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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
周辺の環境は大切です!
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10.面倒はいらない

グダが、親玉さんに近付き失神中の獣人達を確認する。


「探していた者達で間違いないようだ」


探してたのか。

それなら連れてきて正解だったな。

彼らの事が少し気になるが、グダの目は仲間を見る目とは違う。

ん~、面倒になりそうだから、これ以上は関わらないようにしよう。


「申し訳ありません。彼らはどこにいましたか?」


「結界を棒のような道具で叩いていたので声を掛けたら、驚いたのか失神してしまって」


勝手に失神したんで、俺達は何もしてませんよ。


親玉さんに合図を送り、獣人達が持っていた道具を出してもらう。

野球のバットのような形で、全体が黒い硬い何かに覆われている。

一見普通のバットに見えたのだが、棒の中心に魔力を感じた。

と言っても微量な魔力なので、これで何が出来るのか全く不明だ。


「結界を叩いていたんですか?」


グダの少し焦った表情に首を傾げる。

なぜそんな表情をするんだ?


「あぁ、何か問題が?」


叩かれていた場所を見たが、特に問題は無かった。

傷1つ付いていなかったからな。

こんな棒を使うより、直接魔力を叩きこんだ方が有効だろう。

あっ、もしかして結界を心配しているのか?


「結界には傷1つ付いていなかったから、大丈夫だ」


正解みたいだな。

安堵した表情になったグダにちょっと安心した。


「はい、これ。あと、彼らを引き取って欲しいんだが」


棒をグダにわたし、親玉さんの上の獣人を見る。


「分かりました。アペ、ロイガ、奴らを連れて行け」


「「はい」」


グダが来たからかな?

2人の顔色が少し良くなっている。

グダを見る。

確かに、頼りたくなる雰囲気があるよな。

隊長だからなのか、貫禄も感じるし。


「あの、本日はどんな用件でこちらに来たのでしょうか?」


「彼らにも伝えたんだが、ダダビスに会いたいんだ。王都にいると聞いたんだが、行ってもいいかな?」


ここでのんびり話していると、帰りが遅くなる。

子供達が心配するから、そろそろ王都に向かいたい。


「ダダビスですか? 彼は確か、2日前に王都を出たはずですが」


あれ?

という事は、王都にはいないのか?


「少しお待ちいただけますか? どこにいるのか確認してきます」


「あぁ、よろしく」


グダが来てくれてよかった。

確認を取るのに、どれくらい時間がかかるかな?


「あの、門の近くに休憩できる場所がありますが、お使いになりますか?」


休憩か。

それは嬉しいけど、場所は村の中だよな。

門からこちらを窺っている獣人達を見る。

グダが来たお陰で先ほどより落ちついているが、依然として騒然としているのが分かる。

そんな彼らの傍で、ゆっくり休憩できるとは思わない。

彼らの視線が届かない場所なら休憩出来るかもしれないが、コアやチャイがいるから建物内という事も無いだろう。


「いや、ここで待っているよ」


それにしても、今日はどうしてあんなに騒がしいんだ?

前はもっと静かだったよな。

ダダビスが、周りに「静かにするように」と言ってくれていたのかな?

そういえば、前はこんなに獣人が多くなかった。

なんで今日は、こんなに多いんだ?


「そうですか。では、すぐに聞いてきます」


グダが、失神した獣人を担ぎ上げたアペ、ロイガを連れて、門へと向かう。

2人ずつ担ぎ上げているのに、淀み無く歩くアペとロイガの姿にちょっと感動してしまう。

俺なら、持ち上げるのも無理だな。

いや、今なら魔法で持ち上げて持っているように誤魔化せるか……。

空しくなるな、きっと。


「主、あの者は気概がありますね」


気概?

一つ目を見ると、グダの背を見ている。

どういう事だ?


「あの者は、我々の前でけっして怯みませんでした」


……あっ、親玉さんか。

確かに、失神した獣人達を見るのに、親玉さんに近付いた時も怖がる事なく普通だったな。

他の者は、親玉さんが少し動いただけで怖がっていたのに。


「そうだな」


俺としては親玉さんをあんなに怖がる理由が、ちょっと分からないんだけどな。

あれ?

我々と言ったよな?

親玉さんと……我々だから、一つ目?

