表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に落とされた…  作者: ほのぼのる500
片付けは隅から隅まで!
196/672

41.村と町……えっ俺って!

下に広がる広大な畑から魔力は感じない。

それに心底ホッとする。

そもそも原因が分からないことだし、もしかしたら魔力が復活するかもと考えたのだ。

だが、どうやら考えすぎてたみたいだ。


今俺は、森から出てすぐの広大な畑の上空にいる。

昨日は魔力を取り除く事で1日が終わってしまったので、今日も密入国をさせてもらった。

俺にはこの世界の知識が全くない。

言葉が通じない以上、見て勉強する方法しか取れないのだ。

それに気が付いたので、色々吹っ切れた。

難しく考えてもいい事はないしな。

なので、周りの国には申し訳ないが協力してもらう事にした。

言葉が通じないため、事後承諾も取れないところが気になるが。

それも仕方ないので諦めた。


人間吹っ切れたら強くなれるものだ。

なので今日も、堂々と朝から領空侵犯だ。

問題が起きたら、未来の俺に期待しよう。

知識が増えてどうにかできるはずだ……たぶん。


そして、今日こそ獣人と動物が同じ生き物なのか調べて見せる。

っと意気込んで来たのだが、どうやって調べたらいいんだ?

色々考えはしたが、まったく何も思いつかない。

困った。

とりあえず、畑は見飽きたので町へ行ってみよう。

もしかしたら、何か思いつくかも知れない。


上空から見ていると、家が密集しているような場所が点在して見える。

おそらくあそこが町だろう。

少し家の数が少ないような気もするが、ここからでは分からない。

行って確認してみるか。

町がある方角を指して、コアに移動してもらう。

畑の周辺にも家はあるが、集落というイメージが強い。

この世界に来て初めての町に少しドキドキだ。


走りだしたコアの隣にチャイ。

今日のお供はチャイの仲間であるチャタとチャルだ。

子供達は見分けがつかないが、親世代はどうにか見分けがつく。

たぶん、合っているはずだ。


「あっ!」


畑仕事をしていた者達が、俺達に気が付いて頭を下げている。

もしかして魔力を取り除いた事でだろうか?

感謝をしてもらえたのなら嬉しいな。


コアのスピードなので、目標にした町まであっという間に到着。

……これは町というより村かな?

遠くで見た時の印象よりもっと家が少なかった。


ん~、想像していた世界とは違うな。

異世界という認識はあったが、考えが甘かったようだ。

俺は何処かで、日本と似たような世界が広がっていると想像していた。

だが目の前に見える家は、集落で見た家と同じだ。

あれは集落だったからではなく、この世界の一般的な家だったのか。

土壁に藁のような物で作った屋根。

一昔前の日本の田舎?

ちょっと違うが、そんな印象かな?

それとも、もっと人が多い町へ行ったら違うのだろうか?


村の様子を見て回る。

家の数は50軒ぐらい。

家は基本1階建てだ。

2階建ては、見渡す限りでは2軒だけだ。

それに、井戸が見える。

あれ?

魔法で水は作れるのに井戸?

おかしいな。

他には、あ~車ではなく馬車か。

そう言えば、車を全く見ないな

この世界には無いのかもしれない。

何だかちょっとショックだ。


あれ?

あの馬車を引いている動物……馬ではないな。

馬に似ている形だが、どうして足が6本もあるんだ?

え、何あれ?

目が3つ?

あっ、もしかして魔物?

いや、馬車を引いているから動物でいいのか?

どうしよう、この世界の動物にあうのが怖くなってきた。

よし、とりあえず落ち着こう。

あっ、見つかった。

家から人が出て来て、俺達を見て固まってしまった。

何と言うか、申し訳ない。


「コア、移動しよう」


町を探そう。

アレが魔物なのか動物なのか分からないが、この世界の生き物はちょっと怖いかもしれない。

そう言えば、食べている魔物もデカくて怖い顔が多いよな。

まさか動物もなのか……。


少しすると、後ろからすごい叫び声が聞こえてきた。

さっきのあの人だろう。

あんなに叫ばなくてもいいのに。

いや、驚かせた俺達が悪いのか。


先ほどの村から少し離れた村に到着。

この辺りには、村しかないのかもしれないな。

ただ、先ほどより家の軒数が多い。

村の中心に当たる部分に、他とは違う建物が見えた。

何だろう?

