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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
片付けは隅から隅まで!
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63.長かった……主って?

「終わった~」


目の前にある巨大な石から神力が完全に消えていく。

巨大な石の周りに転がる多数の魔物の石。

そして少し離れたところに積み上がる、クロウ達が狩ってきてくれた大量の魔物……の死骸。

一部食料として既にマシュマロとクロウ達の腹の中だ。

原因は、魔物の石が足りなくなったため現地調達をしたからだ。


木々の間から見える空は、うっすらと明るくなってきている。

この世界に来てから正確な時間がずっと不明だが、夜明けを迎える時間だという事だけはわかる。

長かった。

本当に長かった。


途中神力を吸い上げるストローを太いストローに代えようと挑戦してみた。

発動中の魔法に手を加えるのは攻撃以外では初めてのこと、ちょっと嫌な予感がしていた。

だが、あまりの遅さに勇気を振り絞ってみた。

案の定見事に弾かれた。

あの時の手の痛さ……は、思い出せないが二度と発動中の魔法を修正しようとは思わないだろう。


あれ? 

魔法を止めてから、太いストローをイメージして変更すればよかったのでは?

……ははは、はぁ~。

もっと早く思い付いていれば……。


それにしても、いったいどれだけの数の魔物の石が必要だったのだろう。

巨大な石の周りに転がっている魔物の石を拾っていく。


「1、2……48。48個か」


元々10個の石を持って来ていたから38個はこの場所で調達した事になる。

少し離れた場所にある、積み上がった魔物を見る。

……マシュマロとクロウ達がかなり大量に消費したようだ。

残っている魔物の数は8匹。

まぁ、マシュマロは体が大きいからな。


そういえば、生の獲物に食らいつくクロウ達を久しぶりに見たな。

さすがオオカミというワイルドさがあったよな。

血が滴った牙には、引いたが。

でもマシュマロの食べ方は、もっとすごかったな。

まさかの丸のみ。

驚きすぎて魔物から石を取り出している手が止まって、見続けてしまった。


「さて、皆帰ろうか」


見習いが残した、最後の問題の解決!

これで、ようやく自分の問題に時間をかける事が出来る。

それにしても、疲れた~。

腕をグ~っと上にあげると、背中の辺りが痛くて気持ちがいい。


帰る前に狩ってきた魔物をバッグに入れる。

予備のバッグを持って来ておいてよかった。

次に巨大な石の周辺を調べて、問題ないかを確認して行く。


「よし、問題なし。帰るか」


家に向かって走りだそうとした時、微かに違和感を覚えた。

後ろを振り返る。

神力が抜けきった巨大な石があるだけだ。


「……? 問題ないよな?」


目に見える問題は起こっていない。

だが、何かが気になる。

もう一度、石の周辺に視線を走らせる。

見えるのは、巨大な石に静かな森だ。


「あの石が気になるのか?」


今まで力を無くした物は、全て崩壊していった。

もしかしたら、石がそのままの姿なのが気になるのかも。

掌を石に向けて


「破砕!」


魔力がスーッと抜ける感覚がすると、目の前の巨大な石にヒビが入って行く。

そして、ぼろぼろと石の欠片が地面に転がりだすと。

ドーン

一気に全てが崩れ落ちた。

これでいつも通りだ。


「……駄目だ、違和感が消えない」


巨大な石があった場所を調べるか。

石の残骸に近づこうとすると、石がふわっと光りだす。


「ぅわっ!」


光りに驚くと、石の残骸を中心に風が強くなっていく。

飛ばされないよう、身を低くして腕で顔を守る。

おかしい、神力は全く感じないのにどうして魔法が発動するんだ?

魔力の方だろうか?

……魔力でもない?


風はすぐに止み、光も収束していく。

腕をおろし、石の残骸があった場所を見る。


「無い……」


あったはずの、大量の残骸が消えていた。

風で飛ばされたのかと周りを見るが、風で巻き上がった葉や枝が飛び散っているだけだ。

何処にも残骸が落ちていない。


「何処にいったんだ?」


今いる場所の周辺へ、探索魔法をかけて残骸を探す。


「無いな。やはり消えたのか?」


魔法を止める。

さて、どうしたらいいのかな?

まぁ、消えた物はどうしようもないけどな。


「なんだかスッキリしないな~」


思いっきり叫びたくなる。

叫んだら心配かけるから、後悔するだろうな。


「……帰るか」


ここに居ても仕方ない。

出来ることはした。

ただ、思っていた結果とは違ったってだけだ。


森の中を家に向かって疾走する。

今日はゆっくり休んで、明日から力を安全に発散できる方法を探そう。


「ただいま」


「「おかえり!」」


ウサとクウヒの笑顔を見ると、家に帰って来たという気分になる。


グルルル


コアとチャイが一緒にいると、なんだか力が抜ける。

それにしても、この2匹いつでもどこでも一緒だな。


ウサとクウヒは今からご飯だったようだ。

もしかしたら、待っていたのかもしれない。

悪い事をしたな。

1回、俺がいない時は気にせず食べて欲しいと伝えたのだが、さすがにジェスチャーでは伝わらなかった。

どうやって伝えれば理解できるかな。

これはこれで難しい問題だ。


朝食後ゆっくりお茶をしていたが、疲れていたため寝ることにした。

この体になって徹夜は平気というか問題なく数日続けられるのだが、精神的な疲れは取れない。

今日は最後の最後でどっと疲れが押し寄せたからな。


ベッドに横になる。

疲れているためすぐに眠れると思ったのだが……眠気がこない。


……眠れない。


巨大な石を思い出す。

あの石に感じた見習い以外の神力。

あの神力が、見習いだけの神力を感じた物と違った原因だろうか?

見習いに協力する誰かがいるという事なのか。

……考えても答えは出ないな。


「ふぅ~……思い通りにならない事ばかりだな」


あ~、ようやく眠れそうだな。

……。


『聞こえるか? まだ無理か? お~い』


……………………眠れると思ったのにな。


「聞こえているが、何者なんだ?」


随分軽い感じの声だが、敵なのか? 味方なのか?


『ほ~、やはり先ほどの光は妨害魔法が崩壊したためか』


先ほどの光?

妨害魔法?

何の事だ?

光って、もしかして石が光ったあれか?

ん?

すぐ近くにいたって事か?


「すぐ近くにいるのか?」


ベッドから起き上がり部屋を見渡す。


『近くではないだろう。だが、誰よりも近い位置にいる』


どういう意味だ?


「意味が分からない」


『我を創造したのは主であろう? 我に命令を言えるのは主だけだ』


…………えっと、主?

…………………………んっ? 命令?

なんのこと?


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