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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
綺麗になったら修復です!
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24.最悪な事実

家についてしまった。

いや、家で落ち着いて話を聞くと言ったのは俺だから、当然なんだが。

何だか怖いな……いや、大丈夫だ。

皆がいるから何とかなる!


『主、2人で話したい』


2人で?

えっ、皆は?


『……分かった』


ふ~……そう言えば、なんでこんなに緊張しているんだ?

ロープが大変だと言ったから?

地震が怖いものだと知っているから?

……それとも、感覚的に何か感じているのか?


「分からない」


ただ漠然とロープから結果を聞くのが怖いと思ってしまう。


『主?』


「なんでもないよ」


そう言えば、ロープは念話でしか話ができないのかな?

皆に聞こえるように話せると便利なんだが。


「ロープ、部屋に着いたよ」


『うん、見てるから知ってる』


見てるって……まぁ、いいか。


「1つ聞きたいんだけどいいか?」


『何? どうしたの?』


「ロープの声を、皆に届けるようにする事は出来ないのか? 念話だと俺だけだろう?」


「出来るよ。こういう事だよね。ちなみに、念話でも同時に届けることができるよ」


部屋に響く俺以外の声。

出来たんだ。

それに念話でも?

何だ、だったらもっと早くお願いすればよかった。


「これからは皆にも声が届くように話してほしい。あぁただし、今日みたいに近くに関係ない者がいたら、念話でいいから」


いきなり声が聞こえたら怖いだろうからな。

俺だって、ビビるし。

まぁ、すぐにロープだと気付けるからいいけど。


「分かった」


「うん、よろしく。じゃあ、話してくれるか? 分かった事を」


何を訊いても慌てないように……。


「分かった。主、落ち着いてね」


ロープがそう言うという事は、俺にとって衝撃の内容なんだろうな。

うわ~、聞きたくない。

と言えればいいが、そうも言ってられないよな。


「大丈夫だ。教えてくれ」


「この世界は、壊れかけている事が分かったんだ」


壊れ……かけている?

…………うん、覚悟してたけど……ちょっと……。

壊れかけているのか……落ち着け、原因がわかれば対処できるはずだ。

だから、まだ大丈夫。

混乱するなよ。


「えっと地震は壊れかけていたから起こったんだな?」


違う、これが訊きたいわけじゃない!


「そう」


落ち着こう。

壊れかけているが、まだ壊れたわけではない。

だから大丈夫だ。

よしっ、とりあえず……壊れてしまう前に、この星にいる者たちの移動を……。

まて、それを考えるのはまだ早い。

壊れている原因を改善したらいいんだから。

原因……そうだ原因を聞かないと。


「どうして壊れかけているんだ?」


「……強い者が集まり過ぎたんだ。この星に」


ん?

強い者が集まり過ぎた?

……まさか。


「普通、星が生まれたら神獣が多くても2匹までなんだ。別にルールがあるわけではない。ただ、星の許容量がそうなんだ。……ここには、神獣が2匹以上いる。それに神獣以外の者たちも強い」


なるほど。

つまり強い者が集まり過ぎて、パンクしてしまったという事か。

…………マジか。

えっ、本当に?

こんなのどうやって対処したらいいんだ?


「すぐに壊れそうなのか?」


「それは大丈夫。壊れていた箇所を魔力で補強したから」


魔力が強い者が集まったため壊れたのに、魔力で補強?

よく分からない世界だな。


「でも時間稼ぎだと思った方がいいかな」


「そうか」


根本的な事を解決しないと駄目という事か。

根本的?

強い者が多いなら減らすことが解決につながる……減らす?

誰を?

……仲間を?

………………駄目だ、それは絶対に!

だが、最悪な事はこの世界が壊れてしまった時だ。

その前に、皆を移動させないと。


「なぁ、この星以外に龍たちを移動させる事は出来るのか?」


「それは無理だと思う」


無理?


「なぜ?」


「生れ落ちる世界に合わせて、調整されて生まれるんだ。だから他の世界では生きられない。もし移動したら、かなり体に負担が掛かると思う。それに数年で死ぬだろう」


調整されてって……嫌な感じだな。

それにしても移動は無理なのか。

死ぬと分かっていて移動はさせられない。

でも、この世界が壊れても死ぬ。

どうしたらいい?

壊れる原因がまさか、強い者が集まり過ぎたからだなんて……くそっ。


相談は……無理だ。

飛びトカゲたちに言えばどうなる?

