表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
綺麗になったら修復です!
293/672

52.長く生きるという事は…

「そろそろ、それを何処かに置かないか?」


アイオン神が指すのは、俺が持っている闇の魔力が閉じ込められている魔石。

その表情は、本当に嫌そうだ。

嫌がらせをするつもりは無いので、持っていた魔石を元の場所に戻す。

それだけでホッとした表情をする、アイオン神。

棚に置いただけなんだが……。


「そんなにやばいものなのか?」


確かに力は強かった。

暴走もちょっとしたが、今は魔石にしっかり閉じ込められている。

だから、アイオン神がそこまで警戒する理由がわからない。


「この世界にあっては駄目なものだ。普通は形をとどめていられない。いや、作れるはずがないんだ」


「だから、再現だって」


「そう言えば、さっきから再現だと言っているが何から再現したんだ?」


「森に在った、魔界の雫の中にあった力を思い出したんだ」


「それって再現ではなく、作ったが正解ではないか?」


ん?


「いや、思い出してそれを真似たんだから、再現だろう」


「そうか。再現か」


えっ、違う?

なぜか2人で首を傾げてしまう。

と言うか、そこは重要なんだろうか?


「ちょっと引っかかったんだが……。今更、どう作ったかなど話しても意味は無いか」


うん。

そう思う。


「確認なんだが、ケルベロスにこのまま与えても問題ないよな?」


これの許可だけちゃんと取っておかないとな。

闇の魔力だとアイオン神が認めたんだし、どんどん与えていきたい。

俺の言葉に、ちょっと考えるアイオン神。

駄目なのか?


「問題ないだろう。既に与えているんだし。神々には報告して、早急に魔界に連絡とるように圧力をかけるよ。時の神にも連絡を取って、協力を仰ぐ」


何だかいい方向へ動きそうだな。


「はぁ、私が忘れたせいなんだよな。しっかり記憶を整理しておかないと……毎日、毎日面倒くさいんだよな。この記憶の整理って。……ん?」


アイオン神が、パッと俺を見る。


「どうしたんだ?」


俺の質問に答える事なく、じっと凝視してくるアイオン神。

その真剣な表情にちょっと怖くなる。

いったい何なんだ!


「記憶の中のもので再現したと言ったな」


なんだ?

またその話にもどるのか?

それに、再現がどうしたんだ?


「あぁ、そうだ。森で回収した魔界の雫の1つから出てきた、毒々しい黒い光を元にして再現した。それがどうしたんだ?」


俺の言葉に、表情が引きつったアイオン神。


「ありえないんだよ! それが! だから、気になったんだ」


ありえない?

再現が出来るはずないという事なのか?


「それが出来てしまったという事は、こちら側にいるという事になる」


出来てしまった?

つまり……どういう事?

さっぱり何を言っているのか、分からない!

それに、こちら側って……どこ?


「すまない。ちゃんと理解出来ていなかった。翔は人ではないと私が言ったのに」


人ではない事と、今の話がどうつながるんだ?

人でなかったから再現できたのか?


「記憶に何か異常は無いか?」


記憶に異常?

そう言えば、思い出せない事があったな。

なんだったかな?

……えっ?

思い出せなかった事が何かも思い出せない?

それはやばいだろう。

あっ、これがアイオン神の訊きたい事か?

と言うか、再現の話はどうしたんだ?

後で、繋がるのか?


「えっと、忘れっぽくなっているみたいだ」


アイオン神が、慌てていることと何か関係があるのか?


「やっぱり」


やっぱり?


「えっと、悪い。分かるように簡単に説明してくれ」


もう、何が何だがさっぱりだ。


「そうだな。簡単に言えば、神々のルールに翔が組み込まれたんだ」


……なるほど。

簡単に説明され過ぎたな。


「その神々のルールと言うのが、どのようなものなのか教えてくれ」


まずはそれを知らない事には、分からない。


「神々のルールと言うのは、長い時の中で自然と出来上がってきたものだ。いつの間にか、それが神となった瞬間から適用されるようになった。そのルールから逃れる事は出来ないと言われている」


長い時の中で出来たルール?

神が活動しやすいように、何かをしたって事か?


