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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
片付けは隅から隅まで!
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74.理解は無理……関係ないよね

ある程度のことは話し合えば理解しあえると思っていたけど、無理。

根本的な違いが大きすぎて、分かりあえそうにない。

話すだけ時間の無駄だ。


「はぁ~」


嬉しくない経験だな。


「どうかしたのか?」


「いや、なんでもない」


他の事を聞こう。

何があったかな?


「そういえば、俺は人間ではなくなったらしいが、何になったか分かったのか?」


前にデーメー神がこの星にきた時に、そんなことを言っていたよな。

人間から変化していると。


「それなんだが、前例がなくて未だ分からない状態だ」


神も前例とか考えるのか。

その辺りは、なんとなく俺達と似ているような。

というか、前例がない?


「まさか俺って未知の存在って事?」


「そうなる」


ハハハ、未知の存在か。

という事は、これ以上聞いても無駄かな。

なんとなくこの話も平行線になる予感がする。

後は……。


「驚かないのか?」


アイオン神が訊いてくるが、この神は何が知りたいんだ?


「いや、充分に驚いています」


「そうか。わるい」


驚いていないわけないだろうが。

でも、衝撃を受けたと同時にそれを抑え込むような『仕方ないな』という気持ちが湧きあがっている。

これがギフトの効果なのかな。

それにしても、もしかして神にとって俺って実験台とか言わないよな。

……まさかね。


「あっ、この星はどうなるんだ?」


そうだ、この星の安定をお願いしたい。

ロープが不安定だって言っていたから、不安だったんだよ。


「私がとりあえず星を管理することになった。それでお願いがある」


お願い?


「何を?」


「この星の主導権を私にもらいたい」


えっ?

そんなの神なんだから自由に取っていけばいいと思うけど。


「どうぞ」


「よかった。結界を外してもらえるか? 私の力で外そうとしたんだが、出来なかったんだ」


結界?

何のことだ?

それに主導権を持っているのはロープだぞ?


「俺に言うのはおかしくないか? 主導権を持っているのはロープなんだが」


「えっ!」


なんで2人とも俺が握っていると思ったんだ?


「ロープ?」


あれ?

知らないのか?

でも、時間を操れる神がこの星を調べたんだろ?

だったら知っていると思うんだが。


「君はおもしろい名前を付けるな」


げっ、名前の事か!


「気にしないでください」


って、そんな残念そうな顔をしないでほしい。

俺だって変えたい名前はあるんだ。

だが気に入ってしまって、他の名前を嫌がったから諦めて……。

まぁ、親玉さんとか、毛糸玉とかは俺も気に入っているけど……センスが無いのは知っている。

あ~、日本語が通じない事をいい事に好き勝手付けたからな。

文句が上がったら、誠心誠意謝ろう。


「そのロープという者はどこにいる?」


「知らない」


まだ居場所を確認していなかったな。


「知らない? そのロープというのは何者だ?」


「知らない」


「知らない?」


「まだ声だけの知り合いだ。姿は……巨大な石だな。おそらく」


飛びトカゲが見せてくれた映像とロープが一緒だという確認はしていないが。

しめ縄なんてこの星にいくつもないだろう。

無意識に俺が作っていたら知らないが。

あれ? 

しめ縄をイメージしたのは1回ではないような……確か2回……まぁ、いいか。


「巨大な石?」


「あぁ」


そういえば、いつもロープから声が掛かるけどこちらからは無理なんだろうか?

えっと……しめ縄を巻いた巨大な石をイメージして、声が届くイメージを作って。


「ロープ、聞こえるか?」


「何をしている?」


説明せずに実行してしまったので、アイオン神が不思議そうに見つめてくる。

説明してからやればよかった。

何気に恥ずかしい。

後先考えずに思い立ったらすぐ実行は駄目だな。

本来の俺とは違う性格だから、ギフトの効果だろうがこれは少し考え物だ。


『主、呼んだか! 主から声が掛かるのは初めてだ!』


空中から、いきなり声が響き渡る。

呼んだのは俺なんだが、正直ビビった。

何か前触れが欲しいところだ。


「悪いな、今大丈夫か?」


『主が呼ぶなら、いつでも大丈夫だ』


「ありがとう」


ん?

