148.眷属の1匹
-森の王の眷属視点-
今日も風が気持ちいい。
森も随分と心地よくなった。
まだ不快なモノが消えずにいる場所もあるが問題はない。
森を走る。
ずっと何かに囚われていて暗い闇に居たが今は自由だ。
世界樹の魔力が体に染みわたる。
…以前の世界樹とはずいぶんと違う魔力だが今の方が好きだ。
心地いい。
ん?
何だあれは!
また人か!
…随分と小さいな。
それにずいぶんと、いっぱいいる。
しかし森に何かするなら許さん!
グルル…ぉお?
この小さい者達、世界樹の魔力で包まれているな。
…攻撃したらダメってことか?
あ~泣いてしまった。
知らなかったのだ、すまない。
グゥゥゥ…
何の音だ?
お腹がすいているのか…だが、俺は関係ない。
ばいばい。
……
小さかったな…気になる…世界樹の魔力…。
助けた方がいいのかな?
世界樹が守っているしな。
お腹がすいていたみたいだ。
食べ物…魔獣でも狩っていったらいいのか?
…仲間に聞こう。
……
愚か者ってなんだ。
本当に小さい者達から世界樹の魔力を感じたんだ!
調べてやるって…おい!
……
…だから本当だって言っただろ?
で、魔獣でも狩ってきたらいいのか?
駄目?
肉に火を通す?
…生のほうが美味いと聞いたことがあるぞ?
難しいな。
木の実にするか。
あれは?
…毒?
あっちは?
大丈夫。
あ、待て、俺が最初に見つけたんだ。
……
食え。
食わないのか?
…お、食った。
お腹が空いていたようだ。
ん?
どうするって何が?
あ、この小さい者達か。
…どうしよう。
森の外?
そうだな。
こちらは森の中に入ってしまう。
森の外に連れて行こう。
食べ物は足りたか?
…足りない。
取ってくる。
……
お、人の気配。
あれは…何かの集団だな。
少し様子を見よう。
あの者達だったら大丈夫では?
もう少し様子を見る?
そうか。
……
ちょっと目の前に出てみよう。
すぐに攻撃するようではだめだ。
…まぁ合格か。
ぐるっ
……
うまく会わせることができたな。
攻撃をした時はどうしてやろうかと思ったが。
まぁ…大丈夫だろう。
…なんだ。
泣いてない、ちがうからな!
ふん!




