08.雪山だ!……ギャー!
目の前には、そびえたつ雪山!
待ってました!
なんとなくワクワクする。
日本では積もる場所もあったが、俺の住んでいた所では数年に1度程度だった。
それも数センチ。
馴染みが無く、楽しいイメージなのが雪山なのだ!
スキーにスノボー……道具が無い!
せっかく目の前に雪山があるのに!
いや、木の板を少し加工すれば、滑れなくはないか。
此処は、俺が自分で!……ではなく一つ目達にお願いをしようかな。
俺だときっと、使えないモノが出来る可能性が高い。
一つ目達ならきっと作り上げてくれるはずだ。
さて、今日の所は帰って一つ目達に道具をお願い……
と、思ったら雪のアメーバに強制的に運ばれた。
いきなり足元がグラグラしたと思ったら、いつの間にやらアメーバの上に乗っていた。
えぇ~!
ちょっと待って、今日の服は雪山には適してはいないのだが
……後で三つ目達にお願いしておこう。
最近、お願いしてばかりだな。
ん~岩人形達が有能すぎるのか、俺が……あっ、これって考えたらダメな奴だ!
ものすごく落ち込む結果が見える。
俺だって役に立つところでは立つ!
……最近めっきりそのチャンスはないが。
頂上は……想像以上に寒い!
う~もっと厚着を……あ、魔法で何とか出来るのだった。
何だっけ……えっと、寒さで考えがまとまらない。
とりあえず服に暖かさをプラスしておこう。
「服が暖かくなる」
あ~何だ、そのまま言っているだけになってしまった。
ん?成功したのか?
ポカポカしてきたな。
……もう少しだけ、暖かさが欲しいかな。
「暖かさプラス」
おぉ~暖かい。
イメージは羽毛布団のぬくぬく感だったが正解だな。
「マシュマロだ」
雪が降っている雲からマシュマロがこちらに向かって急降下してくる。
……急降下?
え、止まるよね?
止まってくれるよね?
ちょっと、なんだか嫌な予感がするけど~。
止まってくれた、雪の真上で。
……風が起こり、舞い上がった雪が俺に降り注ぐ。
「ぅわ、服の中に雪が!」
頭からかぶった大量の雪。
体を伝って、服の中に入り込んでくる。
急いでパタパタ雪を払っていると、マシュマロが楽しそうに雪の上でパタパタ。
「マシュマロ、ストップ!止まって!」
遊んでいるように見えたのだろうか?
マシュマロが暴れた結果、全身びしょびしょに濡れてしまった。
風邪をひかないように急いで魔法で乾燥させる。
隣で首を傾げているマシュマロは可愛いが……。
雪をかぶるのは遠慮したい。
服が乾いて来ると、先ほどの魔法の効果だろう、ポカポカとした暖かさに包まれる。
まぁ、大丈夫だろう。
マシュマロがしきりに何かを気にしている。
不思議に思ってマシュマロを見つめていると、俺の足元がもぞもぞと何か動き出した。
視線を向けると雪の下に何かいるようだ。
雪のアメーバが遊びに来たのかな?
見ていると………………
「ぎゃ!」
足がいっぱいあって地面を這って歩く、あいつが雪から顔を出した。
ボディの色は白く、お尻の方には銀色に光る部分が見える。
大きさもかなりデカく、俺を乗せて移動も出来るだろう。
だが、どう見ても、どう見ても
「ムカデ!」
俺の苦手な虫の1つだ。
驚きすぎて足が動かない、動いていたら速攻で逃げていただろう。
マシュマロがムカデをツンツンと突いている。
ムカデが俺を見て、その体を持ち上げた。
……失神したい。いや、無理だけど。気合で……いや、無理だ。
頭の中がパニック状態。
目の前のムカデは持ち上げていた体を元に戻すと、視線を俺に合わせて首を傾げる。
マシュマロも横で首を傾げる。
何だ?
マシュマロは何がしたいのだ?
えっと……俺も首を傾げてしまった。
もう一度マシュマロがムカデをつつく。
ムカデが体を持ち上げる……もしかして、これって挨拶?
え、マシュマロがムカデを紹介しているのか?
マシュマロを見る……何気にうれしそうな雰囲気だ。
俺に紹介する事がうれしいのだろうか?
…ムカデを見る。
黒くなく白いので、あれとは違う。
サイズだってまったく違う……あれとは違う。
そう、日本のムカデとは違う!
形が全く同じでも違いはいっぱいある、だから違う!
……いや、どう見ても巨大なムカデだ。
巨大ムカデの足元を見る……うん、小さい子供達も居るんだね。
「ハハハ、よろしく」
笑っておこう、とりあえず。
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