彼らの事だから、きっとこの世界から出ていってしまうかもしれない。

どうしたらいい?


「ロープ、アイオン神と連絡を取れる方法は無いか?」


アイオン神には確認したい事がある。


「伝言を飛ばす事は出来る」


「なら『すぐにここに来い』と飛ばしてくれ」


「分かった」


彼女が味方なら、何か解決策を知っているかもしれない。

何とか、皆で生き延びる方法を考えないと。


「主、大丈夫?」


「正直に言えば、大丈夫ではないな。でも、何とかしないと」


はぁ、何をどうしたらいいのか、さっぱり思いつかない。

えっと、神獣たち力の強い者たちが集まり過ぎたのが問題なんだよな。

つまり、龍たちの魔力が強すぎるのが問題になるのか?

魔力は関係ないのか?

存在?


「駄目だ。考えが纏まらない」


そう言えば、龍たちが進化していたな。

……あれは恐らく、俺の新しい力が影響を及ぼしているような気がする。

龍達以外のコアたちが強くなっているのも恐らく……。


「俺の存在が皆を強くしたんだ……俺が原因か?」


「主、それは違う! 元々この世界には龍が5匹もいた。それが間違いなんだよ」


確かに龍は5匹いる。

だが、上手く回っていた。

俺が来る前は、壊れていなかったはずだ。

だって、彼らは地震を知らなかったのだから。

どうして、壊れていかなかった?

魔眼があったから? 森の結界があったから?

……頭の中がごちゃごちゃだ。


「主、アイオン神には伝言を飛ばしたから」


「あぁ、ありがとう」


コンコン。


「主、大丈夫か? なんだか魔力が随分不安定に揺れているが」


コアの声が部屋の外から聞こえ、慌てて自分の魔力を落ち着かせる。

どうやら気持ちが不安定になったせいで、魔力がそれに煽られたらしい。

魔力が多いため、少しの揺れでも大きくなってしまうのだ。


「大丈夫だ」


何度か深呼吸を繰り返していると、揺れていた魔力が落ち着くのを感じた。

大丈夫、きっと何か解決策があるはずだ。


「入ってもいいか?」


どうしよう。

今は、いつも通り振る舞える自信がない。


「主?」


不安そうなコアの声が届く。

会話ができない時は誤魔化せたが、今は無理だな。

だったら、一緒に考えた方がいいか。


「…………いいよ」


部屋の扉を開けて入ってくるコア。

どうやらチャイは一緒にはいない様だ。


「チャイは置いてきた」


コアの事だ。

きっと何かあると気付いたのだろう。


「我もいるぞ」


コアの後ろに飛びトカゲの姿もあった。

その2匹の姿に、ホッとした。


「コア、飛びトカゲ」


俺の言葉に、すっと視線を険しくするコアと飛びトカゲ。


「何があった?」


コアの言葉に、視線を落とす。

正直、まだ迷いはある。

でも、龍の知識に何か解決策があるかもしれない。


「地震の調査をロープに依頼したんだが、この世界に何が起こっているか分かったんだ」


ロープから聞いた内容をコアと飛びトカゲに伝える。

何だか無力だなと感じる。

すごい力があっても、こんな時に何もできないなんて。


「そうか」


「「「…………」」」


「我々が、この世界から出れば――」


「それは駄目だ」


飛びトカゲの言葉を遮る。

それだけは絶対に駄目だ。

それにロープは、神獣以外の者たちも強いと言った。

コアや親玉さんたちがもっと力をつけてしまったら?

今度は彼らを切り捨てるのか?

そんな事は絶対に嫌だ。

飛びトカゲたちだって、コアたちだって誰もこの世界のために切り捨てたくない。


「だが……」


飛びトカゲが困惑した雰囲気で俺を見る。

その視線を受け止めて、ダダビスたちの事を思い出した。

きっと、この世界で生活する人や獣人たちの事を考えるなら、飛びトカゲの提案を受け入れる必要があるのかもしれない。

でも俺の中で飛びトカゲたちと人や獣人、どちらが大切かと言えば飛びトカゲたちなんだ。

この世界に落ちてから俺を支えてくれたのは、コアたちや飛びトカゲたちだから。


「この世界が壊れたとしても、一緒にいる」


この世界が壊れたら、それはきっと俺のせいだな。

俺が選んだからだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 森を治し続けててたのを星全体にせんとアカンのか
[一言] 今までは、愚王が森の生物を苦しめて強者が仲間を身を挺して守るために弱体化してたから問題無かったのか(^_^;)
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