むのは、力を授かるからだと聞いたけど、その力とはどんな力なんだ?」
捜している力ではなかったみたいだけど。
俺の言葉に、カシュリア神とフィオ神がなぜか険しい表情をした。
「その力は、授かる物ではなかった」
「違うのか?」
「あぁ。創造神の寝室の床に、ある魔法陣が描かれている事が分かったんだ。今、その魔法陣について詳しく調べている。今のところ分かっている事は、その魔法陣が神力を無理やり増やすための物だという事と、使い続けると副作用があるという事だ」
神力を無理やり増やす?
しかも副作用があるなんて、最悪な物じゃないか。
「どうして今まで気付かなかったんだ?」
「その場所は創造神の寝室。創造神が住む建物ですら限定した者しか入れなかったのに、それが寝室ともなれば、もっと限られた者だけだから、気付かなかった」
あぁ、そうだったな。
「それにしても、創造神の地位に就く者なら神力の量は誰よりも多いはず。どうして増やす必要があったんだ?」
フィオ神が呆れた様子でため息を吐いた。
「神達は作り過ぎたんだ」
えっ?
作り過ぎた?
「星を多く作り、魂を多く生み出した。創造神の持つ力の限界を超えて」
「まさか、創造神の大量にある神力が足りなくなるほど?」
俺の言葉にフィオ神とカシュリア神が頷く。
マジか。
前創造神の神力量は、ロープの調査で俺よりは少ないが、それでもかなりの量だった。
その豊富にある神力で、神国全体を支えている。
それが足りなくなるほど、星や魂を作った?
作る数は創造神が制御できるから、神が勝手に行ったとは言えない。
「つまり、歴代の創造神は馬鹿だったのか?」
自分の限界が、分からなかったのだから。
俺の言葉にフィオ神が笑い、カシュリア神は情けない表情をした。
「まぁ今はピークの時に比べると、神が色々と暴走したせいで生きている星の数は半分まで減っている。魂は、長く休ませる事で活動する数を減らして、創造神の負担を減らしているところだ」
「それはいつから?」
「2代前の創造神の時から、少しずつ魂の休む時間を伸ばしていたようだ。星については、少しずつ増えていたが、前創造神の時に落ち神と仲間の神が暴走したせいで星の数がぐっと減った。結果的に、創造神の負担が減っている」
もしかして、創造神の負担を減らそうとして落ち神が暴走したのか?
「落ち神が、創造神を助けようとした可能性は?」
「絶対に無い。創造神の神力を無理やり増やそうとしたのは落ち神ではないが、増やし方に容赦が無くなったのは落ち神の時だ。奴は、魔法陣に手を加えて死ぬまで利用できるようにしたんだ」
落ち神は、やはり完全な悪か。
どうしてあんな神が生まれたのか、気になるんだよな。
「そうか。魔法陣については調べ終わったら教えてくれ」
「分かった。えっと、今日のところはこれぐらいか?」
声にまつわる力についてだったから、終わりだな。
「終わろうか――」
「あの」
俺の言葉に被せるように、カシュリア神が声を上げる。
視線を向けると、飛びトカゲを見て決意したように頷いた。
「先ほど、私の力について話していましたよね? あれは、どういう意味だったんでしょうか? すみません、とても気になってしまって」
先ほど?
カシュリア神の力。
「力の中の力?」
「はい」
「それは俺も分からないんだ。飛びトカゲ、さっきの力について説明して欲しい」
「うん?」
眠そうに欠伸をしながら、傍に来る飛びトカゲ。
体を小さくしているので、威厳が感じられないな。
「カシュリア神を見て、力の中の力と言っていただろう? あれは何だったんだ?」
「あぁ、あれか。すぐに思い出せなかったんだが、あれは双子が持つ力の特徴だ」
双子?
「カシュリア神は双子だったのか?」
カシュリア神を見ると、驚いた表情をして首を横に振っている。
あれ?
違うのか?
「神の間で双子は不吉な存在と言われているんだ。遥か昔、親である神を殺した双子がいたから」
それって、子供達を自分の欲望のために利用した屑の事では?
