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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
綺麗になったら修復です!
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38.闇の魔力

よし、魔神の事は忘れよう。

今最優先に考えるのは、闇の魔力だ。

卵を見る。

……試すぐらいはしてもいいんじゃないか?


「主、今度は何をするつもりだ。また何か、大きな事をしようとしていないか?」


飛びトカゲを見ると、じっと俺を見つめてくる。

そんなに信用を無くすことを繰り返しただろうか?

記憶にないんだが……。


「闇の魔力を何とか再現してみようと思って、卵のままというのも可哀想だから」


俺の力で表情を変えたなら、影響を受けている事になる。

それがいい事なのか正直分からない。

もし、魔界に帰りたいと言った時に、俺の力を受け入れたせいで帰れないなんて事になったら……。

これからの事を考えても、闇の魔力は必要な気がする。


「彼らだって卵から孵って、思う存分走り回りたいはずだ」


体を見る限り、走りが速そうだ。

それがこんな小さなところに押し込まれている。

どう見ても可哀想だ。

飛びトカゲを見ると、卵をじっと睨むように見ている。

中は見えていないと言っていたよな?

何か感じる事でもあるんだろうか?


「どうしたんだ?」


「なぜか気に入らない」


「えっ?」


飛びトカゲの言葉に首を傾げながらケルベロスの卵を見る。

なんで卵の中から牙をむいているんだ?

この2匹は、俺にビビっていた2匹だよな。

何が起こっているんだ?

もう1匹を見ると呆れた表情をしているように見える。

そう言えば、最近は表情が豊かになったなぁ。


「主は闇の魔力を再現すると言ったが、本当に出来るのか? 知識を確認してみたが試した者すらいない様だ」


試した者はいないか。

それは出来ないからなのかな?

どうも、神たちは見たくないモノから目を背ける傾向があるような気がする。

そう考えると、試すことで闇の魔力を認める事になり最終的に魔神に……考えるのを止めよう。

ここは触れちゃ駄目なところだ。


「あれ?」


「どうした?」


「アイオン神は、この部屋に入った事があったよな?」


何度もこの部屋でお茶をしていたはず。


「あぁ。何度もあるぞ」


「ケルベロスの卵を目撃しているはずなのに、何も言わないな」


「あっ……そうだな」


これは、目を背けているが正解か?

アイオン神まで?

ふっ、次に来た時に問い詰めてやろう。


それより再現すると言ったが、そんな簡単に出来るだろうか?

どうすればいいかな?

この世界に、既にあの毒々しい力はない。

活用できるのは、俺の記憶にあるモノだけだ。

それであの力を再現できるか?


「主は、新たな力を手に入れて問題ないのか?」


「んっ?」


闇の魔力を再現したら、新しい力を手に入れた事になるのか?

確かに、俺が使える力の種類が増える事になるが……。

待てよ。

今のこの世界で新しい力を手に入れるのは問題になるのでは?

龍たちの数が多いのも問題だが、俺が新しい力を手に入れた事で皆が強くなり進化した事も問題だった。

新しい力が追加されたら、また強くなって進化してしまうかもしれない。

もしくは、闇の魔力が毒になる可能性だってあるのではないか?


「どっちもアウトだよな」


ケルベロスの卵を見る。

ずっと卵の中で窮屈そうだ。

しかも、これからの事を考えると、ケルベロスに合った力が必要だと感じる。

こうなったら、力任せに割るか?

……ダメダメ。

何が起こるか分からないのに、俺は何を考えているんだ……。


「主?」


不安そうに飛びトカゲが俺を見る。

卵の中からも、心配そうなちょっと目じりを下げた3匹が俺を見ている。


「闇の魔力を再現できたら、この世界に影響があるかもしれないと思って」


「確かに、魔界の力となるからな。周辺が吹っ飛ぶかもしれないな」


「ん?」


今、なんて?

周辺が吹っ飛ぶ?

俺は、新しい力を手に入れたら皆がまた強化されるのではと思ったんだが。

魔界の力ってそんなに恐ろしい力なのか?