神が静かだな。

2人を見ると、唖然とした表情をさらしている。


「どうかしたのか?」


「この気配、魔幸石か!」


まこうせき?

ま? って、魔?

こうってどんな字だろう。

好? 高? ……分からないな。

せきは石だろうな。

魔こう石?


「魔幸石か、まさか本当に?」


近くにいた飛びトカゲの声が耳に届く。

どうやら知っているようだ。


「知っているのか?」


「あぁ、知識としてだが『天界の子供の血と魔界の子供の血を魔幸石に捧げ、新たな力を授からん』と言われている神が作った力を持った石だ」


天界の子供の血? 

それって天使達の血か?

魔界の子供……あっ、卵。

で、それを魔こう石に捧げると、新しい力が産まれるのか?


「ロープって魔こう石なのか?」


『……あぁ、そう呼ばれていたな。だがそれはすでに過去の事だ。今は主を守る御神木だ』


御神木?

いや、あれは木のことなんだが。

えっと、もしかして間違って覚えているのか?

これは訂正をするべきか?

あっ、その前に『こう』という字をどう書くのか聞こう。


「ロー『待て、どう言う事だ? どうして魔幸石が意思を持っているんだ?』…」


言葉がかぶってしまったな、後でいいか。


『主、見かけぬ者たちだが誰だ? すごく嫌な気配がする』


ん?

ロープにはこちらが見えているのか?


「主?」


ロープの聞こえてくる声が少し低くなる。

まるで何かを警戒しているようだ。


「悪い、この2柱は神で、デーメー神とアイオン神だ」


『…………』


ん?

声が聞こえなかったのか?


「ロープ?」


『主、神を信用しては駄目だぞ。奴らは自分たちのことしか考えない者たちだ』


なんだかロープの雰囲気が変わった。

声も冷たく感じるし。

神に何か恨みでもあるのか?


「神を侮辱するのか?」


デーメー神が声を荒げる。

この神、ちょっと短気だよな。

前の時は我慢していたのかね、いろいろと。


『侮辱ではない。本当の事を主に言っただけだ』


「なんだと!」


『本当の事を言われて頭にきたのか? 馬鹿が』


「貴様、魔幸石の分際で」


『はっ、ただの神に何が出来る?』


何だこれ。

なんでやりあってんの?

というか、神と巨大石が喧嘩って……。


「ロープ、止めろ。デーメー神もいい加減にしてくれ」


なんで俺が止めなければならないんだ。

アイオン神は何故か呆然としているし。

使えないな。


『ごめんよ、主。でも、神には良い印象が無いんだ。俺を作ったくせに不要だと閉じ込めたからな』


なるほど、それは恨むな。

でも、どういう経緯で閉じ込めたんだ?

……あまり知りたいとは思わないが、ロープのことだしな。

ロープやデーメー神より、アイオン神の方がまともに答えられるかな。


「アイオン神、そろそろ正気に戻ってほしい。で、説明してくれ」


アイオン神の視線が俺に向く。

何度か口を開け閉めしてから、ギュッと閉じられる。

それって話せないという事か?


『主、我は魔幸石という神に作られた強力な力を持った石だ』


ロープが説明をしてくれるらしい。

アイオン神がちょっと怖い顔をしているが、まぁどうでもいいか。


「で?」


『魔幸石は我も含めて4個作られた。が神が成功したと認定したのは1個だけ。ちなみに俺は失敗作だ』


失敗作ね。


『だが、それは神から見たモノで我らから見た結果は違う』


「どう違うんだ?」


『成功したのは3個で失敗したのは1個だ』


「なっ、そんなはずは。成功したのは1個のはずだ」


アイオン神が慌てて訂正をしてくる。

なんだかややこしい事になりそうだな。

というか、これって俺に関係ない事なのでは?


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― 新着の感想 ―
[一言] >「魔幸石か、まさか本当に?」 >「知っているのか?」 >「あぁ、知識としてだが『天界の子供の血と魔界の子供の血を魔幸石に捧げ、新たな力を授からん』と言われている神が作った力を持った石だ」 …
[気になる点] 魔幸石は4個作られて3個失敗とされていたんじゃなかったんですか? 増えてますが……。
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