どうして、一つ目が怖がられるんだ?


「戻ってきたようだが、部下と一緒だな」


チャイの言葉に、コアと親玉さんが警戒しだす。


「大丈夫だから、威嚇はしないように」


グダと共に来た人物は……ウサギの獣人だろうか?

見た事がある、白く長い耳を持っている。

……妹よ、ウサギの獣人は皆可愛いと言っていたような気がするが、そうでもないみたいだ。

凄い筋肉質のウサギもいるみたいだぞ。

それに……強面だ。

そういえば、この世界のウサギを甘く見ては駄目だったな。

森で見かけるウサギは牙で威嚇してくるし、奇声をあげて襲いかかってくる。

いや、あれは魔物だからウサギとは違うか。

後ろ姿は、尻尾が可愛い巨大なウサギなんだが。

前から見たら、凶暴なウサギ。

初めて見た時は、衝撃だった。


「お待たせして、すみません」


「いや、大丈夫だ。えっと、こちらは?」


「国結界警備隊 副隊長のピアルです。森の神様にお会いできて幸いです」


また、森の神か。

一体どこまで、その呼び名が広まっているんだろう?

まさかエントール国全体に広まっているわけじゃないよな?

……さすがに、それは無いよな。


「よろしく」


ピアルを見上げると、その額に刻まれた深い皺が目に入る。

彼の表情を怖くしている原因は、眉間の皺だよな。


「ダダビス団長ですが……」


「あぁ、どうだった?」


グダが少し困った様子で俺を見る。

もしかして見つからなかったのか?


「この国にはいたのですが、ここと反対側にある門の近くの村に居るようです」


ここの反対側?

つまり、国を横断する必要があるという事か。

ん? 

その必要はないか。

ダダビスがいるところは、門の近くの村だったな。

それなら森を突っ切って、反対側の門から入った方が早く着く。


「調べてくれてありがとう」


王都に行っていたら、無駄足を踏む事になるところだった。


「俺達はこのまま、森を走って反対側に行くよ。国の中を横断するより早く着けると思うから」


そうと決まれば、とっとと向こう側の門へと行こう。


「あの……」


グダを見ると、言いづらい事なのか視線が少し逸らされた。


「この村の近くに、エスマルイート王がいるのですが会う事は可能でしょうか?」


えっと、エスマルイートオウって誰?

オウ……王?

もしかして、この国の王様か?


「えっと……」


正直、すっごく面倒くさい。

しかも、王様に会うなら色々ルールとかあるよな。

たしか前の世界でも……なんだっけ?

凄い人に会った事が無いから、分からないや。

この状態だと間違いなく、失態をさらすな。


「悪い。無理だな」


うん、絶対に無理。

何があっても無理。

そういえば、この世界に不敬罪とかあるのかな?

王様のお願いを断ったら……。

やっぱり会った方がいいのか?


「駄目ですか?」


でも会っても、不敬罪になる気がする。


「……子供達にすぐに帰ると言ってあるので」


ごめん、利用しちゃった。

あっでも、諦めてくれたのか、グダがため息を吐いた。

よっしゃぁ。


「悪いな。じゃ!」


とっとと逃げよう。

ここで迷っていたら、チャンスがあるかもと思われる。

俺の態度にグダが少し焦った表情を見せたが、悪い。


「グダ、ピアル、また!」


片手をあげて簡単に挨拶をすると、すぐに森の中へと駆けていく。

俺が走り出すと、コア達も一緒に走り出してくれた。


「ごめんな、急に」


「構わないが、良いのか?」


意味が分からず、ちらりとコアを見る。


「王に主の偉大さを――」


「必要ないから!」


偉大って……平凡だと説明したよな?


異世界に落とされたを読んで頂きありがとうございます。

27日~30日まで更新をお休みいたします。

大変申し訳ありません。

更新を再開しましたら、またよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
流石に森の神扱いされてる自覚あって他の神ともタメ口で接してるのに王如きにビビって不敬罪とか心配するのはちょっと不自然だと思う。
[一言] 世界を完成させるだなんだ言えるやつが普通とかちょっと何言ってるかわかんないですね。
[一言] アイオン神を残念な子あつかいしている主人公が誰より一番断トツで残念な件。しかも一向に自覚しない件。
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