33.岩人形…ビビった。ビビった。
朝から想像を超える現象は遠慮したい。
目が覚めると木の板が勝手に移動をしていた。
叫ばなかった俺を誰か褒めて。
ビビった。
よく見ると1枚ではなく何枚も移動している。
積んである板の山が昨日より低い。
呪い…幽霊もいるのか?
え、まじで?
幽霊はダメ!
もう一度眠りたい、無理だけど。
仕方なくそっと起き上がってみる。
……
「…岩人形」
幽霊説は違った。
よかった。
が、目の前の不思議な光景。
板が勝手に移動しているのではなく岩を使用して作った人形が運んでいた。
そう、俺が昨日の夜に作った岩の人形。
岩を自在に操っている時になんとなく人型にしてしまったのだ。
サイズは約60㎝ぐらい。
1つがうまく作れたので調子に乗って10体。
面白半分に妖怪の一つ目小僧のように目を1つ。
その部分だけ淡い光を発光。
動いていないときは気にならなかったが、顔全体にある大きな光る目。
シュールだ。
で、現在その内の9体が板を持ち上げて移動して床作りをしてくれている。
お~隙間もなく綺麗だ、しかも速い。
コアたちは起きていたようで岩人形の様子をじっと見つめている。
俺が起きたことに気が付くと全員の視線が。
そっと視線をそらす、俺は知らん!
その間も黙々と部屋の床は岩人形によって作られていく。
え、本当になんで動いてる?
動いていない1体を手に取る。
確か、昨日1体を作って…
想像通りのものができたので調子に乗って次を作ったんだよな。
その時、あ~確か昔の絵本を思い出したんだ。
靴屋の絵本で夜中に妖精がこっそり靴作りをお手伝い…。
そんなうろ覚えの絵本、その中の妖精がほしいって思ったんだよ。
床作りが思ったより時間がかかりそうだったから。
ほかにも確かお手伝いロボットもいいな~。
など、想像しながら9体。
あ~、寝るときに寝てる間に床が完成していたら。
そんな言葉を言ってから寝た…ような?
まさか、あれで動き出したのか?…まじ?
1体が動かないのは作ることに必死で動く想像をしなかったからか。
というか、本当にあのイメージで動く人形ができたのか?
…まぁ、他に思い当たることがないからな。
「…仕事ストップ、集合」
まさか、集まるとは。
9体がしっかり並んで整列。
シュールなくせに…愛嬌が。
手に持っている動いていない人形。
お手伝いロボットを想像して「動け」
床に置いてみると
立ち上がって9体の横に並ぶ。
…動いた…動くのか。
「お仕事、よろしく」
……
10体のうち何体が妖精で何体がお手伝いロボットなんだ?