周りより少し大きめに建てられている。

あぁ、出入り口も大きいな。

……もしかして集会所とか?

あっ、教会という可能性もあるな。

3馬鹿を崇めた王がいる以上、この世界にも宗教がある筈だ。


あっ、また叫ばれた。

何もしないから叫ばなくても……あ~、言葉が通じればな。

仕方ない、移動しよう。


「コア、ごめん。今度は……あっち」


視線を周りに走らせると、少し遠いが今までより高い建物が多くあるような場所を見つけた。

とうとう町を発見できたかも。

ちょっと期待する。

もう少し発展した建物がありますように。


「……ん~、町でいいのだろうけど。微妙だ」


とうとう町に到着した。

多くの建物に、商売をしているお店まであるようだ。

路上販売もあるな。

そして人の姿が多くある。

獣人達もいるようで、今までの村とは全く違っていた。

見つかるとめんどくさくなるので、少し高度を上げてもらった。

見つかりにくいだろうが、見えづらい。

ん~望遠鏡が欲しい。


町の建物を確認したが、村とあまり変わらない。

あまり文化が進んでいない世界だったようだ。

いや、2階建てが多くなったので少し違うかな。

そして町にもやはり井戸があるようだ。

家は井戸の周りを囲うように建てられている。

この世界では魔法で誰でも水が作れると考えたが、違うのかも。


そう言えば、獣人達は奴隷だったんだよな。

神様からは、奴隷解放が宣言されていたと聞いてはいるが。

それからどうなったのかは、一切分からない。


「コア、少しだけ下がってほしい」


ジェスチャーで下に降りるように伝えると、ゆっくりと降下していく。

ある程度下がると、獣人達の表情がはっきりと見えた。

彼らの顔に悲壮感は無く、笑顔だ。

3馬鹿のせいで苦しんだ分、幸せになってもらいたいな。


しかし、大人の獣人を見つけたがどうしよう。

見た目は人間に耳と尻尾を付けた感じだ。

ウサ達と一緒だな。

他の違いは、ここからでは分からないな。


ん?

どうやら見つかってしまったらしい。

多くの者達が俺達を見て叫んでいる。


「危ないな。コア、移動しよう」


適当な方角を指して、コアに移動を促す。

コアは周りを見渡すと、何事もなかったようにふわっと上昇して俺が指した方向へ走ってくれた。

なんで、周りを見渡したんだ?

何かあったのかな?


「あっ、コア。あっち!」


目に入って来たのは、かなり遠くて見づらいが何かが動いている。

それも同じ種類のモノが多数。

もしかしたらと期待を込める。


「やっぱり!」


そう、見つけたのは牧場と思われる場所だ。

そしてそこを走りまわっている動物達。

種類は……やっぱり分からない。

牛ぐらいの大きさに、耳が垂れている。

足はそれほど長くなくて、ずんぐりむっくりな体型だ。

それが、ドダドダと走っている姿は何とも……表現しづらい。

けして可愛い動物ではないが、愛嬌はあると思う。


周りに人や獣人がいない事を確かめて、コアに地面に降りてもらう。

コアが降りると、動物たちはなぜかある一定の距離まで近づいてきた。

……思っていたよりデカかった。

この世界にはデカいモノが多すぎる。

そう言えば、さっき見た人や獣人達もデカかったような……。

もしかして俺って、この世界ではチビだったりして。


「ぅわ~」


今まで見た獣人達は、かなり上から見ただけなので大きさまでは確認できていなかった。

何だかショックだ。

日本では180㎝あるので少し高めぐらいだったのに。

って、それよりまずは目の前の動物が獣人かどうか確かめないと。

……だから、どうやってだよ!

あ~、とりあえず話しかけてみるとか?

言葉が通じないから無理だろう。


「帰ろう」


今日の収穫は、この世界は日本より文化的に遅れている事。

車は無い事。

後は動物たちがデカい事。

……もしかしたら、俺がチビなのかも?

これは嫌だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