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異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
片付けは隅から隅まで!
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61.行動力……最後の問題

どう考えてもおかしいよな。

俺は自分の性格を、しっかりと把握している。

情けないが、ものすごく怖がりだ。

その為、色々と調べてからでないと行動に移すことが出来ない。

正直この行動力のなさから、色々と損はしている。

周りからも、優柔不断だと思われているのも理解している。

でも、既にこれについては諦めている。

どう頑張っても怖がりは治らなかったのだから。


この世界に来てからの行動を思い返す。

おかしい。

何でこんな判断力、行動力があるんだ?

昨日もそうだ。

『灰になった本』だが、なぜなにも調べずに結界を壊しにかかった?

日本にいた時の俺なら絶対に考えられない行動だ。

だが、今の俺にはアレが正しかったという思いがある。

これも不自然だ。


「俺の判断だよな?」


誰かに操られた可能性はないと、直感が言っている。

なので、間違いなく俺が自分で判断したのだろう。

では、なぜあんな判断を下せたんだ?

……はぁ、これも分からない事の1つか。

ここ最近問題だけが浮き彫りになって、1つも答えが出せていないな。


「でもまぁ、別に気にする事ではないのかな?」


今、それで困った事にはなっていない。

なら別に気にするだけ時間の無駄だろうか?

シンプルに考えよう。

元の俺では、問題が浮かび上がる度に身動きが取れなくなるだろう。

ここでそれは困る。

なら原因は不明だが、今の生活にこの性格はプラスだ。

だったらこのままでいいな。


「確かにおかしいが、問題になっていないしプラスに働いているのだから気にするだけ無駄だな」


……ん?

大丈夫だよな?

…………大丈夫だ、問題ない。


「ふ~。熱のせいかな、おかしなことを考えた」


『……、…………』


あっ、まただ。

何か聞こえる。

昨日の朝も、聞こえたよな。

いったい何なんだ?


『……、…………、………………』


耳を澄ませるが、何を言っているのか理解できない。

でもなんだか、昨日より近づいて来ているような気がする。


『……………………か?』


あっ、何か聞こえた!


「もう一度!」


耳を澄ます。

…………………………あれ?

聞こえなくなってしまった。

もしかして声を掛けたのが駄目だった?


「はぁ、残念。でも、何か聞こえたよな?」


何かの音?

……違うあれは言葉だった気がする。

それに、語尾が上がっていたような気がするから、疑問?

って考えても、今の状態では何も分からないか。

諦めて明日を待とう。

たぶん、また聞こえてくるはずだ。


「今日で最後だな~」


見習い共の残した問題も、今日でようやく一区切りだ。

また何か出て来る可能性もあるが、とりあえず最後だ。

というか、何も出てこない事を祈っておこう。

ようやく次へ進めるのだから。


「まぁ、次は膨大な力を安全に発散する方法を探す事なんだが」


何から手を付けたらいいのか、まったく分からない。

明日からの事を思うと、ちょっと気が重くなる。


「ダメだ! 今日出来る事を確実にだ」


深呼吸を数回して気分を変える。

まずは、最後の1つをしっかりと解決しよう。


1階のリビングの扉をくぐる。


「「おはよう」」


いつもの様にウサとクウヒから朝の挨拶が届く。


「おはよう2人とも。今日はちょっと曇り空だね」


「くもら?」


少しおしいウサの言葉に、笑みがこぼれる。

下降気味だった気分も癒される。


「くもり、だよ」


窓の外の、空を指して言う。

ウサは口の中で何度か言葉を繰り返してから、空を見る。

クウヒは言葉を覚えるよりお腹が空いているのか、机に並べられる朝食を眺めている。


「ウサ、朝ごはん食べようか。一つ目達が準備してくれたよ」


食事が用意されている机に向かう。

部屋を見回すと、いつもの光景が広がっている。

飛びトカゲは卵のすぐそばで寝そべっているし。

2人の子天使達は、一つ目達からパンを貰って幸せそうに食べている。

あの子達は本当にパンが好きだよな。


……………………


食事を終え、ウッドデッキで軽く休憩。

その間に、最後の場所を確認する。

見えた映像からわかった事は、今までで一番遠い場所という事だ。

今日も森を疾走する事になりそうだ。


「よし、行こうか? んっ? 今日はマシュマロが一緒なのか? あとはクロウ達か、よろしくな」


そういえば、いつの間にかマシュマロは雪の無い場所でも生活できるようになったな。

成長したって事なのか?

まぁ、自由が増えるのはいい事だよな。


「今日はかなり遠いから頑張ろうな?」


きっと何を言っているのかはふわふわには不明だろうが、俺の気分的な問題だ。

魔物の石を取り出して、先ほど見た映像を石に伝える。

そして、


「探索」


ふわっと光った魔物の石は、そのままスーッと森の中へ飛んで行く。

あっ、しまった!

イメージに修正を入れるのを忘れてしまった。

魔物の石の飛ぶスピードはかなり速い、なので少しだけ修正して遅くするつもりだったのに。

飛んで行った魔物の石を見るが、どんどん遠くなっていく。

……頑張るしかないか。


「急ごう」


頑張ってスピードを上げるが、全然追いつけない。

気を抜くと、すぐに見失ってしまいそうだ。

くっそ~!

次は絶対に修正を入れる!


……………………


前を飛んでいる石が、速度を落とすのを確認する。

どうやら予定の場所の近くに来たらしい。

けっこう走ったな。

というか、数時間の全力疾走。

マジで疲れた。


魔物の石は大きな石の前でぴたりと止まる。

目的地らしい。

確かに映像で見た大きな石がある。


「ストップ、ご苦労様」


魔法を止めると、空中にあった石がぽとりと地面に転がる。

それを拾い上げてそっと拭う。

今回は本当に活躍してくれた。

この石が無かったら、大変だっただろうからな。

石をバッグに入れて、大きな石を見る。


「これなんだよな、力を感じるのは」


大きな石から神力を感じる。

この場所だけ、なぜか力を隠そうとしていない。

それが何とも不気味だ。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 子ども達、言語習得スピードが早いって設定だったはずなのに、、 既におそらく一年以上一緒にいてまだ天気の表現も分からないって、明らかに遅い部類。 子どもってほんとに言語の吸収力凄まじくて…
[一言] 天使達がパン好きなのは聖餐が関係ある?
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