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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
周辺の環境は大切です!
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03.オルサガス国結界警備隊 隊員

ーオルサガス国結界警備隊 隊員視点ー


地面の揺れを感じた瞬間、異様な力を含んだ風が通り過ぎた。

一瞬の出来事だったが、その異様な力を感じた瞬間鳥肌が立つ。


「今のは何だ?」


隣を歩く同期のオージュが、剣に手を掛け周りを見回す。

俺は杖を持つ手に力を籠め、自分とオージュに結界を張る。

簡単な結界のため、強い力の前ではすぐに壊れるが無いよりマシだ。


不意に頭上に違和感を覚えた。

周りを警戒しながら、確認する。


「えっ? オージュ、結界が!」


「結界? なっ! なんで破れているんだ?」


見上げた先には、ボロボロに破れた結界の残骸が見えた。

エルフの魔導師達が張り巡らせた結界は、エンペラス国やエントール国の結界を遥かに凌ぐ強度を持つ。

その結界が、なぜこれほどまでにダメージを受けているのか……。

あまりの事に、俺もオージュも言葉が出ない。


「ピー、ピッ、ピッ。ピー、ピッ、ピッ」


響く警戒音。

おそらく結界が破られた事で、鳴ったのだろう。


「戻ろう。隊長に話を聞かないと」


オージュの言葉に頷くと、急いで詰め所に戻る。


「さっきの異様な力のせいで、結界が破れたって事だよな?」


オージュの言葉に頷く。


「そうだと思う。あれは……王を遥かに凌ぐ力だ」


王の魔力は確かに強いが、対処が出来る力だと思う。

だが、先ほどの力は無理だ。

手を出せば簡単に滅ぼされるような気がする。


「ん? あれは?」


視界の隅に何かがかすめた。

足を止め、そちらを見る。


「どうした?」


「あぁ、今、なにか……」


ローブを被った者達が、数名走り去った気がしたんだが。

魔力を高めて、周辺を探すがそれらしき者達はいない。

思い違いか?

いや、魔法の痕跡があるな。

見に行って、確認すべきか?

だが、警戒音が鳴った以上は速やかに集合しなけらばならないし。


「何か見つけたのか?」


オージュの心配そうな表情に、首を横に振る。

まずは結界が優先だな。

後で、この周辺を調べよう。


「行こう」


「あぁ、もう集まっているだろうから、急ごう」


オージュが走り出すので後を追う。

詰め所に着くと、俺達が最後だった。


「全員、集まったな。先ほど、国に張っていた結界が破られた。魔導師の話では、かなり強い力だったので、おそらく森の神か王が関係しているだろうという事だ」


森の神か、森の王?

確かに、それならあの異様に強い力も納得がいく。


「あの、我々が何か彼らの怒りを買ったという事でしょうか?」


隊員の1人の言葉に、詰め所が少しざわつく。

もし、怒りを買った事での結果の場合、結界を張り直す事は許されるのか。

もし許されないのなら、森への脅威はぐっと上がってしまう。


「それは不明だ。だが、お前たちも知っているだろうが元騎士総隊長オップルが森の意思に反する行動を起こそうとしていた。森の神は、奴らが集めた武器を使用不可能にして、その怒りを我らに伝えた。今もまだ、この国にはアルメアレニエの見張りが付いている」


それに、まだ確認は取れていないがゴーレムの姿を見た者もいる。

話を聞く限り、そのゴーレムの傍には誰もいなかったらしい。

そして、動かす者がいないゴーレムの情報は、エントール国の宰相の事件で聞いている。

間違いなく森の神が作ったゴーレムだろう。

それがこの国の周りにいる。


「オップルは既に処刑されているが、上からの報告ではその息子の行方がわからなくなっている。オップルに心酔していた、元騎士隊員40名ほどと一緒にだ。彼らが何か事を起こそうとしている可能性が高い。そして、その事が原因で再び怒りを買ったなら……結界は諦めた方がいいかもしれないな」


隊長の言葉に詰め所が静まり返る。

結界が無い場合、魔物がどれほど国に流れ込むだろうか?


「もちろん、怒りを鎮めるために森の王の下へ使いを出すだろう。だが、出会えるかどうかは、森の王や神しだいだからな。あまり期待は出来ないだろう。今まで――」


「隊長! すみません」


隊長の言葉を遮った者へと視線を向ける。

森にいる仲間達と交信をしていたリューイが、悲壮な表情で震えていた。

何があったんだ?


「今、5体のアルメアレニエがこちらに向かっていると……仲間から連絡が……」


アルメアレニエが5体?

おそらく森の神の指示なんだろう。

本当に怒りを買ったのか?


