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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
綺麗になったら修復です!
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50.食事はゆっくり食べたくて

朝の日課になっているケルベロスの卵の様子を見に行く。

今日も魔石からゆっくり力を吸収しているようだ。

近くの棚に目を向けると、魔石が1つ無くなっている。


「約2日で1個か」


卵の様子を見る。

変化は分からない。

中のケルベロスたちは、昨日より……いや、変化は無いな。

上手くいっているのかどうなのか。

失敗という言葉が頭に浮かぶが、急いで振り払う。

大丈夫だと信じよう。


「そうだ。使い切った魔石は何処だ?」


闇の魔力を入れていた最初の魔石は何処だろうと、もう一度棚を見るがそこには無い。

ベビーベッドの周りには、魔石を置くような場所は棚以外にないし。

何処かへ持っていったのか?


「主、おはよう。どうかしたのか?」


飛びトカゲが、俺の様子に首を傾げる。


「おはよう。闇の魔力を入れていた魔石を知らないか? これは2個目だろう?」


ケルベロスの卵の傍にある魔石を指す。

それに飛びトカゲが頷く。


「最初の魔石は、白い光に包まれたと思ったら弾けて消えた。おそらく、闇の魔力が無くなったためだろう」


弾けて消えた?


「怪我は?」


飛びトカゲの言い方からすると、その様子を見ていたのだろう。

傍にいたのなら、破片で怪我などしなかっただろうか?

ざっと、飛びトカゲの全身に視線を走らせる。

鱗には傷1つ無いが。


「主の結界で守られているのに、あれぐらいの力で怪我をするはずがないだろう」


少し呆れた感じで言われた気がするが、怪我をしなかったのならそれでいい。


「そうか。そうだ、ロープにアイオン神に伝言を飛ばしてもらったから、近々来ると思う」


俺の言葉に、ふっと鼻を鳴らす飛びトカゲ。

その雰囲気に背中がぞくりとする。


「話があるからほどほどにな」


「なに、大丈夫だ。上位神と言うのは、とても強いからな」


そうだろうな。

飛びトカゲやふわふわに吹っ飛ばされても、普通に生きてた。

そう言えば、怪我をしたところを見た事もないな。

……いや、一度だけ頬が赤くなっていたな。

あれは……畑に被害を出した事を怒った農業隊に、追い掛け回されて帰ってきた時か。

あの時は、椅子に座ってぶつぶつ言っていて怖かった。

しかも、何も言わずにいきなり帰ったし。

様子がおかしくて心配したが、次に来た時は元に戻っていたからすっかり忘れていたな。


「おはよう」


ウサの声に視線を向けると、クウヒとウサがリビングに入ってくるところだった。


「おはよう。光はまだかな?」


「すぐ来るよ」


ウサとクウヒと光は、朝の特訓に時々参加している。

毎日参加をしたいようだが、まだ体が成長途中なので一つ目たちに止められていた。

理由は……なんだったかな?

忘れたな。

ただ、3人の体のためだと言っていたので、管理は一つ目たちにお任せした。

しばらく座って待っていると、光がリビングに来た。


「おはよう、光」


声を掛けると、嬉しそうに笑顔を見せてくれる。


「特訓は上手くいったのか?」


俺の言葉に、嬉しそうに何度も頷く。

リビングに入ってきた時から、いつもよりテンションが高かったので、当たりをつけたが正解だったようだ。


「よかったな」


日に日に強くなっていく光。

それと一緒に表情が、どんどん明るくなっていく。

今はまだ話すことは出来ないが、話せる日はそう遠くないかもしれない。


食事を始めると、庭の方から変な叫び声が聞こえた。

パンを咀嚼(そしゃく)しながら、視線を向ける。

アイオン神の姿が見えた。

もう来てくれたらしい。


「何をしてるんだろうね?」


ウサが不思議そうにアイオン神を見ている。

それに頷くクウヒ。


「太陽が足に抱き着いているな。桜もいるみたいだ」


太陽と桜?