「暴走すれば、被害は出るだろう」


暴走……。


「この世界では、魔界の力が暴走することもあるのか?」


「魔界に馴染む力だからな。この世界は魔界とは全くことなる環境だ。可能性はある」


そこまで考えていなかったな。

飛びトカゲがいてくれてよかった。

俺だけだったら、チャレンジとか言って既に再現して何か問題を起こしてそうだ。

まぁ、あの毒々しい力を再現出来ればの話だが。


「1つ1つ解決していこう」


俺の言葉に不思議そうな飛びトカゲ。


「俺は卵の中からケルベロスたちを出したい。心配だからな」


そう、ずっと卵の中というのはやはり問題だろう。

ある日、卵の中で亡くなっていたらショックがデカい。

もう1つ、卵の中にいて問題がないとしても、この世界の力の影響を受けている。

あっ、影響を受けているから俺の力がケルベロスの毒になっていないのか。

俺が思う以上に影響を受けているかもしれない。


「早急に闇の魔力が必要な気がしてきた」


卵から孵るだけじゃない。

魔界に帰る事を考えて、魔界にある力と真逆の力を受け取り続けるのは、問題になると思う。

絶対、そうなるか分からないが、何か嫌な予感がする。

闇の魔力の再現は、なるべく早くだな。


「次は……闇の魔力を再現する時に起こる、暴走をいかに抑えるか。暴走して周辺が吹っ飛んだら大変だからな。でもこの問題は、結界を作れば防げるはずだ」


結界はかなりの数を作ってきた。

だから、毒々しい力を閉じ込める壁をしっかりイメージすれば、何とかなると思うんだよな。

結界には光の魔力が使えそうだし。


「あとは、この世界への影響だよな」


「影響? 暴走以外か?」


「俺が闇の魔力を手に入れたら、それがこの世界に流れ込むかもしれない」


神力に似た新しい力は、俺の魔力に混ざって世界に流れた。

というか、勝手に漏れていたから対処のしようが無かったんだけど。

もし、もっと前に新しい力の影響を知っていれば、なんとしても止めたはずだ。

この世界を滅ぼしたくないからな。

今回、闇の魔力を再現出来たら、それも光の魔力に混ざって世界に流れてしまうかもしれない。


「闇の魔力は、魔界の力だ。この世界の者たちには毒になるだろう」


「そっちか」


俺の力が、ケルベロスにとって毒となる可能性があったと聞いたから、反対もあり得ると思ったが。

本当に毒になってしまうのか。

ん~、再現はリスクがデカいか?

でも卵の中で目を覚ましている時間が、最初に比べてかなり長くなっている。

それを考えると、もう生まれてもいいはずなんだ。

でも、生まれる事が出来ない。

しかも日々、光の魔力を受け取ってしまっている。

毒にはなっていないらしいが、影響はある。

やっぱり、1日でも早く彼らにあった力が必要だろう。


「どうすればいいんだ?」


俺の代わりに、誰か闇の魔力を再現してくれないかな?

……俺の代わり?

そもそも、闇の魔力の再現をどうして俺の中でやろうとしているんだ?

魔石の中で行えば、俺が新しい力を持つことは無い……はず。

……神力に似た新しい力を手に入れた時って、どうしたっけ?

俺の中で力を変化させたのか?

ははっ、全く覚えてない!

まて、まだ諦めるな。

いつだっけ、新しい力を手に入れたのって……あれ?

俺がやった事なんだから、ちょっとぐらい覚えているだろ?

…………なぜ、全く思い出せないんだ?

何だか気持ち悪いな。


「魔石の中で、闇の魔力を再現することは出来るかな?」


毒々しい力も石に入っていたよな。

あれって、魔石だったんだろうか?

それとも別の石?


「魔石の中で? 出来るような気もするが、判断がつかないな。悪い」


あぁ、落ち込んでしまった。

知識に無いんだから、分かるわけないのに!


「気にしなくていいぞ。でも、出来るような気はするんだよな」


「あぁ。魔力の……この場合、光の魔力だが。魔石の中で変化させることができるからな」


「変化?」


「火の魔力を、水の魔力に変えたりできるんだ」


火の魔力?

水の魔力?

なにそれ?

……今は闇の魔力で手一杯だから、別の時に教えてもらおう。

うん、そうしよう。


でも、魔石の中で魔力は変える事が出来るのか。

なら、きっと闇の魔力にも変えれるはずだ!


「よしっ、魔石を使って闇の魔力を再現しよう!」


勢いも大事だよね。

考えるのが、面倒くさくなったわけではない!


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― 新着の感想 ―
[一言] 記憶対策として、主人公は筆記用具を用意するべきな気がする。アイオーン神にもらうとか、現地住民に頼むとか、魔法で自作するとか。それでメモを取らんとやるべきことや過去の出来事すらあやふやに…。
[気になる点] 魔界の生き物がこの世界で産まれて生きていけるのか!? 生きていけるように、1つ目が、この世界の魔力と馴染ませてるんじゃないの?
[気になる点] 主人公の思考や行動がブレブレ過ぎて また精神操作ネタなの? って毎回思ってしまう
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