確か、光の魔力だけ持つ子供と、闇の魔力だけを持つ子供に無理やりしたんだったよな。
それで最終的にその双子に親である神が殺されたはずだ。
「フィオ神。その双子の親って、光の魔力と闇の魔力に無理やりした奴の事か?」
「たぶん、そうだ。彼等の事は有名だから」
やはり。
「それなら親が殺された原因は、双子の弟を殺そうとしたからではなかったか?」
俺の言葉に頷くフィオ神。
「双子が悪いわけではないのに、どうして不吉な存在として扱われているんだ?」
「知り合いの神が調べたが、分からなかった。ただ子供が双子だった場合は、不吉だからと一方を殺すんだ。この事は、かなり昔から続いている事を確認している」
「それだとカシュリア神の兄妹は、もういない可能性があるんだな」
俺の言葉に、神妙に頷くフィオ神。
カシュリア神を見ると、少し顔色が悪い。
双子が不吉な存在だと思っているのなら、自分が双子だったと分かったら、気分は悪くなるよな。
「カシュリア神、悪い。余計な事を言ってしまったみたいだ」
「いえ、そんな事はありません。でも私が双子だったなんて」
「やはり、双子だった事がショックなのか?」
俺の言葉に首を横に振る、カシュリア神。
「いえ、双子だった事は別に気にしていません。不吉な存在だとも思いませんから。ただ、私の家族が私の兄妹を殺した可能性があるんですよね?」
「それは……」
フィオ神の話から、そうなるよな。
「兄は知っているのでしょうか?」
兄?
あぁ、第1位の神で名前はガルアル神だったな。
「ガルアル神が幼かったら、知らない可能性もあるのでは?」
カシュリア神を見ると、パッと表情が明るくなった。
「そうですね。兄とは年子なので知らないと思います」
それなら知らないだろう。
カシュリア神は、兄のガルアル神と仲が良いみたいだな。
「年子?」
飛びトカゲの言葉に、カシュリア神が頷く。
「はい、兄とは1歳違いです」
「それはおかしいな。カシュリア神の親は神か? 神族か?」
飛びトカゲの言葉に首を傾げるカシュリア神。
「神ですが? 何か変ですか?」
「神の出産は、かなり力を使う。だから10年ぐらいは体を休ませないと、子は産めないはずだ」
えっ?
つまり兄とは血が繋がっていないのか?
「だがカシュリア神とガルアル神は、確かに血が繋がっている。二人の力がとても似ているからな」
双子に年子の兄。
10年の休息。
「あぁ、ガルアル神と双子だったんじゃないか? 双子で生まれたが、殺すのは嫌だったから1年後に生まれた事にした。子が生まれたら、何処かに登録でもするのか? もしそうなら、それを1年遅らせればいいだけだろう?」
「えっ? いや、登録ではなく生まれて20日後に、創造神が管理する記録装置に記録されるんだ。その記録を操作する事は不可能だ」
「結界内に入れて、気付かせないようにする事は出来ないのか?」
「「……」」
フィオ神とカシュリア神の反応から、出来るみたいだな。
「かなり面倒だが、出来る。それに……」
フィオ神が、ちらりとカシュリア神を見る。
「私の叔父が、結界の研究者です」
カシュリア神の叔父さんか。
隠せる環境が調っていたという事か。
「でも、どうして?」
「双子として育てると、周りから攻撃される可能性があるからだろう」
双子を不吉な存在だと思っている神達にとって、双子の存在は脅威だろう。
そして、攻撃をしてくるかもしれない。
それなら子供を守るために、隠せるなら隠して双子という事実を無くしてしまうだろうな。
「まぁ、ガルアル神とカシュリア神が双子かどうかは、今ここでは確認は出来ないが」
飛びトカゲが、ガルアル神を見たらすぐに分かるんだろうな。
「カシュリア神は、確認したいのか?」
彼女を見ると、力強く頷いた。
覚悟した顔だな。
「飛びトカゲに協力してもらって、ガルアル神を見てもらおう。すぐに分かるだろう。というか、親に聞けばすぐに分かるのでは?」
「私の親は頑固で口が達者なんだ。誤魔化される可能性がある」
「はははっ。彼らな」
カシュリア神の言葉にフィオ神の表情が引きつった。
何か、凄い親みたいだな。
「分かった。飛びトカゲ、協力してもらっていいか?」
「もちろん」
俺の言葉に、楽しそうな雰囲気を出す飛びトカゲ。
それに少し不安を覚えるが、まぁ大丈夫だろう。




