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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
綺麗になったら修復です!
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05.魔力の影響

「怖かった。すごく怖かった」


目の前にはブルブル震えているふわふわ。

農業隊に何をされたのかは不明。

連れていかれたからな。


「主……」


いや、そんな目で見られてもさ。

あの農業隊を止めるのは無理だから。

誰しも自分が可愛いものだ。


「ごめん。あれは止められない」


俺の言葉に、確かにと頷く毛糸玉。


「そうだけど……はぁ。それでどうして進化しているのに、疑問に思っていないんだ?」


落ち着いたのか、ふわふわが毛糸玉に訊く。


「またそれか? どうして気付かないんだ? この森は、主から魔力を貰っているだろうが」


「ん? それは知っているが、何か関係があるのか?」


俺の魔力が、森へ流れているのは知っている。

アイオン神が、しっかり説明してくれたからな。

だが、最初俺はそれが信じられなかった。

なぜなら、魔力が減っている感覚がしなかったためだ。

だから、俺は意識して魔力を追ってみた。

そうしたら、かなりの量の魔力が俺から森へと送られていた。

さすがに唖然とした。

普通は気付くだろうと思うほど、大量だったからだ。


飛びトカゲが言うには、消えていく量を上回る量の魔力を俺は作っているらしい。

今の俺の力なら、魔力を作らないようにも出来るそうだ。

だが、それは止めて欲しいとコアに懇願された。

森は、いまだに魔力が足りていないからと。

だから、今まで通り魔力を森へ送り続けて欲しいのだと。

俺としては、特に問題がないためそのまま魔力を作り森へ流すことが決定した。

皆が過ごす森が元気な方が嬉しいからな。


「……ここまで言っても気付かないのか?」


俺とふわふわが首を傾げる。

それで何を分かれと言うんだ?

きっとふわふわもそう思っているはずだ。


「マジか」


毛糸玉の呆れた声。

ものすごく残念な子を見るような目をしているけど、きっと気のせいだ。


「主の魔力は、まだ進化を続けているだろう?」


ん?


「あぁ、それは感じている」


毛糸玉とふわふわの会話を聞いて、首を傾げる。

進化?

俺の魔力はまだ進化をしているのか?

マジで?

本人が全く気付いていないんだが……。

だが、毛糸玉の言う事だからそうなんだろう。


「進化している魔力を森に流しているんだ。俺たちに影響があって当然だろう。特に俺たちは主に近い場所にいる。コアやチャイが進化しないのが不思議なほどだ」


毛糸玉の言葉にふわふわが納得したのか、頷いている。

つまり、俺の魔力が知らない間に進化しているから周りに影響を与えているという事か。

それは良い事なのか?

ん~。


「進化をして、体に異常が出る事は無いのか?」


俺の質問にふわふわと毛糸玉が少し黙る。

なんだ?

おかしな質問でもしたのだろうか?


「ある事はある」


ふわふわの答えに、やはりと思う。

強すぎる力は何となく体に負荷がかかりそうだもんな。


「だが、問題はない」


「いや、体に異常が出るなら問題ありだろう」


俺の言葉に毛糸玉が首を横に振る。


「異常が出たとしても、また次の進化でそれをいい方向へ変えてくれる。それが我々の体だ」


毛糸玉がどこか自慢げに言う。


「異常が出たら次への進化も早くなるから、特に気にしたことは無いな」


ふわふわも言葉通り気にしていないようだ。


「そうなのか」


すごいんだな神獣って。


「飛びトカゲたちにも聞いてみるか」


ふわふわの体がすっと上空に上がっていく。


「そうだな。主、他に進化しそうな者がいないか見てくるよ」


「あぁ、気を付けて」


ふわふわと毛糸玉に手を振ると、2匹は上空で2回旋回すると雪山の方へ飛んで行った。

何だか慌ただしかったな。

それにしても、俺の進化した魔力が周りに影響を及ぼしているとは……どうしたらいいんだろう。


「いい影響だといいが、悪い影響だとな……」


ふわふわたちは気にしていなかったが。


「主? どうかしたのか?」


「ん? あぁ、親玉さんか。いや、俺の力がまだ進化していると聞いて少し……」


俺の言葉に首を傾げる親玉さん。


「少し? どうした?」


「強すぎる力は、問題を起こしそうでな」


「……今更か?」


「えっ?」


親玉さんを見ると少し驚いた表情。

何かおかしい事でも言っただろうか?


