42.まず、確認。
サブリーダーと話をしていると、自分が勘違いしているような気がした。
だから、魔界での事を細かく確認した。
「あ~、なるほど。そういう事だったのか」
そして、かなり勘違いしている事が分かった。
思い込みは駄目だな。
俺は魔界の地下には既に地下道があり、それを掌握したと思ったのだが違った。
地下道はアリ達が作った物だった。
魔界がどれほど広いのか知らないが、かなり凄い事を成し遂げたような気がする。
と言うか、地下とはいえ魔界。
そんな自由に動き回ってもバレない魔界に、かなり不安を感じてしまった。
まぁ、俺が心配するのはおかしいけど。
でも、かなり大きな問題だよな。
だって今の魔界は、誰が主導権を取るか争っているんだろう?
それなのに、呪国の者が出入り自由だなんて。
これは、争う前に魔界の出入りを引き締めた方がいいんじゃないかと思う。
まぁ、思ったところで魔界にいる知り合いはオウ魔神だけなので、とりあえず彼に注意するように言っておこう。
あれ?
もし強化されたら、サブリーダーやアリ達が危ないのか?
え~、……呪国の事じゃないし、そもそも俺は部外者だ。
それに魔界の事は、そこに住む者達が気付くべきだと思う。
うん、余計な事はしないでおこう。
「大変だっただろう?」
俺の言葉にサブリーダーが少し考えて頷く。
「確かに少し大変だったみたいです。でも、アリ達はかなり楽しそうでしたよ。思う存分自分達の力が発揮できると言っていましたから」
そうなんだ。
と言うか、ここでは思う存分自分の力を発揮できないのか?
「主、この世界では地下道が崩れたら地上に問題が出ます」
そうだろうな。
「ですが魔界では、地上に影響が出にくい岩盤だったそうです。だから失敗を恐れずに、やりたい事が全て試せたと言っていました」
なんだろう、やりたい事って。
聞いても、後悔しないかな?
「そうか」
聞くのは止めておこう。
と言うか、話を聞いていて思ったんだが、魔界の地下を実験場にしていないか?
それでいいのか?
バレなければいいという気持ちもあるんだけど……問題は、あるよな?
「そんなに動き回ってと言うか、地下道を作ってしまって魔界に影響は無いのか?」
魔界に住む者に、迷惑を掛けるのはちょっと駄目だよな。
今はまだ、この世界に敵対心を見せていないんだし。
「大丈夫です。全て結界内で行っていますし、最終的には魔界に馴染むようですから」
「そうか。それならまぁ、いいか」
それより地下道の掌握ではなく、地下の掌握が正しいと分かったけど……。
「地下の掌握とは、どういう事なんだ?」
「はい。地下には、各城に繋がっている地下牢や実験場所がありました。そこを全て監視出来たという事です。下手に完全掌握してしまうと、我々の事が発覚します。なので、今のところは動きがあった場合、すぐに連絡が来るようにしました」
バレない範囲での掌握か。
まぁ、それが正しいよな。
今、アリ達の動きがバレるのは駄目だ。
まだ、オアジュ魔神の子供達が全てはこちらに来ていないのだから。
「あれ? それじゃあ、地下牢に囚われている者達を助け出したら、こっちの事に気付かれるんじゃないか?」
だからと言って、戻してきなさいとは言えないけど。
「死んだ事にするために、トレントに協力してもらいました」
トレント?
と言う事は、トレントも魔界に行っているのか?
全く気付かなかったな。
「彼等の協力の元、見張り役には牢屋の中の者達が死んだと思わせ中です」
ただいま実行中か。
死んだ事にしたら、いなくなっても問題ないな。
「上手くいきそうか?」
「当然」
ははっ、凄い自信だな。
「分かった。いろいろ教えてくれてありがとう。助かったよ」
「主。魔珠宝については問題ないですか?」
んっ?
あぁ、そういえば、オアジュ魔神の子から知り合いに魔珠宝を優先的に譲って欲しいと言われていたんだった。
「オアジュ魔神の子供達が『いい』と言ったら、問題ないかな」
約束していた者達が納得したなら、いいだろう。
「分かりました。おそらく、問題ないと思います」
「魔珠宝をあげるのはいいけど、その後はどうするんだ? こっちへ来るのか?」
この世界に来るなら、オアジュ魔神に相談する必要があるだろうな。
「それが、まだ迷っている最中です。魔界以外で生きようと考えた事が全くない者達なので、いろいろと不安に思うようです。こちらから提案をした時も、かなり戸惑っていました。ただ、魔界では死んだ事になるので、外を自由に歩き回る事は出来ません。それに、彼等の力を欲している魔神達にいつ見つかるか分かりません」
魔界にいるとかなり危険みたいだな。
「彼等もその事を理解しています。なので、最後には魔界を出る決断をすると思います。ただ、魔界が落ち着いて命を狙われない環境になった時は、戻るかもしれません」
「分かった。それなら、オアジュ魔神に彼等の事を話しておくよ」
魔界に住んでいた者達の事は、オアジュ魔神達に任せた方がいいよな。
「お願いします。では、私はそろそろ魔界に行きますね」
んっ?
テンションが上がった?
「魔界はそんなに楽しいのか?」
オアジュ魔神の話から、住みにくい場所のイメージがある。
でもサブリーダーの様子を見ていると、楽しそうだ。
「住む場所としては最悪ですが、遊ぶ場所としては面白いです」
それはどうなんだ?
「ははっ。魔界なんだから気を付けて」
「はい」
スキップでもしそうな雰囲気で駆けていく、サブリーダーを見送る。
本当に遊び場として楽しんでいるみたいだな。
魔界は、大丈夫なのか?
さすがに隣の世界だから、気になるな。
安定するためには、早くトップが決まればいいんだろうけど。
トップに立った者の考え方次第で、魔界とのかかわり方も変わる事になる。
この世界と友好的な存在がトップになってくれたらいいのに。
ん~、オウ魔神とか?
そういえば、彼は魔神だ。
その資格は無いのかな?
「あ~駄目、駄目」
あまり、魔界の事に首を突っ込んでは駄目だ。
今は静観するのが一番だろうからな。
「はぁ~。それにしても、どの世界も大変だな」
神国は、創造神が未だに全ての神達を纏められていないし。
魔界は、トップ争い。
呪国は、上に立つ覚悟が未だに俺に出来ない。
……俺が一番平和だな。
呪国でよかった。
「でも、いつまでもこの状態が許される訳はないよな」
でも、覚悟なんてどうやって持てばいいんだ?
流されて生きてきた俺には難しいって。
「……魔石に力も籠めたし、戻ろう」
あと少しでいいから、このままで。
「あっ、そうだ」
この世界の結界を追加しておこう。
魔界のように出入り自由ではないと思うけど、もしもの事があるからな。




