22.魔法…ちょっと理解した。
親玉蜘蛛さんがパタパタと飛んで、俺の頭の上に乗った。
正直、ちょっとビビった。
手で払いのけなくてよかった。
子蜘蛛たちはチャイの上にピョンと飛び乗る。
飛べないらしい。
やはり親と子なのだろうか。
子蜘蛛は小さいので、チャイに湧いた虫に見える…
チャイが一瞬ビビっていたが、大丈夫だろうか?
俺の頭からも、チャイからも降りないので一緒に行動することになった。
何だか不思議な蜘蛛です。
地下2階を見て回りながら、少し考察。
子蜘蛛の団体に襲われた時、無意識に一番使用している浄化を叫んだ。
ただ、俺はあの時に何も考えていなかった。
ほんとうに、とっさに叫んだだけ。
魔法はイメージが大切だと思ったので、それを今まで実行していたのだが違うのかな?
とりあえず何か言ってみるか。
何がいいかな。
イメージせずに、「火」。
……
何も起こらない。
次に「水」
バシャ。
俺の隣の場所に水たまりが…。
ん~?
今度は火の玉をイメージして「火」。
できた。
空中に浮かぶ火の玉。
イメージしたとおりに、夜中に見たらダメなやつだ。
で、水たまりを見て水をイメージ「火」
火の玉が2つ、俺の周りでふわふわしている。
結果から考えると、新しい魔法を使用する時は、イメージが必要。
2回目からは不要ということか?
それだと魔法を使うのが楽になるな。
考えて魔法を使うのは、疲れる。
とりあえずは、いろいろ試すしかないか。
何度かすれば、わかるだろう。
火の玉はそのままに、地下2階の最後の空間へ着いた。
何もない、ただ広いだけの空間のようだ。
隣でふわふわ飛んでいた火の玉が、一定方向に揺れている。
風か?
調べると、壁にひびが入っている。
ひびを覗き込むが暗すぎる。
光がほしい。
とりあえず「空間認識」
巨大な空間で、呪いの塊はなし。
よかった。
ひびの先に見える空間に、大きい火の玉をイメージ。
「火の玉」
あ、間違えた、火の玉って言ってしまった。
…イメージもしちゃった…次からは気を付けよう。
…火の玉がでかすぎたようだ。
ひびからあふれる光が強すぎて、中が見られない。
火の玉を小さくしよう。
…調整って難しいな。
3回繰り返して、微調整完了。
今までの魔法で、一番疲れた。
ひびの向こう側には、岩とは違う鉱石があるようだ。
火の玉の光が邪魔で、色までは分からない。