「俺が出る。何が起ころうと一切手を出すな。絶対にだ」


そんな……。

隊長の言葉に全員が息を飲む。


「隊長、駄目です! 俺が行きます!」


副隊長が、隊長の腕を掴む。

隊長は、その手を外すと首を横に振る。


「アルメアレニエは森の神と共にいる尊い存在だ。俺が出る。俺に何かあれば、この隊を頼むぞ」


隊長は、森の神の怒りを1人で背負おうとしている。

止めたい。

隊長は警備隊に必要な人だ。

隊長が死ぬぐらいなら俺が代わりたい!

でも、隊長はそれを絶対に許さないだろう。

あの目を見たら分かる。

どうすれば……。


「行って来る」


隊長が詰め所から出ていくので、慌てて後を追う。

誰もがどうしていいか分からず、困惑した表情で隊長の後をついていく。

森から、がさがさという音が聞こえる。

きっとアルメアレニエだろう。

いつもは音など出さないのにな。


「来る」


隊長が俺達に止まるように指示を出す。

そして俺たちから離れた場所で、隊長は立ち止まった。


「あれ? 何か集まってないか?」


えっ?

誰の声だ?

森の奥から聞こえたような気がする。


ガサガサガサガサッ。


「止まってくれ」


森から出てきたアルメアレニエに、全員が息を飲む。

今まで見てきたアルメアレニエより、2倍ほど大きな体。

だがそれよりも、アルメアレニエに乗ってきた者に視線が集中する。


「えっ? いや、大丈夫だろう。敵意は無いみたいだし」


その姿は、知っている。

なぜならエントール国で目撃された姿が、絵姿となりオルサガス国で出回ったからだ。


「あ~エルフだよな?……妹が言っていたような感じじゃないな……」


妹?

森の神には妹がいるのか?

預かった子供達がいるという情報はあったが……。


「失礼ですが、少し宜しいでしょうか?」


隊長の強張った声に、息を吐き出す。

どうやら、無意識に息を止めていたらしい。

何度か深呼吸して、息を整える。


「ん? あぁ、いいけど。その前に結界を直すな」


結界を直す?

あれ?

森の神が、この国に怒りを向けたために結界が破れたわけではないのか?


「結界!」


言葉と同時に、森の神から魔力が溢れるのが分かった。

そして森の神を中心に、ふわりと広がっていく。


「えっ」


魔力に触れた瞬間、その温かさに声が漏れてしまう。

今まで感じた事の無い、包み込むような優しい魔力に無意識に笑みが浮かぶ。


「結界が!」


仲間の声に慌てて頭上を見上げると、国を覆う結界を目にした。

その結界を見た瞬間、唖然とした。

これまで張られていた結界と、あまりに違いすぎる。


「ははっ。凄い……」


この一瞬で張られたとは思えないほどの強い結界に、不安を覚え森の神へと視線を向ける。

森の神は、一切疲れた様子を見せず、自分が張った結界を確認しているようだった。

いや、もしかしたら見せないのではなく、本当に疲れていないのかもしれない。


「失礼ですが、結界が破られたのは……」


隊長の困惑した表情に、森の神が首を傾げる。


「結界が破れたのは世界を完成させた反動なんだ。こっちの責任だから修復したんだけど。もしかして、必要なかった?」


森の神の言葉に、隊長が慌てて首を横に振っている。

どうやら怒りを買ったわけではなかったようだ。

良かった。


それにしても、世界を完成させたとはどういう事だろう?

世界は、未完成だったのか?


「結界の事、悪かったな」


申し訳なさそうな表情をする森の神に、隊長だけでなく俺たちも首を横に振る。


「えっ? 子供たちが? それなら急いで戻らないとな」


傍にいるアルメアレニエを見ながら、話す森の神。

気になっていたのだが、もしかして会話をしているのだろうか?


「悪い、もう戻らないと子供達って……これは知らないか」


いえ、知っている。

でも「知っている事」に気付いたら、嫌悪されるかもしれないな。

自分の事を無断で調べられているんだから。

チラリと隊長を見ると、顔色が悪くなっている。


「じゃっ」


隊長が頭を下げるので、同じように頭を下げる。

森の神が移動を始めると、5体のアルメアレニエも動きだす。

暫くすると、アルメアレニエの姿は完全に森の奥へ消えた。


「森の神もアルメアレニエも、凄い迫力だったな」


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― 新着の感想 ―
[一言] 絵になれば王蟲に乗ったナウシカがやってきたような感じなのかな。
[一言] 悪意を排除する結界のせいで逃げた兵士等はどこの国にも入れないのかな?
感想一覧
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