「そのルールの中で一番重要なのが、記憶の整理なんだ」


そう言えば、さっき記憶の整理は面倒くさいとか言っていたな。


「記憶の整理とはそのままの意味だ。1日が終るたびに、今日の出来事を必要なものと不必要なものとで分ける作業だ」


面倒くさそうな作業だな。

と言うか、1日の記憶をいるものと、いらないもので分けるって……。


「それは必要な事なのか?」


「あぁ、我々神々は元は永遠を生きていた。今は寿命ができたが、それでも他の者たちより遥に長い時を生きる。そのため、生きている間に溜まる記憶の量は膨大だ。それを放置しておくと、必要な時に必要な記憶が思い出せないという事が起きる。また、神とはいえ覚える量には限界がある。限界を超えると必要な事も、必要ないと判断して忘れてしまうらしい。それを防ぐために、記憶の整理が必要なのだ。膨大な量の記憶を少しでも減らすために、必要が無いと判断された記憶を消す。そして必要な記憶にはキーワードをつけて、同じキーワードか同じ年代の場所に置く」


置く?

記憶は、触れられるものではないのに置くという表現で合っているのか?


「そして問題が起きた場合は、キーワードで探す。こうしておけば、すぐに必要な記憶が引き出せるだろう?」


「そうなんだ……」


えっと分かった事は、長く生きると記憶が膨大になっていずれ限界がくるという事だな。

で、そうならないために神々のルールが適用されて記憶の整理が必要だと。

それで、整理したものを何処かに置くと。

ここがわからない。


「あのさ、記憶を置くと言ったがどこに置くんだ?」


「記憶の棚だ。……そうか、その説明が必要なのか……」


アイオン神が、戸惑った様子を見せる。


「そうだよな。我々とは別の存在なんだから」


ん?


「通常は、見習いの時に勉強することなんだ。長い時間を生きられるようになった時には、既に知っている事なんだ。だから知っているものとして話してしまった」


俺がこうなったのは完全に予想外だもんな。

俺が悪いわけではないと思うが、混乱させてしまって申し訳ない。


「とりあえず、置く場所だが、記憶の部屋と言うものを作って、そこに年代ごとに棚を作る。そして、そこに必要な記憶だけを置いていくんだ」


記憶の部屋を作る?

棚も作ってそこに置いていく。


「その記憶の部屋と言うのは、頭の中に作るのか?」


「いや、それでは意味がない。どんなに整理をしても必要の無い記憶を消したとしても、膨大な記憶が残っている状態だ。いずれ限界がくる」


それはそうだな。

ん?

という事は、どこかに本当に記憶の部屋を作るのか?

え?

そこに記憶を置く?


「だから記憶の部屋と言うのは、自分だけが入れる異空間の中に作るんだ」


異空間って何?

俺は、そういう話に疎いんだって。

えっと、異空間……異質な空間?

分からん。

異世界と何となく似ているな。

異世界は元の世界とは異なる世界。

となると、異空間とは今いる空間とは異なる空間?

自分だけのと言ったな。

つまり俺だけが入れる異なる空間に、記憶の部屋を作るのか。

言葉にはしてみたが、全く理解出来ない。


「悪い、もう少し分かりやすく」


「難しく考える必要はない。新しい力を使って魔法で、自分だけが入れる世界を作ればいいんだ」


それなら分かる。

イメージさえすれば作れるな。


「すぐに作ろう」


アイオン神の言葉に、驚いて彼女を見る。


「既に、記憶が消された可能性がある。神々のルールが勝手をしないようにコントロールするためにも、すぐに取り掛かった方がいい」


そうだな。

大切な記憶まで勝手に消されたら困る。


「どれくらいの世界を作ればいいんだ?」


「最初は、そうだな……何か真似る方が作りやすいと思うが」


記憶の部屋は、俺のこれからの記憶を入れていくんだよな。

それを考えると、大きい建物をイメージした方がいいのか?


「記憶の部屋は後で追加できるのか?」


「自分が作った異空間の中では、出来ない事は一切ない」


出来ない事が無い。

それはすごいな。

という事は、後で記憶の部屋は足せるんだな。

なら、無理して大きな建物をイメージしないほうがいいな。

馴染みがあってイメージしやすい、そしてそれなりの大きさ……学校をイメージするのはどうだろう。


「なぁ、学校を真似るのはどう思う?」


「学校? あぁ、いいと思う」


良しっ。

とりあえず、やってみるか。

あれっ?

再現の話はどこにいったんだ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] もう主人公の記憶力がけっこう重度な認知症レベルになっている気がするんだが…
[気になる点] 必要ないって思われたことが、後々必要になることもあると思うんだけど… ところで、三バカはどうなったの?
[一言] 自分で考えて行動するなら少なからず1から10まで全て聞かないとわからんというアホ極まれらりにはならないけどね。
2021/07/29 17:09 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