40.チュエアレニエ 親玉さん
-大きな蜘蛛 親玉さん視点-
木の枠に板を載せる小さいゴーレムの姿を眺める。
不思議な光景。
ゴーレムとは人間が作り上げた1つの武器。
魔物や魔獣対策にあみだされたものである。
それが何とも愛嬌があるサイズで、先ほどから何やら作っておる。
こんなゴーレムを見たことがない。
まぁ、主の作りだす魔法はどれも知らないものばかりなのだが。
主の魔力をうけて、少しずつ失われた力が戻ってきているのがわかる。
長い間、仲間を守るために使い続けた力。
それでも多くの仲間を失い続けた。
体の維持ができなくなり消滅へと近づいていた、わが身と子供たち。
それが今では、ゆっくりとだが元に戻りつつある。
暖かな魔力が傷ついた体を包み込む。
主の魔力は心地よい。
しかし、主はいったいどれほどのゴーレムを同時に作り出せるのか。
最高と言われた魔導師でも確か3体のゴーレムが最大のはず。
小さいとはいえ主のゴーレムは底知れない力を感じる。
そして主のゴーレムにはあり得ない自我を感じる。
ゴーレムとは主の命令を聞き実行する存在。
それ以上のことはできない無機物。
無機の存在に意思を感じるのだが…?
疑問に思うも、目の前の一対のゴーレムが…。
木の枠に板をのせてうまくいくと互いの手をパンと合わせて…喜んでいるのだろう。
他にも
1体がミスリルのナイフで板を削っているがうまく削れていない。
その様子を見て、ほかのゴーレムが手伝いに。
それに…ゴーレムが頭を下げている…おそらく感謝?なのだろう。
最初のは喜び、次が感謝。
無機の存在であるゴーレムでは考えられない行動。
主の力は未知数すぎて我では理解が及ばない。
……
主の希望で糸を作る魔物スワソワを紹介したが、
まさか主に攻撃するとは思わなかった。
とはいえ主の結界で毒が回ることはなかったが。
スワソワの毒は猛毒。
我には効かぬが人ではひとたまりもない。
中途半端な結界では通り抜けてしまう厄介な毒なのだ。
まぁ主ほどの丈夫さと硬さのある結界の前では、あの猛毒でも意味がないだろう。
そういえば結界に攻撃をすると反撃されると思っていたが、
スワソワには攻撃をしなかったな、あれはビビった。
主の攻撃ではスワソワだけでなく我もおそらく一撃で消滅する。
それほどの威力がある。
夜におこった結界への攻撃。
その次に夜空に走り抜ける反撃の光。
攻撃の光とはいえ、しばしその美しさに見惚れてしまった。
わが身ではけして受けたくはないが…。




