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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
浄化は基本!
30/672

30.フェンリル王 コア

-狼に間違えられているコア視点-


木を見つめている主を見る。

不快な魔眼魔法から解放され、名をもらった。


コア


フェンリルの王として初めて主を持つ。

後悔はない。

主のそばは魔力が満ちていて気持ちがよい。


……


200年ほど前に襲った森全体を覆う不快な魔眼魔法。

人が成せる魔法ではない。

だが、何らかの方法で森を襲った。

思い出しても忌々しい。


浄化の魔法は一時的にしか効果がなく、結界は常時魔力を使うため早々に枯渇する。

魔力が強く早々に飲み込まれることはなかったが、長きに渡り侵食され続けた。

弱い仲間は意思を飲み込まれ仲間を襲い死んでいった。

強い仲間は飲み込まれるのを嫌い自らその命を終わらせた。


200年、多くの仲間の最期を見続けた。

意識が飲み込まれることが多くなったそんなとき、森の中に人の気配を感じた。

怒り。


人の気配に嫌悪感と怒りが渦巻く。

意識を飲み込まれながらも人がいる場所へと急いだ。

その時の思いはただ殺すということのみ。


人の後ろ姿が見える。

警戒もせずただそこにいた。

一気に襲いかかろうとするが、体が一瞬ふらつく。


目が合った。


なんとしても殺してやろうと体に力を入れるが入らない。

悔しい、ここまで弱っていたのか。

目の前に敵がいるのに討つことすらできず終わるのか。

そんな絶望が襲うが最後まで睨みつけようと威嚇する。


次の瞬間、全身の力が抜ける。

倒れた己が恨めしい。

意識が消えるのを全身で拒否する。


意識を飲み込まれるぐらいならと考えた瞬間。

体がふっと軽くなる、そしてずっと己に纏わりついていた不快感が消える。

通常の浄化魔法では浄化はたった一瞬で効果がなくなる。


浄化切れの衝撃に備える…?

衝撃が来ないことに驚いて全身を確かめる。


何をした?

人間を見つめる…底知れない魔力。

それは人間が抱え込めるような魔力量ではない。

フェンリルのトップに立つ我にもその量が計れないなど。


目が合っていると人間から魔力が流れ込んでくる。

それが傷ついた己の体に染みわたり中から癒されていく。


そっと近づき服従。


フェンリルの王が人間を主にするのは初めてのこと。

ただこの人間は主に相応しい。


気が付くといつの間にか全身が洗われたように綺麗に。

主の魔力は見たことがないほど精密で底が知れない。


森に現れた王の上に立つもの。


……


ところで主、木がおかしなことになっているが。


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― 新着の感想 ―
[一言] コアさんフェンリルだったのですね♪ 徐々に世界観も見えてくる流れ良いですね♪
[一言] フェンリルってよく神狼とか魔狼とか呼ばれるけど基本的に狼やんな(笑)
2020/02/13 15:28 退会済み
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