クウヒの言葉に、アイオン神の足を見ようとするがウッドデッキにある机で隠れてしまっている。

椅子から立ち上がって、アイオン神を見る。

確かに、太陽と桜がそれぞれの足に抱き着いている。

あれは、歩きにくいだろう。


「遊んでいるのかな?」


ウサの言葉に、光がちょっと考える表情になる。

そして、テーブルの上に置いてある紙に何かを書き込む。

見ると『太陽たちはヒーローごっこをしていたよ』と書かれてある。


「ヒーローごっこか。と言う事は、アイオン神は敵役かな?」


なるほど。

足にしがみ付いているのは、攻撃か。

しがみ付く攻撃?

……敵の動きを止めるのが目的かな?

アイオン神を見る。

動きにくそうだが、止めるまでには効果が出てないな。

他の目的でもあるのかな?


「そうだ。アイオン神は、いつここに来たんだ?」


まだ朝の時間だ。

子供達は、起きるのが早く遊びだす時間が早い。

なので、遊んでいても疑問は無いが。

アイオン神はいったいいつ来たんだろう?

伝言を見てすぐに来てくれたのだろうか?


「さっきまでは、いなかったよ」


「いなかった?」


ウサの言葉に、首を傾げる。

庭で特訓をしていたウサたちは、少し前に戻ってきた。

それからアイオン神が来て、敵役に任命されたのか?

光が紙にもう一度何かを書き込む。


『強制参加だとおもう』


その紙を見たウサとクウヒも頷く。

そうか、強制参加か。


「今のうちにゆっくり食べようか」


ご飯時に来られると、バタバタするんだよな。

呼んでおいて悪いが、来る時間を少し考えて欲しいと思っていた。

なので、ちょこっとだけ太陽たちにアイオン神の相手をお願いしてしまおう。


ゆっくり食事を楽しんでからウッドデッキに出る。

庭に視線を向けると……子供たちから逃げ回っているアイオン神がいた。


「翔! 止めてくれ!」


アイオン神の言葉に、片手をあげる。


「もういいぞ~」


あっ、間違った。


「疲れた」


目の前の椅子に座ったアイオン神を見ると、目の下に少し隈が見える。

ちょっと悪いことしたなと思ったので、一つ目に疲れをとるお茶をお願いする。


「子供たちの相手をありがとう」


お礼は、ちゃんと言っておこう。


「周りに子供なんていないから知らなかったが、子供はパワフルなんだな。次から次に襲ってくるし、上から奇襲をかけてくるし」


上から?

庭の上空を見ると、天使のモモとスミレが飛び回っている。

なるほど、奇襲組か。

……ヒーローごっこだよな?

いつの間にか、悪役ごっこにでも変わったのかな?


一つ目が持ってきたお茶を飲んで落ち着いたアイオン神。

そろそろ、話をしても大丈夫だろう。


「訊きたい事がある。リビングにいるケルベロスには気付いているよな?」


この答え次第では、アイオン神への対応も考えないとな。


「ん? 知っているが? 悪い。対応についてはまだ話がついていない」


あれ?

何かを不思議に感じたような口調だな。

アイオン神をじっと見ると、彼女も俺を見る。


「ケルベロスの存在を知っていたのに、無視をした理由は?」


俺の言葉に、驚いた表情を見せるアイオン神。

次の瞬間、何かに気付いたような表情になった。


「えっと……話さなかったっけ? 対応が決まるまで、待っててほしいと……あれ?」


「いいや。まったく。ケルベロスの話は一切してない」


忘れたな。

しかも完全に。

アイオン神をじっと見つめると、「うっ」と呻き視線を逸らす。

それにしても、待っててほしいか。

闇の力を与えたけど、問題ないかな?

でも、問題になったとしても伝えてなかったアイオン神が悪いんだし。

俺の責任じゃない! はず。


「闇の魔力を再現して与えたから」


どうせバレるだろうから、最初に言っておこう。


「はっ? 闇の魔力? はっ?」


意味が分からないという表情をするアイオン神。

あれ?

魔界で使われているのは、闇の魔力なんだよな?

もしかして、違うのか?


「いやいやいや、むりむりむり」


焦った様子のアイオン神。

その態度に首を傾げる。

無理って何がだ?


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公、アイオン神、ロープもかな? 誰の記憶がおかしくなってるのか、軽くホラーですね まあ闇の魔力が潜んでたし主人公だろうなぁと思っては居ますが。
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