「主の力は今でもかなりな物だ」


あっ、実感がないからすぐに忘れてしまうんだけど。

俺の力はすごかったんだ。


「あぁ。そうだったな」


みんなが言うには、他に類を見ない力だとか。

俺としては、全く実感がない。

確かに魔法は、想像した通りの事が出来る。

これも、コアに聞いたが珍しいそうだ。

しかも普通だったら、途中で魔力切れになるような事を1日に何度もしていたらしい。

その話を聞いて、無知って怖いと思ったからな。

まぁ、今も知らず知らずやってしまっている気がするが。


「進化と言っても、強くなるだけではない」


「えっ。そうなのか?」


進化は強くなるだけだと思っていた。


「確かに強くなることは多い。だが、体に変化が起き、出来ることが増えたりもする」


体に変化?

それって、駄目じゃないのか?


「例えば、我の糸」


ん?

親玉さんの糸?


「我々は進化をし、糸を操れるようになった」


そう言えば、ある日いきなり子蜘蛛の1匹が糸を使いだしたんだよな。

そのあと、短期間で扱える子蜘蛛が増えて、気付いたら親玉さんも自由自在に糸を操っていた。

……あれが進化だったのか

まさか身近で既に進化をした者がいるなんて、考えもしなかったな。


「その時、問題はなかったのか?」


「問題というか。我々は自分たちで強引に進化したからな」


ん?

言っている意味が分からない。

強引に進化?

どういう事だ?


「我も後で知ったのだが、我の子の1匹がスワソワから貰った核を無理やり体に入れ強引に進化したんだ」


えっと?

核を無理やり体に入れた?


「糸を出すにはスワソワの核が必要だったからな」


だからって無理やり?


「下手をすれば死んでいたが、新しい力を手に入れる事が出来た。そして、それを見た我が子たちが挑戦をしだした。まぁ、我も核を入れたんだが」


……死んでいた……。

ちょっと衝撃的な内容に言葉が出ない。

まさか糸を操るのにそんな危険な事をしていたなんて。


「そこまでして糸を操りたかったのか?」


「……まぁ、色々出来て便利だったからな」


「それでも無謀すぎる。もしかしたら死んでいたかもしれないのに」


頭を横に振ってため息を吐く。


「はははっ、確かに無謀だったな。だがそのお陰で我の魔力が変化した」


変化?


「スワソワから貰った核は、魔力の強さの違いが原因で消耗してしまう欠点があった。そのため、数ヶ月に1回、核を換える必要があったんだがある日それが必要なくなった」


「えっ? どうしてだ?」


「体が進化をしたからだ。我も驚いた。消耗した核を取り出して、次の核を入れようとしたら体がカッと熱くなり不思議な感覚が、全身を覆ったからな」


「大丈夫だったのか?」


「問題ない。進化する時に起こる一時的な魔力の上昇だ」


「そうか」


「魔力では進化しないと言われていたからな。さすがに我でもちょっと理解するのに時間が掛かった」


やはり魔力では進化しないのか。

毛糸玉は全く悩んでいなかったけど、やはり少しは戸惑うよな。

親玉さんみたいに。


「進化して何か問題は起きていないか?」


「まったくない。糸の種類が増えて便利になったぐらいだな」


確かに親玉さんたちが出す糸は、太さも色々と増えたし色も増えたよな。

こういう進化もあるのか。


「我の進化も、おそらく主の魔力が少なからず影響をしているだろう」


「やっぱり?」


「あぁ。間違いなく」


親玉さんが喜んでいるなら、俺の魔力が良い方へ影響したと言えるのかな?

でも、なんだろう。

進化と聞いて、何か漠然とした不安を感じたんだが。

気のせいかな?


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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公自身も主と仲間の関係も大好物……ゲフンゲフン、大好きで、時間がある時ではありますが最初から読み返しています。番外編の更新、これからも楽しみにしています。(^ ^)
[良い点] スワソワという言葉の語感! 親玉さんの頼れる親玉感! 主人公から垂れ流されている進化を続ける魔力が想像もつかない変化を呼びそうな所! [一言] 更新ありがとうございます!
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